口に関するアンケートのレビュー・感想・評価
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なかなかよかった。 原作は既読。 あの無駄のない簡潔な小説が、映像...
なかなかよかった。
原作は既読。
あの無駄のない簡潔な小説が、映像化されたことでより立体的に、腑に落ちる形で視覚化されていた。
「なるほど、そう表現するか」と思わせるカメラワークや演出が実に心憎い。
オリジナル要素を効かせつつも、根底にある原作リスペクトは崩さないバランスがいい。
オリキャラのやりとりにはニヤリとした。
もう少し短くてもいいと思ったが、これ以上短いのに定価2000円はちょっと(サービスデーで見てるけど)
背筋作品の実写化において、清水監督のアプローチも、前回『近畿地方のある場所について』の白石監督も、どちらの表現手法も映画ファンとして大いに楽しめた。
次は誰がメガホンを取るのか楽しみである。
彼らはいったいナニを視てたのか
もう少し掘り下げて欲しかった。
テーマである「口」や失踪した大学生と木の関係についてもう少し掘り下げて広げて欲しかったです。
ただ、主人公が「木の前」に行くことに拘った理由など、興味深い面もありました。
新倉イワオさんの「あなたの知らない世界」を懐かしく思い出しました。
こちらの好奇心と悪意を試す
「アンケート」がミソ。
人の悪意と好奇心を試す。そう、見る者の、だ。
呪いは人の悪意と好奇心が生み、その媒介をするのがことばである。
話したい、伝えたい、記録したい。
話したい(面白そうだから)、伝えたい(どうなるか興味があるから)、記録したい(誰かの心に残ってみたいから)。
話したい(人を巻き込みたいから)、伝えたい(オマエもシネと思うから)、記録したい(道連れにしたいから)。
そのことばを発する、そういった働きをするのが「口」。
呪いは口へんの漢字であり、「祝う」と共通のつくりを持つ。
呪いは口から生まれるのだ。
生まれたものはもうコントロールできない。
祝は簡単に呪に転化する。
口のもう一つの機能はもちろん「食べる」ことであり、「食べられる」恐怖は長い進化の過程を通して人間にも、いまだに根源的恐怖として巣食っている。闇や死を恐れるのと同じで、人の心から消えない恐怖のひとつである。
口への恐怖症というのもあるそうだ。主に女性恐怖症などで、幼い頃母親に「悪い子は食べてしまうよ」と大きな口を開けて怒鳴られたとか、性的にグロテスクさを感じるように「食べちゃいたい」と迫られたとかそういうトラウマで、口が怖くなるらしい。
「食べる」ことの気持ち悪さ、「食べられる」
ことの恐怖のダブルで神経を逆なでする。あと、集合恐怖とか虫嫌いの人はホラーとは違う次元で叫ぶ羽目になるかもしれない。
ホラーとしては割とよくできていると思う。古典的だが、恐怖の演出というのをよく心得ている。特に中盤から後半にかけての会話シーン。
途中で起きる逆転現象も好き。時制を用いたトリックには驚いた。それ以外は察しがつくけど好き。
察しがついても、それがまた怖いよねえ。
エンドロールの表示の仕方もなかなか楽しく、なるほど、割と皆、口と関係あるんだな。
どちらかと言うと、深く考える人向けの映画。考えないで眺めているだけでは、「ん?タイトル詐欺なん?」となってしまうと思う。
オチは、近畿地方のオチよりは好みだった。
作品構成が上手い
作品にリアリティーを求めてしまう俺なので、ジャパニーズホラーはあまり好きではないと言いつつも結構観ている(笑) 本作も、またガッカリするか知れないと思いつつも、他に観る作品が無いので1週間遅れで観賞。
【物語】
大学生が一人ずつとある出来事を証言する形で物語が進行する。
その出来事とは、彼らが心霊スポットとして噂される人里離れた山奥にある墓地の片隅に立っているという「呪われた木」を肝試しとして面白半分に見に行ったときのことだった。肝試しの翌日にそのうちの一人の女性が姿を消したというのだった。
