ジャッカルの日

ALLTIME BEST

劇場公開日:1973年9月15日

解説・あらすじ

フランスのドゴール大統領暗殺を請け負った孤高の殺し屋ジャッカルと、彼を阻止しようとする警察の戦いをドキュメンタリータッチで描いた社会派サスペンス。フレデリック・フォーサイスの同名小説を原作に、「地上より永遠に」のフレッド・ジンネマン監督がメガホンをとった。1960年代、フランス。アルジェリアからのフランス撤退に反対する秘密組織OASは、数度にわたってドゴール大統領の暗殺を企てるが、ことごとく失敗する。取り締まりが厳しくなり弱体化したOASは最後の手段として、フランス当局には名前も顔も知られていない謎の殺し屋“ジャッカル”を雇う。不穏な動きを察知した当局は捜査を開始するが……。殺し屋ジャッカルを「遠すぎた橋」のエドワード・フォックス、ジャッカルを追う警視ルベルを「007 ムーンレイカー」のマイケル・ロンズデールが演じた。

1973年製作/142分/イギリス・フランス合作
原題または英題:The Day of the Jackal
配給:CIC
劇場公開日:1973年9月15日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第31回 ゴールデングローブ賞(1974年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 フレッド・ジンネマン
最優秀脚本賞 ケネス・ロス
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(C)1973 Warwick Film Productions, Limited. All Rights Reserved.

映画レビュー

5.0 息つく間もないとはまさにこのことだ!

2026年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

空港の名前にもなっているフランス第18代大統領、シャルル・ド・ゴールの暗殺計画を、反政府組織から暗殺を請け負った凄腕スナイパーと、負けず劣らず優秀な警視との攻防戦として描き切る。両者の追いつ追われつが身震いするほど面白くて、久々に配信で観たので早速ここにアップしてみた。

1960年代初頭、フランスでは財政的な問題等からアルジェリア戦争を終結させたド・ゴール大統領の政策に反対する現地軍人たちがテロ組織、OASを結成して政府転覆を狙っていた。フランス政府の取り締まりが強化される中、追い詰められたOASがド・ゴール暗殺の切り札として選んだのが、素性が割れていない一匹狼の殺し屋、通称ジャッカルだった。

スナイパーとそれを追う警察というプロットならスピード感が命だ。名匠、フレッド・ジンネマンはそこをよく熟知していて、パスポートの偽造に始まり、目的のためなら性別に関係なく逆ハニートラップを仕掛けてターゲットに接近していくジャッカルと、寸前のところでかわされながらもギリギリ手の届くところまで肉薄する追跡側の攻防を、息つく間もなく見せていく。凄いのは、暗殺計画が進むごとに両者の距離感が一気に縮んでいくところ。改めて観ると、こんな原作(フレデリック・フォーサイス)をこんな形で映画化できる時代を懐かしく感じてしまう。

何人かの候補があった中、ジンネマンが白羽の矢を立てたジャッカル役のエドワード・フォックスの冷たい熱演が、この物語のガイド役にはピッタリ。そして、役側も個性も見た目も真逆のミシェル・ロンズデール扮するルベル警視の存在が魅力的で、こっちも忘れ難いのだ。

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清藤秀人

3.0 「仕事」に対する非情なまでのストイックさ

2026年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「依頼の政治的背景には関心がない」と言い切って、請け負った自分の仕事にただ向き合おうとする孤高の暗殺者・ジャッカル―。
 彼が請け負った大統領暗殺計画を察知したフランス政府と、ストイックに「その仕事」を実行しようとする「ジャッカル」との息詰まる攻防が、手に汗握ります。

本作では、本名不詳の暗殺者のコードネームが、その題名にもなっている「ジャッカル」。
もちろん、モノホンのジャッカルも、自ら狩りをして捕食もするようですけれども。
しかし、多くは、自らは狩りをせず、他の猛禽(もうきん)類が狩って、それらが食べ残した死肉を漁(あさ)る習性もあることから、「死」や「死神」の概念と結びつけられる狡猾な肉食動物ということです。

本作の「ジャッカル」も、自らの身元が知れることを防ぎ、身の安全を保持するために必要とあらば、身分証の偽造屋を始末することも少しも躊躇(ちゅうちょ)せず、自らの行動に足跡を残さないがために利用した貴婦人や市井の市民の命も、虫けらほども顧(かえり)みず、ただただ非情なまでのストイックさで「自分の仕事」を執り進める―。

その狡猾さは、まさに野生のジャッカルそのものと言えたのではないでしょうか。

その設定も十分に活かされている点で、政治ドラマとしては、十分に楽しめる作品だったばかりではなく、けっきょく「ジャッカル」の素性は不明のままという結末は、サスペンスものの一本としても秀逸だったと、評論子は思います。

