第98回アカデミー賞の受賞予想 立田敦子さんが主要6部門を考察
2026年3月11日 20:00

第98回アカデミー賞の授賞式が3月15日(現地時間)に米ハリウッドのドルビー・シアターで行われます。昨年は、前哨戦で圧倒的な強さを見せていた「エミリア・ペレス」を抜き差し、ショーン・ベイカー監督の「ANORA アノーラ」がオスカーに輝きました。今年は、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされている「国宝」にも注目が集まりますが、気になる主要部門はどのような展開を見せるのでしょうか……。映画.comでは、3人の映画ジャーナリストに主要6部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞)の受賞を予想してもらいました。今回は映画ジャーナリスト・立田敦子さんの予想をご紹介します。
今年のオスカー戦線を一言で言えば、「作家性」と「時代性」のせめぎ合いだろうか。作品賞は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ワン・バトル・アフター・アナザー」と、ライアン・クーグラー監督の「罪人たち」が2強といえる。
現代米国において最も重要な映画作家といえるPTAだが、これまでアカデミー賞には作品・監督・脚本の3部門で11ノミネートされているにも関わらず無冠だ。とりわけ世紀の傑作である「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年)が受賞を逃したことは今もってアカデミー賞の黒歴史だと思う。「ワンバト」は、PTAの中でも最も娯楽性の高い作品だが、その作家性は十二分に担保されていて、キャリア後期を代表する傑作であることは間違いない。ということで、作品賞の本命は、「ワンバト」を推したい。一方、「罪人たち」はアクターズ賞のアンサンブル賞(実質上の作品賞)を受賞し、キャストの支持の厚さを証明した。俳優の票が大きな力を持つアカデミーにおいて、この勢いは決して軽視できない。
監督賞はポール・トーマス・アンダーソンが最強だろう。DGA賞(監督組合賞)も制し、このカテゴリーは他の追随を許さない。作品賞と監督賞は本来はセットのようなものだが、アカデミー賞では割れることも多い。もし、「ワンバト」がどちらかを「罪人たち」に譲るとなれば、作品賞になる可能性もある。
俳優部門は、賞レース終盤になって混戦を極めている。主演男優賞は、年末に公開され賞レースに最後に参戦した「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」のティモシー・シャラメが、作品のヒットも後押ししゴールデングローブ賞(ミュージカル/コメディ部門)を受賞して勢いにのっていたが、終盤にきてBAFTA賞(英国アカデミー賞)、アクターズ賞を連続で逃した。代わって、勢いづいているのが、アクターズ賞で受賞した「罪人たち」のマイケル・B・ジョーダンだ。ホラー映画ながら、堂々の最多16部門ノミネートを勝ち取っている作品なだけに、なにか大きい賞はひとつは欲しいところ。ちなみに、「マーティ・シュプリーム」は驚くほどオスカーキャンペーンを繰り広げているが、効果はいかに。
主演女優賞は「ハムネット」のジェシー・バックリーがほぼ確定と思われる。
助演男優賞は、個人的には北欧の名優ステラン・スカルスガルドを推したい。が、前哨戦をみるとショーン・ペンが有力といわざるを得ない。「ワンバト」はオスカーキャンペーンを控えめにしか展開していないように思えるし、多くの授賞式を欠席しているショーン・ペンがアクターズ賞を受賞している。
そして最も読みにくいのが助演女優賞部門だ。エイミー・マディガン、ウンミ・モサク、テヤナ・テイラーが前哨戦でそれぞれ存在感を示しており、最後まで接戦が続きそうだ。個人的にはモサクもテイラーも推したいところだが、ここではやはりアクターズ賞を制したマディガンを本命とした。
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