「情報は人を支配するための道具」四月の余白 きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
情報は人を支配するための道具
ってユヴァル・ノア・ハラリが言ってたけど、この映画はまさにそれで、最初から最後まで人の心をざわつかせる怒りや悲しみや憎しみやわがままが混ざり合った絶叫に溢れている。ずっと続く不条理な暴力が人をイラつかせるのは当たり前だし、その理由かがわからなければわからないほど理解の糸口を探すために物語にのめり込んでいくわけ。
吉田監督が繋ぎ合わせたものは、日本が世界がずっと抱えてきた解決できない負の情報の切り貼りだから、当たり前に観客は胸を痛めたり腹を立てたり恐れたりイライラしたりする。で、中盤の「痛みを与える側にいた寮長に痛みを受ける側の気持ちは絶対にわからない」と告げる少女の言葉が、安全な場所から俯瞰する観客へブーメランとなって返ってくるわけ。
誰かを生贄にすることで他のメンバーの結束が生まれる歪んだ秩序の中では絶対にイジメは無くならないし、世界はそれを正すためのメカニズムをまだ発見できてない。
ハラリは「間違った情報で誰かを排除しようとした時、それを感知して修正できる制度が重要」と警鐘を鳴らすが、残念ながらこの作品はその制度が未だ何処にも無いことを露呈させているし、何よりマスコミが間違った情報を流して逃げ場所を奪う側に据えられているのも興味深い。もしかしたらこの作品の裏テーマかもしれない。
なんて適当ことを書いてみたけど、実はなかなか鑑賞後の気持ちを言語化するのが難しくて、思い浮かんでたレビューも飛んでしまって、心の赴くままにまとめると『毒親から受け継ぐダメなDNAも、育つ過程で付いてしまった暴力性も、他人の痛みがわからないイキりやイジメ体質も、いつか変われる人は変われるかもしれないけど過去は絶対に変えられないし許されない。やった方が忘れてもやられた方は一生のトラウマ』ってことかな。まあオレもそういうのは許さないし許せないしね。事実、作中の被害者は誰1人救われてないし。そういうことをきちんと描いてるから星5つです。
で、小さなコミュニティでこれなんだから世界が平和になんてなるわけないよ。人類、ドンマイ。
それではハバナイスムービー!
一ノ瀬ワタルはヤクザれた役しかやんないけどそれ以外の役もハマりそうな気はしてて、もしかしたらVIVANTに出てるモンゴル人と勘違いしてる人もいるけどネトフリのサンクチュアリのほうだから!あと歳を重ねた夏帆が恐ろしく綺麗でデビューした頃の夏帆とは違うのにぐっと戻してきた感がすごい。「夏帆を返せ」と言ってた過去の自分は夏帆に謝れ。
