劇場公開日 2026年7月31日

「一風変わった緊張感がある」ヒトラーの毒見役 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 一風変わった緊張感がある

2026年7月31日
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2012年、当時95歳だったドイツ人女性がメディアに語った証言が元々あり、それを小説化したものがこの映画の原作にあたる。舞台はベルリンから遠く離れた東プロイセン。ここにヒトラーが滞在する「狼の巣」と呼ばれる司令部があり、総統に提供される豪勢なベジタリアン料理の毒見役として、複数人の女性たちが雇われていたという。証言者は既に亡くなり、歴史的な確証が得られているわけではないようなので注意が必要だが、少なくとも劇映画としては一風変わったロシアンルーレットにも似た緊張感がある。ここで日々、手狭な部屋で白い食卓を囲んで命がけの任務に従事させられた人々の姿には、戦場で飢えや爆撃にさらされる市民とは違った特殊なドラマ性を感じる。彼女たちの間で結ばれゆく絆や休憩中に交わされる会話も独特だ。戦争を生き抜こうとする女性たちの視点と状況、さらには本作がイタリア制作(言語はドイツ語)というところも興味深く観た。

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牛津厚信