「クラシックでおしゃれなドタバタコメディ!」グランド・ブダペスト・ホテル トータんさんの映画レビュー(感想・評価)
クラシックでおしゃれなドタバタコメディ!
名作ということで鑑賞。
グランドブダペストホテルの所有者の変遷についての物語です。この作品の特徴といえば、なんといっても装飾、舞台や音楽です。割とシリアスなシーンや残酷な描写もありますが、常にコメディチックな音楽がかかっているおかげで、コメディとして楽しく見れるし、常にワクワクする感情を掻き立てられます。そして装飾や舞台が当時を実際に体感してるような壮麗さで視覚的にも非常に楽しいです。個人的に一番興味深かったのは、そのテンポ感です。まるでチャップリン時代のトーキー映画を彷彿とさせるような素早いテンポ感で当時の映画の雰囲気までも再現しているようでした。現代の映画に慣れきった身からするとずっとジェットコースターに乗っているかのような爆速のテンポで物語が進んでいて、飽きることがありませんでした。
最も印象に残ったシーンとしては、二人の逃走劇のシーンです。(結構長いシーンですが)、ホテルのコンシェルジュ組合の伝手を辿って隠れ家まで移動する中で、作品中でも随一のテンポでどんどん逃げていくのですが、ケーブルーカーでの乗り換えや、そりで雪山を駆け降りるシーンなど、笑えるシーンがたくさんあって、楽しかったです。
テーマとしては、近世的な文明と現代的な文明の結節点を描こうとしたのかなと思います。グスタヴが最後の近世的文明の煌めきとしての象徴的な役割を果たしていると感じました。彼は常に身だしなみに気を使い、プライドは人一倍高いが、その分自分磨きをしっかり行う。過ちを犯せば自分が忠誠を誓うもの(ホテル)に名をかけ誠意のある謝罪を行う点など、まさに「ジェントルマン」としての要素がふんだんに散りばめられていました。そんな彼も戦争というどうしようもない時代の流れによって無惨に命が奪われる。世界大戦による時代の変容はあまりにも急速で彼のようなよくも悪くも前時代的な人間がその寿命を果たすのも待たずに変わってしまうということを表していたのかなと思います。
とにかく、現代映画ではなかなか味わえない独特の演出、舞台、音楽、テンポで誰が見ても楽しめる作品だと思います。ぜひ一度、見ていただきたいです。
