リード・マイ・リップス

劇場公開日:2003年9月20日

解説

チンピラの男と難聴の女が奇妙な愛を交歓しつつ犯罪を行なうサスペンス。監督・脚本は「天使が隣で眠る夜」のジャック・オディアール。撮影は新鋭のマチュー・ヴァドゥピエ。音楽は「天使が隣で眠る夜」「ハーフ・ア・チャンス」のアレクサンドル・デスプラ。出演は「アレックス」のヴァンサン・カッセル、「エスター・カーン/めざめの時」のエマニュエル・ドゥヴォス、「イゴールの約束」のオリヴィエ・グルメほか。2002年セザール賞主演女優賞、脚本賞、録音賞受賞。

2001年製作/119分/フランス
原題または英題:Sur mes l_vres
配給:シネマパリジャン(テレビ東京=シネマパリジャン 提供)
劇場公開日:2003年9月20日

あらすじ

難聴というハンディキャップを抱えるOLのカルラ(エマニュエル・ドゥヴォス)は、日々やりがいのない仕事に追われ、孤独を感じていた。そんなある日、刑務所帰りの青年ポール(ヴァンサン・カッセル)が、彼女のアシスタントとして現われる。ワイルドな魅力の彼に、一目で興味を抱くカルラ。一方、彼女が読唇術の持ち主であることを知ったポールは、それを利用して、ヤクザのボス、マルシャン(オリヴィエ・グルメ)の闇の組織から大金をくすねる算段を思いつく。カルラは悪事に巻き込まれるのがまんざらでもなく、二人は共犯関係で結ばれていく。いよいよマルシャンの大金を強奪する時が来たが、ポールは彼に疑われ、監禁されて暴行を加えられる。それを隣のビルから双眼鏡で覗いていたカルラは、彼の唇を読み取ってサインを受け取った。カルラはマルシャンが高飛びしようとしていることを偽装する機転を働かせ、脱出に成功したポールと逃亡。そしてカルラは車の中から、ポールの担当だった保護監察官のマッソン(オリヴィエ・ペリエ)が、妻殺しの容疑者として警察に連行されていく姿を目にするのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

3.0 人体の「代償機能」

2026年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もちろん、評論子は「その筋」の専門家というわけではありませんけれども。
人の体には、その障害を補う機構が備わっていると承知しています。

たとえば、目が不自由(視覚障害)な状況下では、周囲の環境情報を得るために、嗅覚を含む他の感覚が相対的に鋭敏になることが知られているそうです。

「視覚情報を失った視覚野は、代わりに他の種類の感覚情報、つまり聴覚や体性感覚情報を処理するようになり、その結果、聴覚や触覚が鋭敏になる、という「異種感覚間可塑性」と呼ばれる現象が生じます。この現象は1990年代に提唱され、広く知られています。」[大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所のwebページから引用]

耳が遠い(日常的に補聴器を装用している)ことから、外界(社会)との積極的な交友を避けてきた本作のカルラも、その障害(?)の、いわば代償として、読唇術という特技を身に着けることができたものでしょう。

口の動きを読んでいるときに(これ自体は視覚的な処理です),音の処理を司る脳部位(聴覚野)が活動することからも示されるように,読唇術は複数の感覚が協調するマルチモーダルな活動(日本心理学会のウェブページから引用)ということですけれども。

本作は、彼女のそういう特性(特技?)をモチーフとして組み立てたサスペンスものとして、構想が優れているというべきでしょう。

それに加えて。
そういう単なるサスペンスものとしての水準を超えて、カルラという一人の聴覚障害をもつ女性の生きざまを活写した作品として、いわば「人間賛歌」としての側面も見逃せないのではないでしょうか。

この点、別作品『エミリア・ペレス』のように、「抗う人」を描く(同作についての映画.comサイトの解説)という、いかにも本作のジャック・オーディアール監督らしい作品と評せるとも、評論子は思います。

それやこれやを併せ考えると、本作は、十分な佳作だったと思います。
評論子は。

(追記)
カルラが受付嬢として働いているセディム社は、いわゆる「ゼネコン(元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接に請け負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者=総合工事業者・総合建設業者)みたいな会社なのでしょうか。

そして、会社が彼女の助手を雇うことを計画した際に、その助手として男性を希望したのは、受付嬢として仕事上では他者とは深い人間関係を築きづらかったであろうカルラには、なかなか「出会い」の機会がなかったこととも関係がないわけではなかったようです。

そして、そこに現れた助手ポール・アンジェリは、窃盗犯で服役し、仮釈放中の身の上。

その意味では、ポールもやはり、社会での更正に人生を賭けているという点で、上記でいうところの「抗う人」の一人だったのだろうと、評論子は思います。

ときには、そのポールを脅してまでも、彼を巻き込もうとするカルラ―。
その二人の関係性が形作られてゆくプロセスも、本作の「味付け」になっていることは、疑いがなかったとも、評論子は思います。

(追記)
保護司の妻が「所在不明」になってから、一週間前後が経つとか―。
そのことは、犯罪というものが、いわゆる「裏社会」にだけ存在するものではなく、「表社会」にも存在するものだということを指し示しているしているのだろうと、評論子は受け止めました。

本作のカルラとポール―。
結果として、二人が手に入れたのは不正蓄財された現金―その意味では「毒樹の果実」なのですけれども。

しかし、抗って一生懸命に生きようとする彼女と彼には、そんなことは、どうでもよいことだったのかも知れません。
抗いながら一生懸命に生きようとする彼女と彼には、社会の裏も表も、そんなことには何も関係がなかったのでしょう。

本作のそういう結末も、評論子には印象深い一本になりました。

コメントする (0件)
共感した! (1件)
talkie

3.0 スリル満点

2023年2月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ストーリーは破茶滅茶で、気になるところ一杯です…

コメントする (0件)
共感した! (0件)
jiemom

4.0 配役の妙

2023年2月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! (3件)
こころ

4.0 思わぬ展開!

2023年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

不釣り合いの2人だが、2人とも妙にセクシー
保護監察官の妻の話は何?いる?

コメントする (0件)
共感した! (1件)
aboy