怪談(1964)

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劇場公開日:1964年12月29日

解説・あらすじ

「人間の條件」「切腹」の小林正樹監督が、小泉八雲の「怪談」に収録された4編をオムニバス形式で映像化し、1965年・第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。生活苦から妻を捨て良家の娘と再婚した武士が思わぬ形で元妻と再会する「黒髪」、吹雪の中で雪女に遭遇した男の運命を描く「雪女」、平家物語を弾き語る盲目の琵琶法師・芳一が平家の怨霊に取り憑かれる「耳無芳一の話」、茶碗の中に映った見知らぬ男の顔をそのまま飲み干した男の末路を描く「茶碗の中」の4話で構成。キャストには三國連太郎、仲代達矢、岸惠子ら豪華俳優陣が集結。カンヌ国際映画祭では161分の短縮版が上映された。

1964年製作/183分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:1964年12月29日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第38回 アカデミー賞(1966年)

ノミネート

外国語映画賞  

第18回 カンヌ国際映画祭(1965年)

受賞

審査員特別賞 小林正樹

出品

出品作品 小林正樹
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映画レビュー

4.5 鎮魂と祈りの口承芸能

2026年6月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

癒される

豪華絢爛、充実の俳優陣の超大作であることにとても驚いた。武満徹による音響・音楽(琵琶と語り、鳴り物、三味線その他全て)、美術、衣装、色彩、世話物・時代物合わさって全てが素晴らしかった。怪談には、時代の中でやむなく命を落とさなければならなかった者たちへの祈りがある。そして、能であれ人形浄瑠璃や歌舞伎であれ、400年以上繰り返し繰り返し演者が人生をかけて演じてきた演目は死者への鎮魂でもあるのだと思った。

以下の4つのお話から成る構成。
1)黒髪:三國連太郎の最期が凄かった。ずっと待っていた妻の新珠三千代は清らか。
2)雪女:人間の男(若さ溢れる仲代達矢は雪女も惚れるほど)と一緒になってからは口の形と声で岸惠子とすぐにわかったけれど、雪女の時は誰なのかわからなかった。
3)耳なし芳一:芳一(中村嘉葎雄)の若さと美しさとひたむきさに心打たれた。寺男の二人(田中邦衛&花沢徳衛)が居てくれて笑うことが出来てありがたかった。それほど、たっぷりと時間をとった前半の壇ノ浦の合戦の場面と絵と語りに心が乱された。知盛も安徳天皇もいる。上方発祥の文楽・歌舞伎の判官(義経)贔屓の裏側には、平家(や菅原道真や平将門、その他たくさんの人々)の無念と怨霊に対する畏怖があることに気づかされた。
4)茶碗の中:奈良岡朋子、佐藤慶、杉村春子、二代目鴈次郎によって話を終わりに持って行くキャスティングと手法がよかった。

見たのは162分の短縮版だが充分に濃厚な内容で、日本の伝承と語りに心が満たされ、なぜか気持ちがとても落ちついた。不思議だ。ずっとずっと昔の口承文学の力。無理やりの西洋化でおかしくなる明治時代よりずっと前のお話。

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talisman

3.0 インテリ監督による観念的フォークロア映画

2026年5月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

まず3時間超えはキツイね。これでも短縮版だっていうんだから。四話形式でそれそれのエピソードは完全に独立しているんだから真ん中に休憩を入れてもよかったのでは。
小林正樹と仲代達矢特集の一本として上映された。オールドファンが多いのか満席。この作品は小林正樹が監督で、「雪女」の主役が仲代。原作はクレジットと違い全部がラフガディオ・ハーンの「怪談」からではなく、「黒髪」は短編集「影」から(タイトルは「和解」)、「茶椀の中」は短編集「骨董」から。
当時の日本人の持っていた「怪談」のイメージは現在の「怖い話」とか「ホラー」とかとは異なる。もっと「霊異譚」とか「因縁話」とかに近かった。(八雲に口述したセツ夫人はロウソクを吹き消すという演出をしているので怪談というものは「百物語」のように「話すことで祟りがある物語」という理解をしていたのかもしれない)
ただハーンは自分が採集した話はあくまでフォークロア(民話)の範疇という捉え方をしていたようだし、文体は固くて小説家というより民俗学者的で理屈っぽい。(「知られぬ日本の面影」あたりを読むと彼がどれだけ観念的であるかよく分かる)
小林正樹は早稲田の文学部哲学科を卒業したインテリであり、後の作品「東京裁判」などでも分かる通り理念、思想が先立つ映画人である。だからラフガディオ・ハーンの作品とはどちらかというと相性がよくて特に「黒髪」「雪女」「耳なし芳一」の3篇については因果応報というハーンが採取した民話の根幹理念を理屈の上ではよく伝えている。
ただ小林の限界はその情緒的表現の欠落である。例えば「耳なし芳一」では花沢徳衛と田中邦衛がコメディ的な動きをするが演者たちの力量に比してこれが全く面白くない。そして何より致命的なのは小林は女優をキレイに撮れない人で、この作品でも雪女の岸惠子が美しくないのである。
つまりこの作品はハーンの原作の解釈にとどまっていて映画としての美しさや楽しさ、恐ろしさを身にまとうことができなかったということになる。
「茶碗の中」は三代目中村翫右衛門の素晴らしい演技、体技を鑑賞することができる面白い一編であるが、ヘンテコなオチをつけてしまったのが失敗だった。原作通りにしておけば良かったね。

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あんちゃん

4.5 まるで舞台劇!恐れと共存した人の物語

2026年4月30日
スマートフォンから投稿

人とは勝手な生き物である。

「黒髪」では
優しい妻を捨てた男の末路
「雪女」では
愛と裏切りの果ての悲しみ
「耳無し芳一の話」では
現世への未練と取り憑かれた男
深い悲しみが世を乱す物語
「茶碗の中」では
異次元の不思議な魂の話
じわりと沁み込む恐怖
短い話だが、これは怖い。

日本の何処かにあった話の数々
闇の隙間に閉じ込められた数々

ホラーというよりも
美しさの存在する恐怖。
簡素化されたセット美術
そこに閉じ込められた空気
四話の怪談にゾクっとする。

オープン世界の映画とは違い
狭い舞台劇を感じ鑑賞する感覚
原作の小泉八雲も素晴らしいが
監督が小林正樹であった事は幸い

舞台装置や照明・構図の美
演者の細かい描写は必見。

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星組

4.0 映像が綺麗

2026年3月24日
iPhoneアプリから投稿

出演者が当時の豪華キャスト、セットも豪華、琵琶を中心とした音楽も素晴らしいです。4つのストーリーのうち、耳なし芳一が一番好きです。黒髪もよいけれど、似たような話の「雨月物語」には遠く及ばない。

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ジョニーデブ