チャオ・パンタンのレビュー・感想・評価
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ひたすら暗いノワール
4月に観た「パリから来た殺し屋」が良かったので、再びフレンチ・ノワールに期待して鑑賞。
しかし、こちらはひたすら暗い、そして真っ黒…のイメージです。
移民が目立つようになった1983年のパリ18区が舞台、登場人物は、社会のはみ出し者たち。
ストーリーは、C・ブロンソンの「狼よさらばシリーズ」を思い出した。
身近な者の命が奪われたことをきっかけに私刑していくところ、警察が目を瞑るところ…など。
主人公ランベールの復讐は、何の迷いもなく、あっさりと遂行、でした。
彼の運命を変えた薬の売人たち。
ベンスサンのためだけでなく、息子のための復讐でもあったのかも。
いや、復讐と言うより、自分の人生にけじめをつけた感じですね。
ひっそり死刑囚のように生きてきたのに、くすぶってた火が燃え上がった感じ。
そこがこの作品の重要ポイントである気がするが、凡人には理解し難い。
また、パンク少女ローラが突然中年ランベールに惹かれたのは、不自然すぎて急激に(映画の中の世界から)引き戻された。
治安の悪い地域、道はごみだらけ、そして夜の街…ノワールの雰囲気はあったと思います。
あとは印象的な音楽が欲しかったです。
夏の撮影だったのか、俳優達がすごく汗をかいてたのが気になりました。
ちなみにランベール役のコリューシュは、老けてますが、撮影時まだ30代。
悩みを抱え、薬物中毒だったそうです。
静かに怒り、静かに事を起こす、そして静かに散っていく。
ガソリンスタンドで働くアル中気味の中年オヤジ、もう人生半分降りてるぐらいの生き方なのは見て取れる。
言葉を交わすようになった青年とのささやかな交流、深く関わる気などサラサラない、いっときの孤独を紛らわす程度の交流だ。
だがこのオヤジ、好き好んで人生半分降りてる訳ではない、孤独を望んでいる訳でもない、訳ありだ、交流を重ねる度に本来の情深さがでてしまう。
似合わないのに恋の助言をしたり、似合わないのに普通の人生を説いたりする、自戒を込めて息子に重ねてしまったんだろう。
そんな青年の無念を晴らすべく、自身の腕の中で逝ってしったダイレクトな悲しみや怒りに、決して復讐などと言う一言で片付けられない彼自身の色々なけじめのために立ち上がる。
元の職業柄、入念な下調べのなかで青年が生前一夜の恋をした不良娘とも妙な親交が生まれ、これがこの映画をエッジの効いたものにしてくれている。
ノワール、男臭さは重要だが女の哀しい目も男の馬鹿さ加減を際出させるのに必要だ。
主要3人、男2人に1人の女、本当は関係性のまったく薄い3人の話、しかし何か上手く生きれない者同士が悲しみの底で小さな火を灯す泣ける話だ、ラスト、当然のように訪れる悲劇に女の咆哮とともに涙が止まらなくなる。
フレンチ・ハードボイルド映画!
80年代に子供だった自分では理解できなかったハードボイルド映画。50代の今、4Kで見ることができるのは有難い。
プロットは単純で、特に驚く様な展開はなし。それでも見る価値があるのは、移民が増え始めたフランスの空気を感じることができるのと、素晴らしい役者の演技を味わえるところ。
ガソリンスタンドで夜番の仕事をしている中年のオッサンが、若くてパンクなギャルに惚れられるほどカッコ良く思えてくる。当時、演技が評価された俳優陣の実力は、現在においても色褪せることはないと思います。
前半の話の展開が冗長に感じると思うからこそ、早送りができないシバリがある映画館で見ることをお勧めます。
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