「タイトルでもある「なぜ人はラブレターを書くのか」 その問いの答えが、この作品の中にあった。」人はなぜラブレターを書くのか AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルでもある「なぜ人はラブレターを書くのか」 その問いの答えが、この作品の中にあった。
ラブレターとは、恋愛に限らず、誰かが誰かを想う気持ちを言葉にしたものすべてを指すのだと思う。
鑑賞前は、実話から着想を得た作品と聞き、当初はあのセンセーショナルな事故を軸に、未来ある若者の死を描く物語なのだろうと想像していた。だが実際には、それをベースに二つの軸が交差する群像劇となっており、その構成の巧みさに驚かされた。
「さすが石井監督!」と、思わず鑑賞後に拍手を送りたくなる、そんな完成度だった。
死はそこで終わるものではなく、その人を想う誰かの人生の中に根を張り、形を変えながら生き続けていく。そんな石井監督が描く死生観はあまりにも優しく、温かく、そして美しい。
「誰からも忘れられた時が本当の死だ」という言葉を昔聞いたことがある。
この作品を見て、本当にその通りだなと思った。
姿形は見えなくても、彼らから受け取ったものは、今を生きてる人たちの中にあり続けているし、それが力になっているのかと思うと、死に対しての恐れが少し和らいだ気がした。
むしろ、繋がっていくんだなと温かな気持ちになった。
好きなシーンや、良かったところを取り上げたらキリがないくらいなのだが、光の使い方、カメラワーク、劇伴、主題歌、セリフ、そして俳優陣の演技、どれもが響き合い、この作品の世界観を形作っていた。素晴らしかった。
高校生二人の初々しい恋愛が丁寧に描かれているからこそ後半の展開が際立ち、綾瀬はるか演じるナズナの昼の笑顔があるからこそ深夜のシーンに深みが増す。不器用な妻夫木聡演じる良一の積み重ねが、ラストの涙へとつながっていく。あらゆる要素が無駄なく結びつき、「あのシーンがここに効いてくる」と感じる瞬間が何度もあった。
パンフレットで妻夫木さんが印象的なシーンとして挙げていた通り、菅田将暉演じる川嶋が信介の死を知る場面は、映画史に残る名シーンだと感じた。言葉を超えて感情が押し寄せる、圧巻のシーンだった。
この作品を観れば、死生観が少し変わるかもしれない。
誰かにラブレターを書きたくなるかもしれない。
そして、自分の人生が、たくさんの人の影響の上に成り立っているのだと実感するかもしれない。
受け取る感情があまりにも多いからこそ、多くの人に観てもらいたい作品だ。
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