「壊れたカメラは修理されて皆を繋げる装置になった」オールド・オーク sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
壊れたカメラは修理されて皆を繋げる装置になった
ケン・ローチ監督89歳。
一貫して社会的弱者にスポットを当て、社会システムの脆弱性を訴えてきた。本作が監督引退作だという。
前二作(「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」)のような胸を掻きむしられるようなどん底の悲しみはない。
しかしイギリスの炭鉱町の小さなコミュニティに、今の世界が凝縮されている。対話以前の偏見と常に喧嘩腰の物言い。そして分断。
パブにたむろする連中も昔は懸命に働いた時もあったはずだ。でも結局は報われなかった。これも自己責任で済まされるものなのか。寄付の自転車は自分たちには回ってこない。
現実には難民側にも譲歩すべきところがあるのかもしれないし、悪さをする輩がいるかもしれない。
さらに乾いた大地に水が沁みていくようなラストの共感の広がりは、美談然と映るかもしれない。
それでもである。
ケン・ローチは自身の引退作に、敢えて希望と連帯を示したのである。「共に食べて団結を」ー敢えて映画でそれを描いた。
その心意気に私は心から敬意を表したい。
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