メモリィズ

劇場公開日:2026年6月12日

解説・あらすじ

柄本佑が主演を務め、家族の記憶と記録をテーマに描いたドラマ。

東京で妻子と暮らす雄太は、足を骨折した義父・誠が回復するまで身の回りの世話をするため、九州の田舎町へやって来る。雄太は義父が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマートフォンで撮った映像を交わす日々を過ごす。大きな事件は起こらなくても、日々の些細な出来事の記録と記憶の連なりに、家族の人生という長い時間が静かに、鮮やかに浮かび上がっていく。

父の世話を雄太に託して東京で仕事と子育てを続ける妻・ゆきを「SHOGUN 将軍」「少女邂逅」の穂志もえか、雄太との日々を言葉少なに過ごす義父・誠をイッセー尾形、家族の大切な記憶を象徴する人物を香椎由宇が演じる。京都造形芸術大学在学中から短編作品で注目を集め、卒業後は石井裕也監督作の助監督や土井裕泰監督作のメイキングカメラマンなどを務めてきた坂西未郁監督が長編初メガホンをとった。

2026年製作/97分/G/日本
配給:リトルモア
劇場公開日:2026年6月12日

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映画レビュー

4.5 記憶と感情が溶け合い、染みてゆく

2026年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

幸せ

癒される

イッセー尾形の出演と、鏡やガラスに映った虚像の多用から、エドワード・ヤン監督の「ヤンヤン 夏の想い出」を思い出しつつ観ていた。鑑賞後に資料を見ると、坂西未郁監督が影響を受けた名匠たちの中にエドワード・ヤンも挙げていたので、やはりオマージュを込めたのだろう。ちなみに、「ヤンヤン」ではイッセー尾形演じるゲームデザイナーが鳩と触れ合う“善良なる存在”だったが、本作「メモリィズ」では雄太役・柄本佑が放牧された馬と触れ合うシーンがあり、善き人を継承したようで感慨深い。

それにしても、脚本も書いた坂西監督、デビュー作なら何かしら個性が際立つストーリーなり映像なりでアピールしそうなものだが、実に淡々とした滋味深い映画に仕上げたことが意外にも思える。だがその脚本に可能性を感じたのだろう、柄本、尾形に加えて穂志もえか、香椎由宇ら魅力的なキャストが集まった。

スマートフォンの普及で写真や動画を撮る行為が日常的になった現代に、撮影することで記憶や感情を記録すること、それを他者と見て共有することを、映画のフレームの中で意識的に考えてみることを促す作品でもある。終盤のスライドショーのシーンで、昔の母と娘の散歩の写真が、その娘が成長した現在=雄太の妻とその娘の散歩の記憶と混じり合うように、共有された記憶と感情が混じり合い、まるで実体験のように自分の中に染みてゆく感覚こそ、映画を観る愉悦なのだと教えられた気がする。

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高森郁哉

3.5 二つの家族の「記憶」と「記録」

2026年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

癒される

■作品情報
ある家族が織りなす「記録」と「記憶」の連なりを、九州の美しい自然を背景に静謐なタッチで紡ぎ出すヒューマンドラマ。監督・脚本は、坂西未郁。主なキャストは、柄本佑、イッセー尾形、穂志もえか、香椎由宇、梅沢昌代。

■ストーリー
東京で暮らす雄太は、脚を骨折してしまった義父の誠をサポートするため、単身で九州の大分県竹田市へとやって来る。誠は長年、その静かな田舎町で昔ながらの写真館を営んでおり、雄太は義父の身の回りの世話をしながら、写真館の仕事も手伝い始める。毎朝義父のもとを訪れ、食事を届け、愛犬と散歩をし、店を開けて昼食をともに囲む。そんな判で押したようなルーティーンの繰り返しの中で、雄太は手元のスマホを使い、何気ない九州の風景や日々の出来事を動画に収めては、東京に残してきた妻のゆきと幼い娘へと送り届けていく。画面越しに互いの日常を共有し合う家族の姿と、写真館に流れる穏やかな時間。大自然がもたらす四季の気配や、町の人々との小さく優しい交流を通して、雄太と誠、そして離れて暮らす家族の人生が静かに重なり合っていく。

■感想
ノーマーク作品でしたが、映画.comのレビュー評価が高かったので鑑賞してきました。大きな感動が得られるわけではありませんが、じんわりと沁みる良作でした。派手なドラマや衝撃的な展開が用意されているわけではなく、むしろびっくりするほど何も起きない日常が淡々と描かれていくのですが、その徹底した静けさこそが本作の最大の魅力となっています。

