苦役列車

劇場公開日:2012年7月14日

解説・あらすじ

西村賢太による2010年・第144回芥川賞作を「天然コケッコー」「マイ・バック・ページ」の山下敦弘監督が映画化。昭和の終わりの酒と風俗におぼれる日雇い労働の青年の姿を通して、孤独や窮乏、生きる力について描き出していく。1987年、中卒で19歳の北町貫多は、日当5500円の日雇い労働でその日暮らしの生活を続けていた。生来の素行の悪さと性犯罪者だった父をもつ引け目から友人も恋人もいない貫多だったが、ある出会いによって大きく変化していく。主演は「世界の中心で、愛をさけぶ」「モテキ」の森山未來。貫多が港湾労働で知り合い、貫多に変化をもたらしていく専門学校生・日下部正二に高良健吾が扮する。映画オリジナルのヒロイン・桜井康子役で「AKB48」の前田敦子も出演。

2012年製作/113分/R15+/日本
配給:東映
劇場公開日:2012年7月14日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第36回 日本アカデミー賞(2013年)

受賞

優秀主演男優賞 森山未來
優秀助演男優賞 高良健吾
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(C)2012「苦役列車」製作委員会

映画レビュー

4.0 塩吹き黒Tシャツの説得力

2012年7月27日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

のっけから、昭和の匂い。主人公の登場を待つくすんだ町の情景に、素っ気なくクレジットがかぶる。ああ、かつての邦画やテレビドラマのつくりってこうだったな、と思う。その時は最新だったはずのあれこれは、数年たつとあっさり色あせ、古ぼける。そうなると見向きもされない。けれども十年も経てば、「あの頃」を思い出させてくれ懐かしいと再びもてはやされる。…それって、あまりにも安直すぎないか?本当のところ、中身はどうなんだ?と感じることがしばしばある。
本作も、舞台は「かつて」の80年代。主人公・貫太の友人・正二のラガーシャツやスポーツバック、康子のふわふわしたセーターやロングスカートは、確かに当時を彷彿とさせる。
ところが、どうだ。貫太は「今」そのものを生きている。そこらにぬぼーっと立っていそうな存在。きっと、いつ観ても「今」を感じさせるだろう。わしわしと白飯をかきこみ、重い袋を持ち上げる。何より衝撃を受けたのは、彼の黒いTシャツについた白い汚れ。壁でもこすったのか?…と頭をめぐらし、はっとした。白いものは、彼の汗をが乾いてできた塩だ!
汗が塩になるには、汗が乾かない状態が必須。それには、ひっきりなしに汗水流すだけでは足りない。汗を受け止めきれない、吸水が悪く乾きにくい安っぽい布地(最近のドライ機能つき特殊素材ならば起こり得ない!)の服も条件になる。そしてもちろん、貫太は、ろくに洗濯せず、何日も着続け、日々塩を量産しているのだろう。
ダメダメ男の物語をどう結末付けるのか…が途中から気になったが、期待は最後まで裏切られなかった。ドスン!と豪快で軽やかな落下。小説と異なる、映画ならではの幕切れ。鮮やかこの上なかった。
貫太は、今も相変わらず、そこいらをうろついているはず。でもそれは、「一見」に過ぎないのかもしれない。変化は、じわじわと、ある日突然やってくる。

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cma

3.5 【”俺は悪くない。”今作は或る事情で中卒の学歴の男がそのコンプレックスの中、文学に頼り生きようとする屈折した生き方をする姿を描いた作品である。】

2026年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■中速の19歳の北町貫多(森山未來)は、キツイ日雇い労働で稼いだ金をあっという間に酒と覗き屋など風俗に費やす未来の見えないその日暮らしの生活を送っていた。
 そんなある時、貫多は職場で育ちの良さそうな専門学生の日下部正二(高良健吾)と親しくなり、初めて彼と友達らしい付き合いをするようになるのである。