佳作としての評価に間違いのない一本だったとも、思います。

(追記)
評論子の記録では、本作は2009年8月29日に、TV放送からの録画を鑑賞し、今回は二観目ということになりますけれども。

実は、本作を再観する動機になったのは、鑑賞済みの別作品『アクシデント/意外』(2008年/87分/香港/ソイ・チェン監督)、『プロット殺人設計者』(2024年/99分/韓国/イ・ヨソプ監督 前記作のリメイク)のレビューの起草に行き詰まってということでした。

両作とも「暗殺」をモチーフとする作品なのですけれども…。
これらは「チームによる暗殺」のストーリー。
苦肉の策(?)として思い出したのが、両作との対比で「単独犯によるストイックな暗殺もの」という本作だったというわけです。

「ストイックな単独犯」と「チームプレー」によるそれぞれの暗殺ストーリー。

その視点から、本作の二観目を終えた今は、上記2作品についても、なんとか評論子なりのレビューが書けそうな気が、ようやくしてきています。

(追記)
本作は、周知のとおりスリラー小説「ジャッカルの日」(イギリスの作家:フレデリック・フォーサイス著 1971年刊)の映画化作品ということですけれども。

そして、原著作とその映画化作品との関係性については、当サイトのレビュアーのみなさんにも、それぞれの一家言があることとは思いますけれども。

実は、評論子は「映画を観たら原著作は読まない」「原著作を読んだら映画化作品は観ない」ということを、ずっと信条にしてきていました。

それは、どうして忘れることができましょう、ノンフィクション作家の大御所・柳田邦男氏の大著「零戦燃ゆ」(飛翔篇、熱闘篇、渾身篇の三部とも読了)の映画化作品『零戦燃ゆ』(1984年/128分/日本/舛田利雄監督)を観て以来、ということです。

すなわち、柳田氏の原著作ではしっかりと描かれていたゼロ戦=海軍零式艦上戦闘機の設計者である故・堀越次郎氏(三菱内燃機製造、現:三菱重工業)のストイックなほどの「立ち位置」が、映画化作品ではグズグスになってしまっていた―。
評論子は、これで、癒しがたいトラウマをしっかり抱えてしまったという次第。

この点、本作は、原著作を読み、その映画化作品も観たという評論子としては「稀有な作品」になります(原著作は、大学一年生の頃の入院時に、病床で読んでいます。病棟に回診に来た主治医も読んで面白かったということで、回診時の療養指導はそっちのけで二人して話題が盛り上がり、随行の看護師にも呆れられた。)。

そういう意味では、今回の本作の二観目を契機として、評論子の上記のトラウマを克服すべく、もう一度だけ上掲映画化作品の『零戦燃ゆ』も、再観してみようかとも、思うことができました。

ほんの余談ですけれども。
本作の再観は、評論子には、そんなことの契機にもなりました。

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talkie

4.0 イージージョブ?

2026年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

驚く

ジャッカルの日

「大統領暗殺」なんて誰にでもできる、訳はないのだが、そんなとんでもない勘違いを誘発する映画だった。
驚異的な視力だったり、反射神経だったり、感情がなかったり、スナイパー=超人が相場と思っていた。あと当然無口で、時々、哲学的な警句を口にする、はずだった。
なのに、この元祖スナイパー・ジャッカルはよく喋る。腕利き振りを強調するエピソードもあんまりない。ロングショット中心のカメラは、暗殺の段取りを踏んでいくジャッカルを素っ気なく映していて、普通の人がまじめに仕事をしているだけのように見えるのだ。派手なBGMも洒落たセリフもない。
捜査当局も地道な捜査に徹していて、これも普通に仕事をしているように見える。
しかし普通の仕事の結果、この間に最大5人も殺されている。
のぞき見をしているような時間が長く続いて、クライマックスの狙撃シーンで急に緊張が高まって、それが一瞬で終わる。最後にジャッカルとは何者なのか分からないと捜査官が言う。では、今まで見てきた「普通の風景」が一気に反転して空恐ろしさが際立つ。
ラストの一瞬にすべてを凝縮したような映画はタイパ重視の今時では作れないだろうなと思う。

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ざむざむ

4.0 スナイパーの息づかい

2026年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

斬新

ドキドキ

【概要】スマートな暗殺者とクールな警視の頭脳戦の行方を臨場的に描く
【特記】禁断の設定とリアリティ演出によるゴルゴ13実写劇で勝負を問う
【哲学】ギリギリの勝負を分かつ紙一重

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@SAY