毎朝同じ道を歩き、同じように店を開けるという一見すると単調な日々の中に、本作はとても繊細な変化を忍び込ませています。散歩中に出会う、いつもと違う洗濯物、いつもと違う音、初めて見かける人、しだいに距離が近くなる馬。毎日同じ場所で同じことを繰り返しているからこそ気づける微細なグラデーションが、丁寧にすくい取られていきます。こうした描写を眺めていると、私たちが普段やり過ごしてしまいがちな「何気ない日々」も、実は全く同じ日など一日たりともなく、二度と戻らない一瞬の連続なのだと気づかされます。毎日の尊さに気づくからこそ、人はその瞬間を消えないように記憶に留めたくなり、写真や動画という形で記録に残したくなるのでしょう。

そのテーマが最も美しく結実するのが、物語の終盤で雄太と誠が二人きりで古いスライドを眺める場面。スクリーンに映し出されるのは、かつて誠が撮影した、幼い日のゆきの姿。誠にとっては、亡き妻の笑顔とともに当時の記憶が鮮明に蘇る懐かしいスナップです。しかし一方で、それを見た雄太は「ここ行ったことあるところかもしれない」と呟き、自分が妻や娘と一緒に同じ場所を訪れた現代の記憶を呼び覚まします。一枚の同じ写真を通して、世代の異なる二人の別々の思い出が静かにオーバーラップしていく演出には、得も言われぬ温かさと美しさを感じます。一枚の写真に閉じ込められたほんの“一瞬の記録”が、時を超えて人の心に“永遠の記憶”として残り続ける。その奇跡のような瞬間に、雄太自身も深く心を揺さぶられたのではないでしょうか。

その後、実家に帰ってきた妻のゆきが、誠とともに、今は亡き母が遺した留守電メッセージに静かに耳を傾ける姿が描かれます。その姿を見た雄太は、誠から譲り受けた古いカメラを構え、思わずシャッターを切ります。久しぶりに親子三人が同じ空間に揃ったその瞬間を、どうしてもここに留めておかなければならないと、彼の本能が駆り立てられたように見えて深く胸に沁みます。

最初から最後まで全編を貫く静謐な空気感と、美しい田舎の風景が、観る者の旅情と郷愁をどこまでも掻き立てます。誠の寝室の窓から望む景色がまるで絵画のようで、ラストに静かに残る余韻も心地よいです。

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おじゃる

4.0 普通の毎日…⭐︎

2026年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

物語は大分在住の義父(イッセー尾形)が骨折し、看病のために妻(穂志もえか)の代わりに夫(柄本佑)が行き
そこでの毎日。

本当に何か起きるという訳ではなく、義父の写真館の手伝い、食事の世話、犬の散歩等の毎日のルーティンを
柄本佑がこなす姿が淡々と描かれていく。
それだけの話しだけれど何だかそれが良くて飽きずに最後までずーっと見ていられる。

でも、その中でいつも逢えていた人と逢えなくなったり、洗濯物がなくなったり、いつも流れていた音楽が
聞こえなかったりと小さな変化が少しづつ起きる。
特に犬の散歩の際の描写が自分にはすごく良くって、あぁ…そうなんだとまるで一緒に歩いているように
感じた。

毎日のルーティンの中の小さな変化は役所広司の「PERFECT DAYS」が彷彿されて、沁みる。

柄本佑とイッセー尾形の掛け合いは最高で、2人とも何とも味のある演技で素晴らしいし、穂志もえかは噂通りの
凄さでまた子役の女の子も良い。

大分の美しい自然や写真館の中を映し出す光も良くて幸せな気持ちで見れた。

こういう映画って、インパクトのある映画より きっとずーっと心に残るような気がする。

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☆ムーミン

5.0 ラスト、涙が滲みます

2026年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

驚く

いい映画でした。派手なことは何も起こらないのですが、あまり想像したことがなかったシチュエーション。淡々とした日々の積み重ねを眺めていたのですが、後半のあるシーンからじわっと涙が滲み、複雑な感情で胸がいっぱいになりました。人間模様をただじーっと眺めるだけで湧き上がる感情があり、こんなに癒されるとは…。
土地の美しい風景も印象的。隣の席の人が小さなセリフにくすくす笑っていました。世界が殺伐としている今、こういう映画を観られてよかったです。

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fmi