◆感想

・ご存じのように今作の原作は、50歳代で夭逝した今作の原作で芥川賞を獲得した西村賢太氏の著作である。
 氏は今作の北町貫多を、創作された人物であると語っていたそうであるが、裕福な家庭に産まれ乍ら、その家を支えていた父親が或る日、連続○○犯として逮捕されてからの苦渋の日々を経験した男、北町貫多は氏のようにしか見えないのである。
 自分の事を”僕”と呼び、屈託した日々を過ごす中、プライドだけは高い男の姿は、観ていてキツイモノである。

・そんな彼の前に現れた日下部正二は、彼を対等の友人として扱い、又、貫多が密かに恋する古書店の店番をしている桜井康子(前田敦子)と彼とを、友人として引き合わせようともするのである。

・前田敦子さんは、今作での好演もあり翌年山下監督の「もたとりあむタマ子」で主演したが、当時この作品を偶々劇場で観た私は、彼女が元アイドルとも知らずに注目すべき女優さんが出て来たと思ったモノである。
 話がずれた・・。

・今作で描かれる北町貫多は、鼻持ちならぬ嫌な奴である。決して友達には成りたくない、下衆な男であるが、何処か静謐な品性も併せ持っているのである。それを、森山未來氏が見事に演じていると思うのである。

・個人を貶したくは無いが、私は西村賢太氏は、その複雑すぎる傲慢で屈託した性格が嫌いであった事を、今作を観て思い出したのである。
 だが、氏が50代で早逝したニュースを聴いた時には、何となく”最後の無頼派ではなかったか”とも思ったのである。

・今作で特筆すべきは、同じ職場で働く高橋を演じたマキタスポーツの演技であると思う。仕事中の事故により、足を大怪我しながらも、病院を抜け出し会社からの雀の涙程度の見舞金を北町貫多から、場末のバーで受け取った後に、彼が作家に成りたいと告げるのに対し、”中卒なんかに、未来はねえんだよ!”と言いきり、歌っている客のマイクを強引に奪って歌う姿は、彼のベストアクトの一つだと思ったのである。

<今作は或る事情で中卒の学歴の男がそのコンプレックスの中、文学に頼り生きようとする屈折した生き方をする姿を描いた作品なのである。>

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NOBU

3.5 原作小説と映画化

2026年8月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

悲しい

カワイイ

近年では珍しい(?)無頼派の小説家だった西村賢太の芥川賞受賞作(未読)である私小説の映画化。しかし西村さん、芥川賞から10年ちょいで亡くなったのか……。そう考えると最後まで無頼派だったんですね。僕は原作には興味が無く、映画館では観逃してレンタルDVDだったかWOWOW放送だったかで観た。当時はまだAKB48在籍中だったヒロインの前田敦子目当てである。

僕は映画はまあまあ面白かったんだが、原作者の西村は映画にかなり不満だったらしい。この辺が小説(やマンガ)とその映画化・ドラマ化の難しいところだろう。僕は原作未読だし、映画が面白かったからそれでいいと言えるんだが、一方で原作者や原作ファンが不満を表明する権利ももちろんある。僕も好きな原作の映画化やドラマ化を観た時に不満を感じることもあるんで、その気持ちはわからないでもない。

ただまあ繰り返すが僕はこの映画はまあまあ面白かった。それはやはりお目当ての前田敦子によるところが大きい。映画オリジナルの登場人物だそうだが、彼女の魅力とポテンシャルが遺憾無く発揮されていた。逆を言うと彼女(の役)がいなければ、ちょっとしんどい映画だったとも言えるが。

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バラージ

3.5 天才小説家の若き頃の過ち

2026年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

桜井康子(前田敦子)がヒロイン。
昭和時代がメインの話。
凄いのはダメ男に扮する森山未來さん。
性犯罪者の息子は どうなってしまうのか。
そのラストが なかなか良い。

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Don-chan