零下五十度の抑留者

劇場公開日:2026年9月5日

解説・あらすじ

シベリア抑留から生還した台湾人の元日本兵たちの存在に迫ったドキュメンタリー。

日本統治下の台湾では約20万人におよぶ台湾人が日本軍の兵士として戦地へ送られ、終戦後、そのうちの一部はソ連軍の捕虜となり極寒のシベリアに送られた。約60万人の旧日本軍兵士や民間人がソ連によってシベリアや中央アジア各地の収容所に連行されたシベリア抑留では、抑留者たちは鉄道建設や伐採、鉱山開発など過酷な労働を強いられ、飢えと氷点下の寒さで約6万人の命が失われた。しかしその中にいた台湾人捕虜の存在は、戦後の日台を取り巻く複雑な国際情勢の狭間で長く見過ごされ、現在に至るまで正確な人数は分かっていない。

本作には、現在確認されている唯一の生存者である呉正男をはじめとする3名の台湾出身の元日本兵が登場。彼らが抱え続けてきた“空白の記憶”に光をあて、時代の荒波に翻弄されてきた彼らとその家族の思いや、台湾の世代ごとに異なるアイデンティティなど心の機微を丁寧に描き出す。監督のコー・ビンスンはシベリア鉄道に乗って彼らの帰還までの道のりをたどるとともに、台湾と日本に残された写真や手紙、録音テープ、そして断片的な記憶を丹念に拾い集め、沈黙の奥に封じ込められた感情を浮かび上がらせていく。

2025年製作/85分/G/台湾
原題または英題:冰封的記憶 Memories Frozen in Time
配給:太秦
劇場公開日:2026年9月5日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

フォトギャラリー

映画レビュー

2.5 台湾の歴史的背景にも切り込んで欲しかった

2026年9月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私はたまたま映画に登場されている呉さんの証言を聞いたことがあり、また呉さんのドキュメンタリー番組も見たことがあったので、さらにそれらの背景も含めて知りたいと鑑賞しました。
というのは、呉さんは証言で「私の最大の幸運はシベリア抑留」と話され、その真意を測りかねたのですが、テレビ番組で戦後の台湾で国民党による威厳令が敷かれ、いわゆる白色テロの時代があったことが解説され、台湾にいれば命がなかったかもしれないという事情を知って、衝撃を受けました。
台湾で作られたのであれば、この「最大の幸運がシベリア抑留」という言葉の深い意味について切り込んで欲しかった。いや、もしかして台湾映画だから、そこは切り込めなかったのだろうか?? だとすると、やはりこの闇の深さが気になる。。。そここそ観たかった…!

コメントする (0件)
共感した! (0件)
Tomoko

5.0 全日本人(日本人以外も)が見るべき1作

2026年9月6日
Androidアプリから投稿

現在99歳の呉さんの生の声を記録した貴重な作品。
このような作品を通して、これからももっと台湾を知っていきたい。

コメントする (0件)
共感した! (2件)
めい

2.5 歴史のいたずらだとしたら、いたずらが過ぎるよ

2026年9月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

驚く

戦前戦後の台湾史の隙間に落ち、超レアな条件が重なったときに何が起きたか。
歴史に翻弄された少数の人々の問題を丁寧に追います。

日本兵として第二次世界大戦に出兵。
終戦と同時に日本の国籍がいつの間にか中華民国籍に変わり、日本の帰還兵としての補償から外される。
不法なシベリア抑留中、ロシアから共産思想の洗脳を受ける。
祖国台湾は国共内戦の影響とアメリカの肩入で猛烈な反共主義が席巻している。
過酷な環境を生き延びて生還した彼らが母国と呼べる地は、彼らを同朋として無条件に受入れてくれる地はもはや何処にもなかった。

数奇な運命ポケットに落ちた台湾人は分かっているだけで19人。映画はそのうちの3家族、三世代の足跡を追い、世代間のギャップを鮮やかに浮かび上がらせます。

台湾という国自体が歴史に翻弄されて国体が微妙な状況であることを、81年前の出来事を掘り起こすことで、台湾人が普遍的に抱えているアイデンティティの揺らぎを表現した意欲作だと思いました。

コメントする (0件)
共感した! (1件)
さとうきび

他のユーザーは「零下五十度の抑留者」以外にこんな作品をCheck-inしています。