刑事の草壁(中村獅童)は行方不明者の捜索に直接絡んでいなかったが、証言の録音を聞いて興味を持つ。 興味とは週刊誌ネタになり得るということであって、知人の週刊誌記者西(柄本時生)に売り込んで小遣い稼ぎをしようと企む。西に単なるうわさ話じゃ記事にならないと言われた草壁は裏を取りに「呪われた木」へ向かう。
【感想】
タイトルは結局、興味をひくために奇をてらっただけのように感じたが、内容は結構面白かった。
怖さはそこそこなのだが、作品構成が巧み。前半は肝試しの当事者である5人の大学生の証言がリレーされる形で“出来事”が明らかになって行くが、終盤は刑事の草壁の視点にバトンされる。この当事者による“出来事”の描写から“真相”の種明かしに至る流れが自然。 また結末まで行くと、さらに「なるほどね」と作品の組立てに感心する。
なので、ジャンルはジャパニーズホラーとなろうが、ある意味ミステリー好きな人も楽しめるかも知れない。 そういう意味でも、役者としては胡散臭い刑事役の中村獅童と胡散臭い雑誌の記者役柄本時生の演技が光る。
文字で読んだあの不穏さが映像に。物語が繋がる結末を辿る体験
背筋さんの小説が大好きで、独特の構成や文章のスタイルにすっかり魅了されていた一ファンとして、この映画化を心待ちにしていました。
あのテキストベースでじわじわと恐怖を煽る独特の形態が、映像作品としてどのように再構築されるのか、期待と少しの不安、そしてワクワクする気持ちを抱えて劇場へ向かいました。
結論から言うと、期待以上の体験でした。
まず、予告やジャンル分けでは「サスペンス」という括りで語られることも多い本作ですが、実際に観てみると、サスペンスの枠組みを軽々と超えてくる、紛れもない「ホラー」の質感に満ちています。
映像の切り取り方や音の演出が、原作で感じた「背筋がぞくりとする感覚」を映画館という空間にうまく落とし込んでいました。
小説では想像力に委ねられていた部分が、映像として具現化されることで、より直接的かつ陰湿な恐怖として迫ってくる感覚は、映画ならではの醍醐味だと感じました。
特筆すべきは、物語の伏線回収の鮮やかさです。
原作の構造を活かしつつ、映画としてのテンポ感や見せ方が非常に巧みで、後半に向けてパズルのピースがカチリと音を立ててはまっていくような快感がありました。
一つひとつの小さな違和感が、物語の終盤で大きな恐怖へと変換されていく構成は、やはり見事の一言に尽きます。
ただ怖いだけではなく、観客を物語の深淵に引きずり込み、整理する間もなく「そういうことだったのか」と突き放されるような後味の悪さ‥‥いや、心地よい絶望感がたまりませんでした。
小説のファンとしては、あの独特の語り口や、「何が本当で何が嘘かわからない」という不安感が映像でどう表現されるのかが一番の関心事でしたが、演出の妙によって見事にその世界観が保たれていました。
小説未読の方でも十分に楽しめるサスペンス・ホラーとして成立していますが、原作を知っているからこそ、「あ、ここがこう表現されたのか!」という発見の喜びも大きく、二度美味しい作品になっていると思います。
映画館を出日常の何気ない風景が少しだけ歪んで見えるような、この感覚こそが、背筋さんの作品を観た甲斐というものです。
映像としての質も非常に高く、ホラー映画好きの方にも、原作ファンの方にも、ぜひ劇場でこの「怖さ」を体験してほしいと心から思える作品でした。
難しいのか面白くないのかのどっちか。
5人の登場人物それぞれの視点+1人で進んで行く形式。
物語が進むにつれ違和感が出てくるも割と分かりやすくて予想できる範囲の終わり方をする。
映画では明確に結末が描写されず含みのある終わり方。個人的にホラーでその終わり方は好みじゃなかったので悲しい。
ホラーと言うには雰囲気だよりでジャンプスケア 要素はかなり弱い。
ミステリーと言うには明かされる情報が少なくて難しい……のかな?という感じ。
見終わったあとに友達と話してもえ、あれそういうことなん?え、どういうこと?が多かった。
予想外に原作通り、原作未読の方が楽しめそう!
