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全編ニワトリの視点で進行する奇想天外な物語、ほぼCGなしで撮影したコンペティション作品「雌鶏」囲み取材【第38回東京国際映画祭】

2025年11月1日 11:30

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プロデューサーのタナシス・カラタノス
プロデューサーのタナシス・カラタノス
(C)2025 TIFF

現代のギリシアを舞台に、全編ニワトリの視点で進行するというユニークなコンペティション部門出品作「雌鶏」(パールフィ・ジョルジ監督)が上映された。プロデューサーのタナシス・カラタノスが取材に応じた。

画像4©Pallas Film 2025 film still by DOP Giorgos Karvelas
【「雌鶏」あらすじ・概要】
養鶏場から搬送中に逃走した雌鶏は、かつてレストランだった建物の中庭に一時的な避難の場所を見出す。養鶏場からの逃避行をユーモラスに描きつつ、動物ならではのシンプルな本能、人間たちの欲望、現代社会の問題を批評的に浮かび上がらせる物語。
画像2(C)2025 TIFF
――どんなに素晴らしい企画であっても、映画は興行的な成功が見込めないと資金集めは困難だと思います。プロデューサーとしてこの企画にほれ込んだ理由を教えてください。

これまで聞いたことのない、ありふれたものではない物語であり、なにより動物が主人公であることに興味をかき立てられました。全編に雌鶏が登場し、本編後半から様々な人間模様が登場しますが、それはあくまで背景に過ぎません。監督と内容を掘り下げてディスカッションを行い、既存の動物映画とは一線を画していると確信したからです。

ただ、アートハウス作品なので、出資者を募るのは非常にチャレンジングな課題でした。予算としては200万ユーロ、その予算感で、何とか完成できたのですが、やはり出資者を募る過程には困難がありました。それはこの物語や監督の手腕の話ではなく、莫大な費用の掛かるVFXやアニメーションでもない本物の雌鶏を使って撮影することが、無謀だと思われたからです。

監督もニワトリを扱ったことはありませんし、私自身このようなプロジェクトを手がけるのが初めてだったので、撮影を開始し、このまま直感に従って企画を進めて大丈夫だろうか――そんな一抹の不安を抱いたこともありました。撮影期間は42日です。しかし、著名なハリウッド作や、「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」、最近ではヨルゴス・ランティモス哀れなるものたち」にも携わったハンガリーの優秀なアニマルトレーナーのおかげで、自信を持てました。

ギリシアでは人間に対して「ニワトリのように頭が悪い」と言ったりする、そんな比喩があるのですが、実際のニワトリはとても利口で、ちゃんと訓練することができるのです。

画像3(C)2025 TIFF
――まるで人間のような豊かな表情を見せたり、計算されたアクションのような動きも見せる雌鶏は、AIもCGもなしで撮影されたそうですね。

はい、人間が関わる火事や事故のシーンにはVFXを用いましたが、雌鶏に関してCGは一切使っていません。黒い雌鶏8羽とスタント用の2羽を使って撮影しています。雌鶏それぞれに、ノラ、エスターなど名前がついていて、トレーナーとともに、このシーンはノラが得意そうだからノラを使おう、など場面ごとに色々と話し合って撮影しました。

監督も、例えば「今日は1950年代のハリウッド映画のような雰囲気で、マリリン・モンローのように撮るよ」なんて言って現場を盛り上げると、本当そのように見えたりするんです。そんな演出が印象的でした。

画像5©Pallas Film 2025 film still by DOP Giorgos Karvelas
――撮影中は名演技を見せる雌鶏たちに情が移って、スタッフの皆さんはチキン料理が食べられなくなる……そんなことはありませんでしたか?

そうですね、撮影中、やっぱりチキン料理を食べる人は誰もいませんでしたね(笑)。

第38回東京国際映画祭は11月5日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。「雌鶏」は、11月2日TOHOシネマズ 日比谷にて20:55~上映。チケットは公式HPオンラインチケットサイトで発売中。

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