ビートルズがいた夏のレビュー・感想・評価
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まあ満足しました
自分のようにビートルズの現役時代を知らない人間にとって、彼等の全盛期のファンの熱狂や社会情勢を映した映像は大変興味深く、それなりに楽しめました。
またオリジナルの楽曲が流れないのはお約束として覚悟していたものの、思いの外本人達の登場シーンがあり、まさかインタビュー映像が観られるとは思っていなかったので得した気分になりました。ついでに言えば記者達の質問が下らなすぎ(笑)で、これもまた当時らしいシーンかなと感じました。
惜しむらくはそういったビートルズのシーンが作品冒頭に集中しており、その後パッタリと出番が無かったのには尻すぼみ感を感じました。もう少し上手く編集して、後半にも登場シーン持って来れなかったのかなと。
その他では、冒頭のファンの熱狂ぶりのシーンでは、よく大事故にならなかったな?と今更ながら心配になるほどカオスな状況でした。
また味付け?の為か挿入されたアニメと若者のポエムですが、別に要らなかったんじゃね?と思いました(笑)
ただラストでサイケな蝶が舞うシーンは良かったです。
ファンタジーとしてのアメリカ
予告編を見ても何がなんだか分からないと思うのでひとことご紹介。
監督のアンドレイ・ウジカはルーマニアの映画作家で、チャウシェスク政権を半ドキュメンタリー的手法で描いた作品でとくに知られる人です。
本作はビートルズが初めてアメリカを訪問してニューヨークで行ったライブ公演が題材。その夏アメリカ中の中産階級の若者は熱狂して、若者の音楽も衣装も言葉づかいも大きく変えるほどの影響がありました。しかし一方中西部では黒人たちへの警察の弾圧が苛酷さを増していて、今のアメリカにつながる経済格差と分断があらわになりはじめた夏でもあった。
という話を、ウジカはすべて当時の資料映像をかきあつめて巧みにつなぎあわせます。そこに、ウジカが想像した「アメリカの若者」たちが、合成…というのかな、線画アニメーションで重ね合わされ、物語をドライブします。ビートルズの訪米とその熱狂は歴史的事実ですが、その「若者たち」は、あくまで遠く東欧からこのニュースを眺めていた若き日のウジカが想像したアメリカ市民なのですね。
その点で、これははるか極東の島国から豊かなアメリカを想像していた、昔の村上春樹や片岡義男のような作家たちと少し似ています。圧倒的な物質的豊かさ、平和で罪のない音楽、そして底知れない暴力と格差。そんなものが渾然一体となった、これは東欧の1青年が青春期に思い描いた夢の国の再構成です。
アメリカという国を自分でもそのように遠く憧れたことのある人には、何かしら響くところがある作品だと思います。ドキュメンタリーと空想が行き来するのがこの作品の持ち味で、それが気に入るかどうかは、ちょっと好みが分かれるかもしれません。
あと「ビートルズ」を期待して見に行くと肩すかしにあうはず。基本的にビートルズ関係ありません。これは「アメリカ」の物語です。
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