映画ちいかわ 人魚の島のひみつのレビュー・感想・評価
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この映画をみて、どう感じたのかを聞いて回りたい。
噂には聞いていた映画。
思ったよりも、ずっとシュールだった。
入場特典は、可愛いうさぎのチャーム。
これをもらえただけでも半ば満足して座席に着いた私でしたが、
そこから始まった99分に、思わずあんぐり口があいてしまいました。
たしか、映画のタイトルは、
ちいかわ=なんか小さくてかわいいやつ
だったはず。
夏休み、チャーム目当ての子どもにせがまれ、
親子連れがごった返して観に来るファミリー映画なのでは?
なんて勝手にカテゴリ分けしていた想定は、あっという間に覆されました。
もちろん、ちいかわファミリーのキャラクターは、
どれを取ってみても可愛くて愛らしい。
しゃべるキャラクターも、
しゃべらないキャラクターも、
シンプルな造形の中に、それぞれの個性と魅力がしっかり詰まっている。
デジタル全盛期の今、
これほど原作に忠実で、
ほぼ平面のイラストがそのまま動いているような映画も、
逆に新鮮で、どこか懐かしく感じました。
ただ、ストーリーは、
その愛らしい見た目とは明らかに一線を画しています。
かつて『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』のように、
少しおませな子どもが、シュールなひとことで周りを笑わせる作品はありました。
でも、この「ちいかわたち」を、
まる子ちゃんやしんちゃんと同じ場所に置くことはできない気がするのです。
うまく言葉では説明できないけれど、
ただ「かわいいけど少しおませな存在」と定義するには、
少し違う何かがある。
かわいい。
けれど、どこか不穏。
小さい。
けれど、妙に世界が広い。
やさしい。
けれど、ときどき怖い。
この不思議な手触りを、
どう言葉にすればいいのか、まだ少し迷っています。
とにかく観てみてほしい。
そして、あなたの感想を聞かせてほしい。
それが一番の、私の感想です。
噂に違わず、ガチだった
そもそも、可愛いキャラ物に関わるつもりは無かったんです。よく知らないし。でも、なんか不穏なレビューをチラ見したので、無性に気になってしまい、見に行くことにしました。
そして、全てを見終えて、ゾッとする思いでした。あくまで個人の感想ですが。まさか、命のやり取りまであるとは思わなかった。可愛いキャラと可愛い表現だけではカバーし切れてません。煮付けって、おいおい・・・。
最初から不穏だった。「高収入で熱烈歓迎」という夢のような好条件で船に乗っていくって、なんか見覚えがある。ピノキオだったか、カイジだったか。
キャラの詳細は知らないのですが、確かに可愛い。面白い。「飴を転がし入れろ」とかいう奴はちょっとムカツク。けど、重要な役割を持っていた。不老不死を軽く考え、浅い気持ちで欲しいという一方、それとの対比で、不老不死の恐怖が浮き彫りになっていた気がする。これ、ロード・オブ・ザ・リングにもあったなあ。エオウィンさんだったか、定命となって添い遂げることになったのかな。ということは、これとは逆か。
激辛スパイスカレーを口に突っ込むバトルは、なかなか楽しかった。「なんとかなれ」には笑った。けどやっぱり、ことの真相に意識は吹っ飛んだ。
もう誰かが悪いとか、そんな簡単な話じゃない。発端は事故だった。友達が死んでしまい、やむを得ずに肉を食わせた。やがて来る孤独に恐怖し、肉を食わされた。そして二人は宿命を背負った。これは、こんな可愛いキャラ物でやっていい哲学なんだろうか。
唄が凄く良かった。屋台の唄は笑ったし、「今日の日はさようなら」のコーラスは実に美しくて聞き惚れた。でも、よくよく考えると「何時までも絶えることなく友達でいよう」の真意で心が凍りつく想いがした。「絶えることなく」ってそういう意味だよな・・・。
