「真実の愛より、ホテルの従業員を探してほしい」マッチング TRUE LOVE こひくきさんの映画レビュー(感想・評価)
真実の愛より、ホテルの従業員を探してほしい
前作を観て、今回は孤島で連続殺人と聞けば、多少は期待するわけです。逃げ場のないリゾートホテル。参加者の中に潜む殺人鬼。恋愛リアリティショーの浮ついた空気が、疑心暗鬼に変わっていく。材料は十分。しかし完成品を観ると、「なんでやねん」「そうはならんやろ」が押し寄せ、恐怖を感じるための脳の領域までツッコミに占領されます。
輪花は、失踪した恋人・吐夢を気にかけながら、亡き親友の妹を見守るため、南の島のマッチングツアーに同行します。そこでカップルが次々に拉致され、裏の顔を暴露され、愛が偽物だと判定されて殺される。なるほど恋愛版『ソウ』です。ただし、こちらには生き残るための明確なルールがありません。犯人の機嫌と脚本の予定表が、生命を左右します。
まず、あの規模のホテルを誰が運営しているのでしょう。厨房、清掃、設備管理、船の運航。リゾートには恋愛している客以外にも人間が必要です。ところが事件が始まると、ホテル全体が小さな貸別荘のようになる。容疑者を増やしたくない事情は分かりますが、勤務表まで犯人に買収されたんですか。
犯行の作業量も尋常ではありません。成人2人を制圧し、離れた礼拝堂へ運び、拘束して撮影し、殺して遺体を戻し、壁に吊るす。次は砂浜に埋める。愛の審判というより、夜間の大規模土木工事です。共犯者がいたと分かっても、その労力が消えるわけではない。殺人の動機より先に、台車と重機の所在を説明してほしくなります。
ホテルの通信設備は破壊され、携帯電話は電波妨害。港からクルーザーも消えています。犯人の配信は衛星回線だったのでしょう。知らんけど。この「知らんけど」で観客が埋めなければならない穴が多すぎる。しかも警察は配信元の追跡に苦戦する一方、身元の分かっている被害者の旅行先を調べるという、ごく普通の捜査になかなか到達しません。孤島の壁を厚くしているのは、海より捜査の鈍さです。
そしてウサギの着ぐるみ。農業用フォークを持って襲ってきますが、なぜ自分から視界と機動力を捨てるのか。真横にはプールまである。そこへ突き落とせばいいだろうと思っていたら、輪花が落ちる。お前が落ちるんかい。相手の弱点を活用するどころか、逃げる側が不利になって吐夢の救出を待つ。取り押さえても顔を確認しないという、犯人に優しいサービスまで付いています。
終盤の礼拝堂では、安蘭が輪花を襲ったと思えば、その指示役は親友の妹・愛羅。そこへ同僚の万由子が現れ、農業用フォークで愛羅を刺す。さらにソンイルが登場し、今度は協力者の万由子を刺す。ちょっと待て。さっきの裏切りを理解する前に、次の人が刺し始める。驚きの連続というより、事情説明が追いつかない刺傷事件の連続です。しかも深手を負った愛羅まで反撃に参加する。負傷の深刻さも、その場の都合で変わります。
肝心の「TRUE LOVE」も苦しい。輪花は恋人が連続殺人犯だと知る。それでも運命が選ぶなら共に生きるという。そう言える気持ちに至る過程こそ見たいのに、映画は美しい海中映像へ飛び込みます。吐夢が輪花を守る姿には魅力がある。しかし、自分だけを守る殺人犯への愛を描くなら、その愛が抱える恐ろしさにも、もう少し立ち止まってほしかった。
土屋太鳳と佐久間大介の真顔で進む珍妙な展開を笑う楽しさはあります。ただ、「コメディとして観ればいい」で作劇の疑問が消えるわけではありません。孤島ミステリーを期待して観た私には、真実の愛より、あのホテルの業務がどう回っていたのかが、最後まで最大の謎でした。
礼拝堂の惨事 手の込んだ犯罪 韓国セレブの執念も 正直よくわからないのでした
まあ 真実の愛ではなくて 歪んだ愛ということだけはわかりました。 イイねありがとうございます。



