今年83本目(合計1,825本目/今月(2026年8月度)26本目)。
シアターセブンといえばインディーズ映画が圧倒的に多く、それも日本のそれが圧倒的に多く、ときどき近くの海外、つまり、韓国・中国・台湾等を扱う映画がありますが、インディーズ映画枠とはいえ、それらを超えてアメリカ作品となると、私の記憶では(アメリカ作品ではありませんが)「フィストオブコンドル」以来ではないかな?と思います。
※ 「フィストオブコンドル」、放映が始まると突如「前編」と出てくるので後編があることになるわけですが、いつ放映されるのだろう…?
さて、こちらの作品です。
1970年代のアリゾナ州のユマ郡を舞台にしたダイナーもの。前半の60%くらいはお互いに来た客の様子見やお互いへのけん制、残りの40%は「全然違う展開」になります。この意味ではワンシチュエーションものではないのですが、それほど難しい展開ではありません。
まぁ、惜しむべきといえば、ハッピーエンドにしてほしかったかな(特に作内のダイナーの経営をしているシャルロットさんはかわいそうとしか言いようがない)といったところでしょうか。
ところがこれだけならいつもの500文字くらいで済むお話なのですが、この映画、恐ろしくマニアな話をする部分が何度もあり、それらを拾っていきます。なお、5000文字に到底収まらないので、ある程度表現の正確さを犠牲にして文字を詰めたり、一部のきわめてマニア論点はあえて拾っていない部分があります。
なお、映画固有の瑕疵としているものは、★マークがついています(直接減点、圧縮なし)。
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★ (減点0.5/911に電話をかけること自体が実は無理)
アメリカの911(911は日本でいう110と119を兼ねているような緊急用の番号)は全国一斉に導入されたものではなく、この地域の導入は1980年代後半となります。したがって、少なくともユマ郡では1980年代後半まで911システムが導入されていなかったため、1970年代の同地域で911へ電話する場面は成立しません。単なる背景の時代考証ミスではなく、登場人物が実際に911へ電話する場面そのものが成立しないため、直接減点の扱いです。
★(減点0.3/時代設定にそぐわない疾病名の使用)
主人公が最初に読んでいる新聞記事に、明確に AIDS blood test ordered for armed recruits. という表現が出ます。ちょっとやさしめに訳すると「新兵に対して(これまでと異なり)エイズの血液検査の実施が義務付けられた」程度になりますが、ここで問題になるのは、AIDSという名称自体が1982年に登場したため、1970年代の新聞記事にこの名称が出てくるのは時代設定上あり得ない点です。
※ もっとも、AIDSそのものをネタにしているわけではないため、差別的描写としての減点ではありません。ただ、現実に当事者の存在するセンシティブな疾病について、年代設定と矛盾する名称を無造作に小道具へ使用している点は直接減点の対象とせざるを得ないでしょう。
(減点なし/参考/「小太刀(おだち)ナイフ」って何?)
要は、1970年代のアメリカで日本刀や日本文化が持たれていたイメージを、怪しいナイフ販売のセールストークにしたようなネタです。「日本のナイフだからよく切れる」と売り込む一方、持ち手の木材について客から突っ込まれるなど(日本のナイフなら、木材がなぜアメリカで見られる木材なのか、ということ)、むしろ販売員自身の商品知識の怪しさのお話ですね。
※映画のエンドロールに出てくる自虐的な架空CMも、このネタの延長です。
(減点なし/参考/主人公が解こうとしているクロスワードパズルのお話)
映画内では微妙にぼかされている部分ですね。
つまり、
> four-letter word for “take the money and run”
> 「お金を奪って逃げること」を意味する4文字の語句
…ですが、主人公は解こうとはしないし、解いたかな?と思ってもそのシーンは存在しません。実は映画の中でヒントになっていることをいっている人がいて、そこをを拾えば実はこの映画の「オチ」もある程度推測がついてしまうのですが、この部分はちょっとネタバレになるので、ヒント等の提示は最後にします。
ただ、(減点なし/参考)と★(0.1/理解が困難)は極めて微妙なラインで私も相当悩んだのですが、アメリカ文化をそのまま「日本語の」字幕として成立させることもまた難しく、ここは「字幕作成側の落ち度」とも言えない(言えても10%位にしかならない)ので、この扱いにします。
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(減点なし/文字数稼ぎ??/私はどんなように映画の評価を書くのか)
もっともこの部分は、上記の「クロスワードパズル」の元ネタのお話のネタばれ回避のために入れているので、気軽にいきましょう。
私自身はがっつり書くほうで、映画を見る前にどんな論点が問題になるのか、特に日本の映画の場合、どのような法律が問題になっていくのか等調べてから見るので、意外にも書き上げる時間は早く、それを校正ソフト等で誤字脱字やカッコ抜け等を修正してさっと投稿することが多いです。
ただ、今回の映画のように、「意外にも気軽に見られる映画かな?」と思って見に行くと、マニアな論点が結構あったりする映画もあるので、まぁ本当に「映画は七番目の芸術」といったりもしますが、本当にそうだなぁ、と思います。
個人的には、法律系資格持ちとして、明確にまずい点、解釈がおかしくなる点、真似をすると困る点等は詳しく書き、かなりどうでもいいところは、1~2行で済ます等、濃淡をつけているという部分もあります。
また、私の採点で特徴的なのが採点根拠の明示ですが、何の明示もないとその日の気分でつけているなると点数相場がおかしくなるし、ちゃんと計算して出していることで、「この減点幅はちょっとおかしくないですか?」というコメントもありえましょうし、そういう透明性は確保しています。
…ということで、先ほどのクロスワードパズルパズルの「答え」を。
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答えは shoe(靴)です。劇中では “Shoo.” (「シッ!」「あっちへ行け」程度の語)と発音されますが、クロスワードの答えとしては shoeです。
shoe と shoo が同音異義語になっているわけです。
※ 主人公はどのような結末を迎えたのでしょう?それを知っている方は(映画を見た方なら)、「なるほどね」となると思います。
※ この部分は実際に「何が正解なのか」、海外でも考察されているようで、私も調べました。