エンディングのスタッフロールのその後。逃げた二人の顛末ですが、しっかりセイレーン達にバレたってことですが、その後はどうなるか。続編で語られるなんてないでしょうね。「どうなるか、もうお判りでしょう?」という凄みを感じて、ちょっと憂鬱な気分で映画館を出る羽目になってしまいました。
お子さん連れで入ったお母様は説明を求められて大変ではないでしょうか。「可愛かったね、楽しかったね」と誤魔化して、キャラ商品でも買ってあげるのが良いと思います。めでたし、めでたし。
(追記)
私が頂いた入場者特典は主人公っぽいセンターの子でした。呼び名があるのかよく知らないけど、当たりかな? 良かった、良かった。
噂が気になり本来絶対観ない系だが鑑賞
SNSで大人向けの怖いストーリーとかなんちゃらといろんな噂が飛び交っていたため、一体どんな内容なんだよ?!と興味本位で大の大人が一人で足を運んでみた。
本来ならほんわかほのぼの幼児系はよほどのことがないとに観ないわけだが。
結論、変な先入観さえなければ普通に子どもでも楽しめる内容では?と思った。
大人の自分ではお金を払ってまでして観るほどでもなかったが。
主要キャラ以外は顔もない一色で統一され、これはこの映画がサイコパスだからなのかそれとも普段からこんな感じなのか、、?最初見た時は変な先入観があるものだから、妙な怖さがあった。結局普通の住人たちだったが。
とにかく、先生の声がムダにイケボすぎてシュールすぎる。
他のキャラがポワポワきゅるんきゅるん言ってるだけあって。
あの真面目な青い猫のキャラ(名前がわからん)もまっすぐで優しくていいな。付き合うならあぁいう男にしとけと幼女たちには言いたい。
そして覚悟はしていたがやはりどこかの子どもが上映中よく喋り、バカ親どもはいまだに幼児向けスクリーンの方のチケットを買うスキルもないのか。
真剣にストーリーを考察してる大人もここにいるんだぞ。
まぁ全体的にたしかにちょっとメルヘンホラーっぽい感じではあったが、
結局混んだ劇場で子どもたちに混じりアンパンマンだかなんだかを観たような感覚である。
なんか知らんが可愛いシールの特典をゲットしたからまぁよしとするか。
確かに大人向け
キャラクターはカワイイし、所々に笑いもあるのに、噂通りのダークな内容でした。
子供向けなら、単純に善悪を分かりやすく伝える内容になると思いますが、この話には誰が良い悪いとは言い切れない複雑さがあります。
じゃあどうすればよかったのかと考えても答えは出ず、『今日の日はさようなら』の歌詞を改めてかみしめると、残酷にさに震えます。
見覚えのある、あの黄色い文字の単3電池はアスクルのだったのかな。
あの島にも注文した翌日には届くのか?
電池切れで命も尽きる事ってあるのでしょうか。
そして映画を観たあとにチラシを見ると、手に赤い物を持ったちいかわの微妙な表情を見て、また少し暗い気持ちになりました。
可愛くて面白いけど、怖いし重い!
ちいかわを初めて鑑賞した、ちいかわ初心者です。
前半の方で「タンサン(炭酸)」という言葉が予想外な伏線でした。
それにしても、子供向け可愛いアニメかと思っていたけど、すっごい重い。ビックリしました。可愛いし、面白いと思いましたが、唖然としながら映画館を後に。
鑑賞後は、貝汁とカツカレーが食べたいと思い、トンカツ和幸へ。期間限定のカツカレーとシジミ味噌汁を飲みながら、ちいかわの余韻を味わいました。
ちいかわをちゃんと履修していなくても楽しめる
ちいかわが大人気なのはもちろん知っていたのですが、私は時々Xで流れてくるときに読んだりしていた程度で、あまりちゃんと物語やキャラクター構成を知らない状態で映画に臨みました。テレビアニメも見ていませんでしたが、そんな状態でも映画は楽しめました!
