幻の光

劇場公開日:2024年8月2日

幻の光

解説・あらすじ

能登の雄大な自然を背景に、ひとりの女性の喪失と再生を描いたヒューマンドラマ。独立系制作プロダクション「テレビマンユニオン」のドキュメンタリーディレクターとして活躍してきた是枝裕和の映画監督デビュー作で、原作は宮本輝の同名小説。

12歳の時に祖母が失踪したゆり子は、祖母を引き止められなかったことをずっと悔いていた。大人になり結婚し、息子の勇一を授かり、幸せに暮らしていたゆみ子だったが、ある日、動機がわからないまま夫の郁夫が突然自殺をしてしまう。再び愛する者を引き止められなかったゆみ子は、悔恨の思いを胸に秘めながら、日本海に面する奥能登の小さな村に住む民雄と再婚する。先妻に先立たれた民雄には友子という娘がいたが、勇一と友子も仲良くなり、ゆみ子は新しい家族と再び平穏な日々を過ごすが……。

第52回ベネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞(撮影に対して)を受賞。本作が俳優デビューとなった江角マキコが主人公ゆみ子役を務め、第19回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。郁夫役に浅野忠信、民雄役に内藤剛志。そのほか大杉漣、木内みどり、柄本明らが共演した。2024年8月、同年1月に能登半島で起きた地震で大きな被害を受けた、本作の舞台でもある石川県輪島市を支援するため、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

1995年製作/110分/G/日本
配給:テレビマンユニオン
劇場公開日:2024年8月2日

その他の公開日:1995年12月9日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第52回 ベネチア国際映画祭(1995年)

受賞

金のオゼッラ賞(最優秀撮影賞) 中堀正夫
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(C)1995 TV MAN UNION

映画レビュー

4.0 「是枝裕和監督特集Vol.1 デビュー作はまるで光と影、生と死を想像させる幻のような映画であった」

2026年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

斬新

 是枝監督のデビュー作を初めて観た。このデビュー作が公開されたとき、映画界に大きな衝撃をあたえたのではなかろうか。それだけ新人監督として鮮烈なデビューであったことだろう。

 宮本輝の原作を萩田芳久が脚色し、是枝裕和が監督した作品。小説における文字を映画化するにあたり、台詞がひじょうに少なく、ひたすら映像で表現しているのが本作の大きな特徴だ。

 舞台は長屋が軒を連ねて貧相な家並みと活気ある商店街がひしめく尼崎。冒頭、ゆみ子のおばあちゃんが家を出てゆみ子は追うが、おばあちゃんは、死に行くから四国に帰ると言って姿を消してしまう。ゆみ子はその後、突如現れた郁夫と結婚し男の子を授かる。幸せの絶頂にいたゆみ子。しかし郁夫はなんの理由もなく、夜電車にひかれ自殺し亡くなる。ゆみ子は数年後知り合いの紹介で、妻を亡くした奥能登の住む民雄と結婚する。

 是枝監督は奥能登のさびれた、なにもない、ただ自然にあふれた荒涼たる風景をじっくりと描出する。まるで尼崎の活力のある街と比較するように。しかしその村に飛び込んだゆみ子の心持は寂しいとか、田舎くさいという不満はなく、この土地で生きる強い意志を感じた。

 しかし、ゆみ子が広い家の階段を掃除しているとき、一瞬手が止まる。また半年ぶりに里帰りしたとき、郁夫と一緒に暮らしていた部屋の前の廊下でゆみ子はなにかをじっと見つめる。階段で、廊下でゆみ子はなにを見たのか。想像力がふくらむばかりだ。

 ゆみ子が里帰りを終えて奥能登に帰ってきてから様子がおかしい。ぼんやりしている時間が多いのだ。映画はここから極端に台詞が少なくなり、映像の積み重ねでゆみ子の心の揺らぎを描出していく。

 葬式の列が見えた。ゆみ子はなにかに導かれたようにその最後尾をとぼとぼ歩いていく。その姿は、奥能登の自然とあいまって映像に幽玄性が漂っていた。ゆみ子の魂はどこにいってしまったのか。海の側で火を見つめて立っているゆみ子を民雄が見つけ、家に連れ戻そうとする。そのときゆみ子が「なんで夫が自殺したかわからない」とまるで光がささない、夫の亡霊を追いかけるように民雄に呟く。民雄が発した言葉は「不思議な光に導かれたのではないか」。そしてラストシーン、ゆみ子と民雄の部屋にある机の上に置かれている紙とペン。

 結末はまったくわからない。ただ映画を観る最大の楽しみ「想像する力」を是枝監督があたえてくれたことがうれしかった。ずっと幻想を見ていたのだろうか。いやスクリーンに映されていたのは光だ。しかし光には必ず影もつきまとう。光と影の因果関係。生と死。なんと幻想的な映画であったことか。

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かな

未評価 能登の雄大な自然、特に日本海が美しい。鑑賞中、この景観と穏やかな暮らしが失われ、復興が遅々として進んでいないことが頭をよぎる。この映画の良さはボクには分からない。

2025年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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マサヒロ

5.0 ほんとうに痛みの伴う出来事は、一時的な感情の爆発で収まるものではな...

2025年3月2日
iPhoneアプリから投稿

ほんとうに痛みの伴う出来事は、一時的な感情の爆発で収まるものではなく、事実としてあっさり過ぎていって、当の本人が一番出来事に取り残されたようになる。感情のやり場というものがなくなる。それでもかなしみに浸り続けることができるわけではなく、日常的なことは続くし、日常的な感情だって芽生えてくる。でもそれは忘れたということにはならず、時間に溶かされて無くなっていくというのも少し違くて、どんな時にもふとした悲しみとして抱えられている。それは言葉や議論によって解消されるような技術的なものでもない。そんな、難しさを生きていくということ、姿を、この映画は画を介して美しく優しく肯定的に描いている。また、悲しみを抱えている人に寄り添うことがどういうことか、という問題にもこの映画は常に向き合っていた。なぜ死んだのかという答えのない問いに、まさにタイトルそのものである「幻の光」の話を出すシーンがまさにその現れだと思う。
失ったものを抱えたままいることは確かに辛いことであるけれども、その重みを忘れてしまうよりも感じていられる方が、わたしは自分の人生を確かに感じることができると思って。
この映画じたいが、日常あまり出せないそういう感情を思い起こさせてくれる貴重な時間でした。

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kp

2.5 幻の光とは??

2024年12月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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映画イノッチ