「54年ぶりに観た」クリーム フェアウェル・コンサート1968 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 54年ぶりに観た

2026年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1972年(札幌オリンピックの年)NHKテレビで見た。
3人の傑出したミュージシャンで構成されたクリーム。ロックを代表するホワイト・ルーム、サンシャイン・ラヴ、クロスロードなどの名曲の白熱の演奏に接することができた。
音楽的に一番目立ったのはジャック・ブルースか。彼はシャウトする一番強力なボーカルであっただけでなく、エレクトリック・ベースでエレキギターのように旋律を弾きこなす。これは彼の創始によるのだろう。彼には、クラシックの素養があった。バッハが好きなチェロ奏者。そうか、彼が弾いていたのは、バロックの通奏低音だったのだ。
それで一番影響を受けるのはドラムスのジンジャー・ベイカーだろう。リズムを刻む比重が高くなるから。彼の真骨頂は、他の映像でも知られているインプロビゼーション(即興演奏)で、この映像でも圧巻のソロが出てくる。むしろフリージャズを思わせる。おそらく彼は、ジャック・ブルースの背後にはクラシックがあることを見破っていて、それが二人の不仲の原因か。彼は、ロックの背景にある商業性、大衆性(ポップス)を嫌っており、自分が演奏しているのはロックではないと言い切っていた。
3人の中で最も、ポップスに近いのはギターのエリック・クラプトンか。この映像のなかでは、エレキギターの性能から出発して、見事にそのテクニックを説明していた。彼のプレーは華麗で、声にはメローな輝きがあり、ルックスも目立つ。アメリカ側が彼を中心にしたプロモーションを考えたのもむべなるかな。
もともとロックは、黒人の労働歌から発したブルースを出発点として、エレキギターを使ったロックンロール/ロカビリーとなり、海を渡ってイギリスの労働者階級を刺激し、ビートルズなどを生む。米国にとって返すと、白人によるカントリーの隣のメッセージ性を持つフォークを巻き込み、ボブ・ディランにエレキギターを持たせる。その結果、ブリティッシュ・グループを中心に、メッセージ性を持つ歌詞をエレキギターで演奏するロックとして確立する。それが、華麗なギタープレーと進歩したアンプ/スピーカーにより大音響化したのがハードロックであり。それを代表するが、このクリームと大観衆の前で演奏することを最も得意としたグランド・ファンク・レイルロードだろう。その頂点を極めたのが、このフェアウェル・コンサートだったのではないか。特に3人の個性がぶつかり合う演奏はロックの到達点をも伝えている。ここから、ヘビメタと私の好きなプログレッシブ・ロックがうまれるが、この1968年はスチューデントパワーが頂点を極めた年であったことも忘れてはならない。
一つだけ気になったこと、歌詞はともかく、曲名も表示されなかったことがあったような気がするが、私の見逃しか。

詠み人知らず