この作品の真髄(?)はおそらく、話の後味の悪さなんでしょうね。絵柄やキャラクターはすごくかわいいのに、話の終わり方は全然かわいくないですよね。正直、この終わり方を消化しきれていないです。でも私が評判を聞くかぎりでは、結構みんな同じような感想を抱いていそうですし、それを楽しめるかどうかがこの作品を観る上でのカギなのかなあと思いました。好みはかなり分かれそうですけどね。
個人的に島二郎のキャラがすごく好きです。
ボンドロ
え…、重すぎないか、大好きなんだけど
ちいかわは全く観たことなくて、好い人に誘われて初めて映画を観たけど、え普通にサスペンスホラーだった。前半は、まあ私の想像していたちいかわだったから、これが99分か…、まあ嫌いじゃないし、と思っていた。だがセイレーンの登場と襲うシーンなんかめっちゃ怖かったな。後半の「わかった、わかった…、」が、襲うなに対するわかったではなく、まさかの犯人がわかったことのわかっただったことは鳥肌立った。そして過去編が、重い。人魚を撲殺するときの打撃音がすんごいリアル。そしてあのラスト…、エンドロールが終わって、最後の映像でバッドエンドが確定したのが衝撃的すぎた。見終わった後のあの独特な感情、「ミッドサマー」とか「万引き家族」観たときのあの感情をまさかちいかわで味わうとは思わなかった。
涙が止まりません
この映画で1番可哀想なのはちいかわだと思う。
知らなくても良かった秘密を共有する事で、ちいかわ自身も十字架を背負う事になった。
あの子達がずっと秘密にしている限り、ちいかわも友達にも言えず、あの子達に確認する事もできない。小さな胸の中にしまった大きな罪の秘密。
そんなちいかわを思うと涙が止まらなかった。
途中ハチワレが言った「これって本当に正しいんだよね」この言葉が重い。
ちいかわ、ナメてた・・・
まさかこんなことを考えさせられるとは
かわいいだけだと思っていたら、意外と重い。
娘に「特典をもらってきて」と頼まれ、いい歳したオジサンが一人で『ちいかわ』鑑賞。
最初は「なるほど、これが話題のちいかわか」と軽い気持ちで観ていたのですが、思った以上に脚本が秀逸でした。
テーマはまさに因果応報。
誰かを傷つけようと思っていなくても、知らないところで誰かを傷つけている。そして、その結果生まれた悲劇に対して復讐してしまった側も、決して救われるわけではない。
その構造を見ていると、『砂の器』や『白夜行』のような、過去から逃れられない人間の苦しさを少し思い出しました。『獄門島』を連想させる要素もあり、いろいろなものを「ちいかわ」の世界に上手く混ぜ込んでいる。
そして、最後も決して単純なハッピーエンドにはしない。
観終わって一番残ったのは、
「取り返しのつかないことをしたら、それは永遠に心の十字架になる」
そして、
「自分が気づかないところで、誰かを傷つけているかもしれない」
という二つ。
そして何より印象に残ったのが、「今日の日はさようなら」。🎵
本来は、友達との別れを惜しみながら「また会う日まで」と未来への希望を歌う曲。
ところが、この映画では意味が反転する(; ・`д・´)
「いつまでも友達でいよう」という言葉が、ヒトハとフタバにとっては友情ではなく、同じ罪と永遠の命を背負い続ける「呪い」にも聞こえてくる。
「さようなら」と言えない二人。
そして、取り返しのつかないことをした人間には、それが永遠に心の十字架として残る。
そう考えると、あの曲を最後に持ってきた意味が怖いほどよく分かる。
特典目当てで観に来たオジでしたが、映画館を出る頃には、
「なるほど、なるほど……」
先に鑑賞済みの会社の同僚が言ってた、「ミステリーだし、ちゃんと意味のある映画ですよ」の意味がよくわかった💦
となっていました。
ゆるふわ地獄
コワカワでミュージカルで現代社会を写すもの
ちいかわのお話は初見。なんだか大人に響く映画と聞いて観に行きました。
場内にはいつもの映画ファン、親子連れ、カップル、推し活友達と多様な観客で満席!ちいかわを知ってる人も知らない人も混ざってる感じが、人気作品だなぁと。混んでました。
大画面で観る、ちいかわたちは脳に優しいです。絵がシンプルで情報量が少ない。言葉の会話も少なくて子どもが見てわかるようなストーリーでした。
歌あり、冒険あり、謎解きあり、夏休み映画です。
と、表向きはこんな感じ。大人の見方をすると怖くて、正義・私利私欲・秘密・犠牲・因果応報・友情。いくらでも心の底にたまっていきます。
エンドロール後の最後の場面を観終わって、明るくなった時、場内がざわめきました。大人も子どもも静かに退場。入場はワキャワキャしてたのにね。
特典でもらったボンボンドロップシールは硬かった。色々思ってたのと違ってました。
大人向け!?
