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フォトグラファー 西島篤司が“レンズ越し”に見つめる天才ヨルゴス・ランティモスの世界【最新作「ブゴニア」公開】

2026年2月13日 18:00

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フォトグラファー・西島篤司(JIMA)
フォトグラファー・西島篤司(JIMA)
(C)Yorgos Lanthimos

2022年、ハリウッドで年間スチルフォトグラファー賞を受賞したフォトグラファーの西島篤司(JIMA)。数々の映画の撮影現場でスチール撮影を担当しており、特にヨルゴス・ランティモス監督とは、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(2017)以降、すべての監督作品の製作過程を写真に収めており、深い信頼で結ばれている。

そんな西島氏は、ランティモス監督の最新作「ブゴニア」(25)でも、欠かせないスタッフの一員として現場入り。“レンズ越し”に見つめるランティモスの天才的な世界とは?(取材・文/内田涼)


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●「何かが伝わる写真を撮って、映画に貢献したい」
――フォトグラファーとして、映画の撮影現場でご活躍する西島さんですが、実際にどのような工程でスチール撮影を行うのでしょうか?
ひと言で言うと、その場にいて写真を撮っている……ということになるんですけど 。実際の撮影現場に行って、俳優たちが演じるシーンや、ビハインド・ザ・シーン(舞台裏)を撮ったりするのはもちろん、自分の場合は、撮影の合間、時間が空けば、個人的に「いいな」と思う瞬間をパッと撮影することもあります。俳優たちに「こうしてほしい」といった指示を出すことはないですね。
――西島さんが撮影した写真が、私たち映画ファンの目に触れる機会もありますよね。
はい。映画のポスターや広告に使われたり、いまだったらインスタグラムに掲載されたり。もちろん、新聞や雑誌、オンラインといったメディアに載ることもあります。実際に皆さんがご覧になる写真は、実際にフォトグラファーが撮影したものが、ほとんどだと思います。
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――たった1枚の写真から、作品がもつ雰囲気や撮影現場の熱量が一瞬で伝わり、映画に対する期待がさらに深まることがあります。
いま、おっしゃったようなものが、写真に写っていてほしいなとは思います。撮影している最中は、それどころじゃないですけど(笑)。何かが伝わる写真を撮って、映画に貢献し、その一部になれたらと常に思っています。
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●ランティモス作品には「いつもサプライズがあります」
――ランティモス監督の最新作「ブゴニア」を、西島さんはどのようにご覧になりましたか?
彼の作品は、普通に起きている出来事を、ちょっと違った目線から見て、狂っているという言葉が合っているかわかりませんけど、やっぱり普通じゃないというか。変は変なんですけど、ものすごくリアルで、信じられる物語になっている。そのバランス感覚がすごいなと思います。
今回の「ブゴニア」もすごく好きな作品ですね。いろいろとそぎ落として、シンプルでワンシチュエーションな、“そこだけで勝負している”というか。研ぎ澄まされた感覚があるし、作品の中にいつもサプライズがありますもんね。その点は、今回に限らず、どの作品でも驚かされています。
画像5(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.
画像6(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.
――今回は、物語の大半が地下室で繰り広げられて、誘拐された大企業の経営者ミシェル(エマ・ストーン)と、彼女を誘拐した陰謀論者の誘拐犯2人組(ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス)による心理戦が見どころになっています。「哀れなるものたち」「女王陛下のお気に入り」とは、また違う世界観ですよね。
ランティモス監督からは「撮影はほぼ地下室だから、毎日来なくてもいいよ」って冗談っぽく言われましたけど(笑)、でも、そんなはずはないだろうと。実際、同じ地下室だとしても、現場に行くたび変化があるんですよ。双方の立場や関係性が変わっていくし、衣装も変わるので、とても面白かったですね。
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●ピリピリした現場――フォトグラファーはどうする?
――写真の話題に戻ると、西島さんが撮影する写真には、いわゆる劇中シーンや、プレミアなどの公の場とも違う、普段は見ることができない俳優たちの表情が切り取られていますね。
先ほどもお話したように、撮影のちょっとした合間で、休憩中の俳優を撮ることもあります。演技はしていないけど、衣装は着ている、みたいな微妙な中間点というか。そういう瞬間こそ、リアルに感じることがありますし、そういう写真を撮りたいですね。
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――「ちょっとピリピリしているな」「いま撮影していいのかな」と感じることもありますか?
それが簡単にわかるサインがあれば、いいんですけどね(笑)。実際「いま、大丈夫かな」って躊躇しちゃうこともありますし、何より、撮影の邪魔はしてはいけませんから。特に深刻なシーンはそうですね。
でも、実はそんな瞬間こそ、いい写真が撮れることもあるので、1枚2枚パッと撮って、その場を立ち去ることもあります。声に出さない“Thank You”を伝えて。ランティモス監督の現場は、信頼関係もできているので、そこまでピリピリということはなかったですね。逆にこちらが遠慮して、地下室の外で待機していると「なんで来ないの? いま、すごく面白いシーンなのに」って言われることもありました。

画像4(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.
【「ブゴニア」】
エマ・ストーンとヨルゴス・ランティモス監督が、短編を含め5度目のタッグを組んで、韓国映画「地球を守れ!」(03)をリメイクした誘拐サスペンス。「エディントンへようこそ」「ミッドサマー」の監督アリ・アスターがプロデューサーに名を連ね、第82回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品された。先日発表された第98回アカデミー賞では、作品賞、主演女優賞(ストーン)ほか計4部門にノミネートされている。
世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕う従弟のドン。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。
ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。
「ブゴニア」は、2月13日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。

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