ナースコール

劇場公開日:2026年3月6日

解説・あらすじ

人手不足の満床病棟で看護師に絶え間なく降りかかる激務と不測のトラブルを描き、スイスで大ヒットを記録した社会派ヒューマンドラマ。スイス出身の脚本家・映画監督ペトラ・フォルペがメガホンをとり、世界共通の差し迫った問題である病院の実態をリアルかつスリリングに映し出す。

州立病院で働く、献身的でプロ意識の高い看護師フロリア。この日は同僚が病欠しており、遅番シフトはいつも以上に忙しい。満床病棟で、看護学生の教育もしなければならない。そんな状況のなかでも、不安や孤独を抱える患者たちに誠実に接するフロリアだったが、とても手に負えない事態に陥っていき、やがて重大な試練に直面する。

「ありふれた教室」「セプテンバー5」のレオニー・ベネシュが主演を務めた。

2025年製作/92分/G/スイス・ドイツ合作
原題または英題:Late Shift
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
劇場公開日:2026年3月6日

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(C)2025 Zodiac Pictures Ltd / MMC Zodiac GmbH

映画レビュー

4.5 これは“特別な一日”じゃない

2026年3月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「面白い」という言葉ではうまく表現できない。けれど、これほど最初から最後まで一瞬も気を抜くことなく、のめり込んで観てしまう作品はなかなかない。

看護師の方はもちろん、BtoCの仕事を経験したことがある人なら、きっとどこかで「これはあの日の自分だ」と感じてしまうはずだ。

描かれるのは、特別な一日ではない。
むしろ彼女にとっては“いつも通り”の一日なのだと思う。
そんな日常が、92分間ずっと張り詰めた緊張感の中で続いていく。

フロリア役のレオニー・ベネシュは、この役のために州立病院でのインターンシップを経験し、医薬品や医療機器の扱いを徹底的に身につけたという。
そのリアリティは圧倒的で、何度も「これはドキュメンタリーだっただろうか」と錯覚するほどだった。

病院という場所だからこそ、不安や焦りから横柄な態度を取る患者や、理不尽な要求も存在する。
それでも彼女はプロとして向き合い続ける。
命に関わる現場だからこそ、決して手を抜かず、時には心のケアにまで踏み込んでいく。

彼女に落ち度はない。
それでも崩れていくのは、人員不足という構造の問題だ。

この作品が投げかけているのは、看護の現場に限らない。
少子高齢化が進む日本においても、他人事ではいられない問いだと思う。

良い仕事をすることも、良いサービスを受けることも、どちらも「心の余裕」があって初めて成立する。

だからこそ、一生懸命働いている誰かの邪魔をしないこと。
“良いカスタマーであろうとする姿勢”もまた、これからの社会には必要なのかもしれない。

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共感した! 9件)
AZU

4.5 看護師の奮闘を体感させ、献身を讃える

2026年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

ドキドキ

ほぼ満床なのに急な病欠スタッフも出て明らかに人手不足の病棟で、遅番に入った看護師フロリアのてきぱきした働きぶりを、流れるようなカメラワークで捉える。目まぐるしいマルチタスクを着実にこなしつつ、患者ら家族らの痛みや不安、不満の訴えに誠実に対応し、さらには身勝手なクレームもぶつけられて、観ているこちら側にまでストレスが伝染するかのよう。

スイス出身のペトラ・フォルペ監督は、自身も病院で働いた経験があるという。ドイツ人看護師Madeline Calvelageによる自伝的小説「Unser Beruf ist nicht das Problem. Es sind die Umstande.」(問題は私たちの職業ではなく、状況だ)を読んだのをきっかけに本作の企画を立ち上げ、脚本も自ら執筆した。一連の仕事の所作や会話がリアルに自然に描写され、撮影と編集のスムーズさも相まってフロリアの働きぶりをリアルタイムで追いかけているように錯覚してしまうが、実際には8時間前後のシフト中の出来事を約90分に凝縮している。脚本の緻密さも見事だ。

フロリア役のレオニー・ベネシュは、2022年製作のドイツ映画「ありふれた教室」でも、ストレスフルな職場で追い詰められていく主人公を熱演していた。同作での迫真の演技が評価され、「ナースコール」での起用につながったのかもしれない。

ある患者が亡くなった後、フロリアが病室の窓を開ける描写がある。これは鑑賞後に調べて知ったのだが、スイスを含むドイツ語圏などいくつかの国で、死者の魂が肉体を離れて旅立つの助けるため、部屋の窓を開ける風習があるそう。フロリアが亡くなった患者をいたわるふるまいともつながりがある。

他の方々のレビューで、ラストシーンがよくわからないという感想をいくつか目にした。未見の方へのネタバレにならない範囲でヒントを示すと、もう一人の女性のスカーフの柄に注目、鑑賞後なら思い出してみて。あのシーンに込められた感謝とねぎらいが伝わるはずだ。

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高森郁哉

4.0 濃密な92分に心を揺さぶられる

2026年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

大病院の病棟は夜も眠らない。これは満床の病室をたった二人の看護師と看護学生が切り盛りする姿を描いた劇映画。患者には重症の人もいれば、子供のように怯える老人や、突如いなくなってしまう人、クレームばかりつける企業のお偉いさんだっている。そんな中、我々の意識は主人公フロリアのプロフェッショナリズムと深く同調しながら、いっときも心が休まらぬ勤務時間をほぼノンストップで駆け抜けるのだ。一つのミスが生死に関わりかねない緊張感は半端ないし、つい感情を荒げてしまう患者やその家族への精神ケアにも心を削られる。そんな個々のやりとりの点描が線をなし、一晩の中で徐々に分かり合えたり、後悔したりしながら、粛々とシフトが終わっていく。この92分はあまりに濃密で、ドラマティックで、リアル。主人公がまだ崩れ落ちずにその場で立ち続けていられることに、その責任感と人間性に、どうしようもなく感情を揺さぶられ、目が離せなくなる。

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牛津厚信

4.0 看護師さん、ご苦労様です。

2026年7月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ドキュメンタリーを見ているようだ。
途切れない看護師のお仕事、お仕事、お仕事。
様々な病状と背景を抱える患者と家族。
前触れもなく電話がかかり、メガネ探せ!患者の声聞かせろ。
病室からは、お茶もってこい、遅い!
そりゃあ疲れるわ。
私までフロリアと一緒に働いているようだった。
腕時計投げではスッキリしたね。ヤッター。

ナースってホントにあのような多種多様な業務をこなしているの。
ホッと一息つけるのは、帰宅のバスのなか。

監督が看護師の実情をレポートし、できれば人手不足の解消に一役買いたいのであれば、エンディングにもう少し救いのシーンがあっても良いかも。
看護師さん、ご苦労様です。
感謝。

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共感した! 14件)
ピッポ