ちいかわを全く観てない状態で鑑賞。
まず、映画館の人の多さに驚いた。レイトショーにも関わらずほとんど満席。これがちいかわブームか。
子ども向けの作品だと思っていたが、内容はかなり大人向けで驚いた。
感情の機微がすごい。本来島の人からしたら完全な悪者である、セイレーンにも正義がある。人魚を食べてしまった2人にも、瀕死の重症を負わされた恨み(セイレーン側はわざとではないが)がある。どちらが悪いとかではないのかもしれないが、発端を引き起こしたとも言える2人にしっかり罰が下ることを予感させるラストは良かった。
印象に残ったのはキャンプファイヤーのシーンで、最初に浜辺で歌った今日の日はさようならとの対比が効いていた。真実を知っているのは自分だけで、そのことを2人に伝えるべきかの葛藤が分かりやすい。言葉がないのに分かりやすいっていうのがすごい。
たしかに、それを伝えたところでセイレーンの脅威は去ったので、もう関係ないっていう現実的な考えに至ったのかも。でも1番は2人のことを想ってだと思う。たぶんちいかわを2人が優しい人物だと分かっていたからこそ、いろいろな事情があったことを汲み取った(想像した)のではないか。この内面の葛藤は決して子ども向けではないかもしれないけれど、成長する上でとても大切なことが描かれていた。
良い意味で内容面でかなり驚いた作品。
「怪獣映画」のたくみな翻案。「ちいかわ」初体験でもふつうに楽しめました。
池袋新文芸坐でクロード・シャブロルの『帽子屋の幻影』をやっていて、未見のうえにこれはさすがに滅多に見られない作品だろうということで張り切って足を運んだのだが、まさかの満員御礼! あの広い新文芸坐で、満員なんだ! すごいな、シャブロル。
しかも窓口にいた支配人によると、来週の『刑事キャレラ』も今日で席が完売したらしい。
二週続けて貴重なシャブロルを観る機会を逸してしまった自分の愚かさにしょぼくれながら、せっかく池袋まで出てきたからにはせめて何か観て帰らないとな、と考え、世間で評判だという『ちいかわ』を観てみようかと。
アニメは基本的に大好物で、毎週30本近く深夜アニメを観ている。ただ、しょうじきキッズアニメはまるで守備範囲外で、これまで『ちいかわ』にも全く興味がなかった。
どれくらい興味がなかったかというと、このあいだ取引先の映画好きの方と話していて初めて、自分が『ちいかわ』と『すみっこぐらし』を完全にごっちゃにしていたことに気づいたくらいでして(笑)。さらにいうと、映画の宣伝で「なんとナガノ氏が本作の脚本も担当」と書いてあるのを見て、ガチで「芸人の永野が客寄せで脚本を書いたんだ」と思い込んでいたおバカが俺です。そういや監督したとかTVで言ってたのこれなのかな、みたいな。
あと、自分はこの2026年にもなって一切SNSをやらないので、X経由の情報は全くはいってこないのでした。
ただ、巷の『ちいかわ』評で「『ミッドサマー』みたい」だとか言われているというのを側聞すると、これはやっぱり俺も観とかないといけないのかな、との強迫観念に駆られ、おそるおそる足を運んだ次第。
観てみたら、たしかに面白かったです。
ただ、ちょっと期待しすぎちゃったかな?
結局は幼児向けの体をとったアニメであり、ダークだとはいっても、シュヴァンクマイエルや『JUNK HEAD』と同列に語るような作品ではないわけで。
もともと自分はキッズアニメのノリ自体がそう得意ではないので、観ていて若干退屈な部分もあったかも。それに言うほど『ミッドサマー』みたいだったかな??