原作の叙述トリックがとても秀逸だったので、どう仕上げてくるのかと思ったら結構そのまんまで、しかも怖さも程よい感じで。
ただ原作履修済みだと少し退屈に感じる部分もあって、この辺は難しいところだよね。
近畿地方ぐらい改変すると怒られるし(私は白石晃士好きなので一粒で2度美味しかった)、かと言ってそのままだとちょっと物足りずw
いや、贅沢言ってるのは分かってます!それでも、もう少し映像ならではの派手さも欲しかったな。丁寧に怖いJホラーって仕上がりで面白いんだけどね!そういう意味では、図書室のシーンいちばん好き。
思ったよりもちゃんと核心に触れる説明とかもしてくれて、ずいぶんと親切なJホラー。(モヤモヤで終わるの多いからねw)
【後日追記】
軽くネタバレアリの監督&原作者インタビュー動画を観たら、図書館シーンに気付いて無い要素あって、うおー!ってなりました。いやほんとに、あのシーン好みすぎる。この辺が清水崇監督らしくて良かったとこですね。
ギュッとまとまってて良い
「清水崇」という固有名詞
久々の帰郷だったので、東京でレア物で観たい作品があったんですが時間があわず、他にも行きたいところもあり、何か見るかな?で「清水崇」で今作にしました。
ちゃんと分かりやすくなってましたし、さすがは巨匠、楽しかったです。今度は「八つ墓村」ですよね、いや~どうなるんですか。野村版を超えますか。金田一寅次郎が若い俳優に代わるのは良いんですが、滝藤賢一のところが不安です。
今作は余りツッコミどころもなく、でも普通に〈お~っ〉って眼を開いてしまうところもあったりで、なんとなくジャパニーズホラー(スリラー)を観たいなー、ならいいと思いますよ。短いし寝不足で観ても飽きません。
柄本時生さん、何かお兄さんと別路線なんですかね。さとうほなみさん、赤ちゃんだそうで、おめでとうございます。
世にも奇妙な物語的な?
『口に関するアンケート』に関するアンケート
映画の最後に出されるアンケートの自由記入欄にこう答えた。
怖かった。
面白かった。
感動した。
まず、あの図書室のシーン。
そんな場所にあるはずのない物が、確かに現実を侵食する。
全く映画的とは思えないラップトップ・サーフェスなる小道具が、怖かった、面白かった、感動した。
または、大学キャンパスの階段のシーン。
2度登場する、なんてことはないこの階段。
1度目は恐怖シーンに、2度目は二人の男と一人の女のメロドラマに使われる。
怪物を隠す不気味な壁であると同時に、男と女を隠す愛の壁でもあり得る階段が、怖かった、面白かった、感動した。
そして、あのどことも言いようのない高架下のシーン。
清水崇の世界では、怪物はいつ、どこにだって現れて人を襲う。
真っ昼間のひらけた明るい高架下であっても、怪物は何の躊躇いもなくカメラの前に姿を現す。
あの人影は、きっと彼が探している彼女に違いないが、しかしぼやけて見えない、見たいような、見たくないような・・・あ、見えてきた、やっぱり彼女だ、化け物になってしまったかと思ったが、なんだ、変わりなく綺麗な顔をした彼女じゃないか、あ、またぼやけていく、いやだ、次彼女がはっきり見えたとき、きっとそれはもう彼女ではない何かになっている、そんな予感がするから・・・。
あの高架下のピン送りが、怖かった、面白かった、感動した。
黒沢清が映画に対して禁欲的であり、濱口竜介が映画に対して無欲的なこの時代に、清水崇の映画に対する純粋無垢な貪欲さを見せられ、人は怖がり、面白がると同時に、身を焦がすような感動を覚える。
『シラート』も『口に関するアンケート』も、デカい音が怖いのは同じだが、映画を作ることの欲望を1ミリも刺激しない前者に対し、本作は見る者に映画を作れと殴りかかってくる。
『口に関するアンケート』は実のところ、清水崇による「映画に関するアンケート」の答えなのであった。
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