(結局、『ミッドサマー』っぽいってのは、事件の背後に怖いフォークロア的背景があるというよりは、最初は島民に歓待されるけど楽園には実は裏があって……という部分で言われてたんだな)
どっちかというと、僕には『モスラ』とか「ウー」とか「キング・シーサー」みたいな「守り神系の善玉怪獣もの」のツイストのように思えたけど。
人魚たちにとってセイレーンは間違いなく「守り神」(「母子」の関係にも近い)だが、島民にとってはどこからともなくやってきて島に居着いた「外つ神」であり、良くも悪くも純朴な存在としてひたすら気儘にふるまう「まつろわぬ神」であり、貢ぎ物を際限なく要求してくる厄介な神でもある(その代わりに島の作物の成長が極端に良くなるという「聖女」効果のようなリターンもあるわけだが)。
また人魚に対して加えられた危害に対しては、人的な生贄で返すように問答無用で要求してくる「目には目を」の理念をもった「復讐の神」でもある。
そういった属性をセイレーンに与えたうえで、島民たちに敵対的に対峙させる形で撮った「怪獣映画」(相応に怪獣サイドにも汲むべき事情があるパターン)が『ちいかわ』映画版の本質なのではないか、というのが僕の素直な感想である。
『ミッドサマー』みたいといわれると、島民側にもかなりダークな事情がありそうな印象があるが、実際には最後まで観ても基本的に善良な民だったようだし、やらかした民にも相応に復讐したくなる理由がちゃんとあったし、「食べないといけない」理由もしっかりあったし、少なくとも僕にはちっとも「こわい」話には思えなかった。
ホラーというよりは、シンプルなミステリーなので、理性で割り切れる以上「こわく」はない、ということだ。
まあ、単三電池ってオチはぶっ飛んでて「こわい」っちゃあ「こわい」けど、「えいえんのいのち」の正体が実は機械人間というのは、なんのことはない『銀河鉄道999』の焼き直しだからね(笑)。そう目新しいネタではないでしょう。
― ― ― ―
とはいえ、対象年齢の幼児たちにとっては、
「人魚を食う」「人魚に食われる」という理念自体が、
めちゃくちゃこわいんじゃないか、とも思う。
僕も、幼児のころに「鬼太郎と半魚人」の話を観て、鬼太郎が騙されて巨大イカにされたあげく、ダイナマイトでバラバラに吹き飛ばされたうえ、カマボコに加工されてみんなに食べられてしまうという衝撃の展開に心底から驚いたことがある。あのエピソードは『ゲゲゲの鬼太郎』2期では「足跡の怪」「イースター島奇談」と並ぶ、僕の「恐怖」の原型を形成したトラウマ話だった。やっぱり「ヒーローが食用にされる」というのは、子供心には大いにショックだったのだ。
『ちいかわ』も今の子供たちにとって、そういうトラウマ体験にもしかしたらなるのかもしれない。ふつう幼児アニメで、相手を食べたり食べられたりはしないからね(笑)。
と書きながら、日本の子供たちはアンパンマンが食われては復活する現象をさんざん見慣れている以上、意外に「主人公が食べられる」こと自体には、あまり抵抗がないという可能性もあるんじゃないかと気づいたんだけど……果たしてどうなんだろうね(笑)。
あとは、気楽な調子で陽気にふるまっていた「かみさま」が、唐突にひたすら追いかけてきて人的犠牲を強いてくる「祟り神」だったという、ギャップというか、クラスチェンジの在り方も、子供にとっては結構「こわい」かもしれない。
『令和のダラさん』とか『ポニョ』に近い「恐怖」というか。
まあ、ちいさいときにそういうトラウマ系のアニメなり特撮なりを観ておくのはとても大切なことだし、必ずや大人になってからの精神的な「糧」になると思う。今回の『ちいかわ』は子供たちにとって、とてもいい情操教育アニメとなるのではないでしょうか。
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あと、「ラストがこわい」って話も、世間では結構言われていたのではないかと思う。
要するに、セイレーンがいきなり「帰った」のは、カレーが辛かったからではなく、「誰が真犯人かわかったから」だということを明かすシーンがあって、その後、ラストの引きでとらえられた牧歌的な海を渡って、セイレーンと人魚×2が二人のいる島に向かっていくシーンを見せて、これから何が起こるかをわからせるという仕掛けだ(少なくとも大人なら観ていてだいたいわかると思う。幼児だとわからないかもしれない。中高生くらいになって、思い返して気づく、みたいな)。
このエンディング、たしかにとても感心した。
とくに、奥ゆかしく画面の左下隅にセイレーン&人魚を遠望視で入れるセンスが素晴らしいな、と。
その描き方は、中世に製作された「マッパ・ムンディ」(世界全図)のマージナル(周縁部)の海に、人魚や海獣が描き込まれる感覚に近い。
絵の中にそっと添えてあるからこそ、これから「復讐の神」による「制裁の執行」が滞りなく行われるのだ、という神話的で不可逆的な運命が粛々と伝わってくる。
ただ、僕自身は以下の2通りのエンディングを予想しながら観ていたので、意外に「常識的なラストにおさめたな」という感想がつい先に立ってしまった(笑)。
① 頭に葉っぱのある2人の島民が、おたがいの電池を外し合って(外しても数秒は自走できることのわかるシーンがある)崖から手に手を取って身を投げる自殺エンド(『ミッドサマー』&市川崑版『獄門島』のラストのパロディ!)
② 最後の祝勝のお祭りのあと、「島民全員のお尻に単三電池がある」ことが呈示され、さらには島を後にして去っていくちいかわたち全員のお尻にも単三電池が仕込まれていることがわかる、「実はみんなが食べさせられていた」全滅エンド。
それに比べると「パートナーを害した人魚に復讐した人間が、今度は人魚に復讐される」というのはとても因果応報かつ「道徳的」なエンディングで、僕にとってはむしろ爽やかで、おさまりの良い終わり方である気がしたのだった。
― ― ― ―
●島にちいかわ一行が船でやって来て、事件を解決して船で帰る(みんなが「ほんにありがとう、また来てつかあさい」と見送る)というのは、まさに「金田一耕助」の『獄門島』のフォーマットである。ナガノの脳内では、もともとこの長篇が「ミステリー」として企図されていたのではないか。
●「人魚の肉を食べると不老不死の身体が手に入る」といういわゆる「八百比丘尼]」の伝説をベースにした物語でいえば、僕らの世代にとってはなんといっても高橋留美子の『人魚』シリーズが想起される。おそらくナガノも読んだことがあるのでは?
●ちいかわ一行がいずれも「心許ない勇者」である一方、ラーメン島二郎の店主はオビ=ワン・ケノービばりの「絶対的なマスター」として、作品世界に君臨していた。ナガノ自身がいちばんのファンなんじゃないかと思うくらい、いい意味でのマチズムと父権性を感じさせるアメコミ的ヒーロー・キャラだったような。なんか本編でも二郎もどきが出てくるとWikiか何かで読んだが(ラストで出てきてたリザードマンかギーガーみたいなハードコアゲイっぽいやつ?)島だと「貝だし」ラーメンなのが笑う。
でも人魚が人を昆布だしと味噌だれで味付けして食べようとする『注文の多い料理店』系の話で、守ってくれるヒーローも貝だしのことばかり考えている料理人ってのは皮肉な作り。いかにも「ちいかわ」らしい。考えてみると、「カツカレー」がっついてるってことは、ちいかわは豚肉を食べるんだなw
●ちいかわたちの会話って不思議で、話す側はよくわからない言語でまくしたてて、それを「聞いた側が翻訳して」「~なんだって」という形で観客に伝えるスタイルなの、なんでだろう。最初、島の住人の言葉が「わかる/わからない」とかでそうなってるのかと思っていたんだけど、仲間内でも結構そういう段取りでしゃべってるよね。ちょっと特異な感じがするけど、理由があるのだろうか。
●モモンガのぶっ飛びぶりは、きっと僕の知らない本編の時点からああいう性格&行動なんだろうね。トリックスターに近い役どころで、お話を動かすにはとても使い勝手の良いキャラではある。これに井口裕香割り当てたの、天才(笑)。
●歌やラップでバトルする感覚って『マクロス』みたいで懐かしい。そういや、イーカラ片手に歌唱バトルする「人魚」戦隊っていう『マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ』ってくるったアニメがあって、しっかり2期完走したのを思い出す……(笑)。あれも海藻使って襲ってきたり、似たようなシーンが結構あったような。
●森のじっとりしたジャングルっぽい描写には、アンリ・ルソーからの影響が感じられる。
あと、海底洞窟の天井に真ん丸の穴が空いてるのって、西伊豆の堂ヶ島天窓洞を思い出す。僕が行ったとき、結局風が強いからという理由で、洞内巡りが欠航になっちゃったんだよなあ。
●さっき映画HPを観て、古本屋さんは「カニ」ではなくて、カニのカチューシャをつけているだけであることを知る(笑)。そういや、セイレーンをあえて魚くさいキャラクターにせず、招き猫みたいな顔にしたのも、いいセンスだと思う。
●声優でいうと、ちいかわとハチワレの二人はまったく知らないと思ったら子役でしたか。ていうかハチワレの子はもう15歳でそろそろ声変わりなんだな。あと、小澤亜李がいつのまにか金朋みたいな飛び道具声優扱いになってる! それと、内田雄馬にあんな英雄声が出せるなんて!
●監督の及川啓って、サトジュン、桜井、大地、川口あたりのまっとうな監督のもと原画マンとして修業して、『俺ガイル』の二期と『ウマ娘』で独り立ちした人ってイメージだったので、この絵柄のキッズアニメを担当しているのは結構不思議。たぶんこの手の作品やったことないよね? それでこれだけきちんとまとめてきたのは立派。
●めざせ興行収入100億。『踊る大捜査線』とセットで、斜陽のフジをなんとか救ってあげてほしい。
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