劇場公開日 2026年7月10日

「ずっと“彼”を懐に抱くことで勇気を貰えた」大統領のケーキ ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ずっと“彼”を懐に抱くことで勇気を貰えた

2026年7月13日
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鑑賞方法:映画館

南米チチカカ湖の葦の浮き島より、規模は小さいが、それでもしっかり造られた家々がある。朝のお祈りもそこそこに、学校に遅れまいと巧みに小舟を操って登校するラミアが愛くるしい。
だが、お昼ご飯のリンゴをくすねるクズ野郎の登場で、この美しい情景がふっとんでしまう。義憤にかられ、この後も続々現れるクズどもに怒りのボルテージは上がる一方。

ただ、外部情報をシャットアウトした独裁国家で産まれた子供に理不尽や不公平の概念など、そもそもないのだ。リンゴを取られたのは、遅刻の罰だと心得るしかないラミアだった。

『国中のコーラが飲みたい!』
ラミアは純朴だ。

“血と魂を捧げる”なんてのはお題目にすぎず、至る所にあるフセインの肖像画は只の生活風景だ。為政者なんて誰でもいい。お祖母さんから逃げたのも、ケーキ作りの強い使命感から。また、盗みを働く相棒サイードを責めつつも、自らは小麦粉を失敬して悪びれることもない。しかし、いったい誰が彼女を咎めることができるのか?大統領のケーキなどは口実で、各校で教師どもに搾取されるだけなのだから。

そして、これは監督の狙い通り、ラミアのマスコットとして格好の絵面になっている雄鶏ヒンディ。
不憫な境遇の主人公を“投影”したペットのイヌ、ネコはよくある話だが、この雄鶏は違う。
ヒンディは勝手に鳴いて、“時報”の役に立たない。売られることもない。不条理な世界に繫がれてもいない。自由でお気楽なのだ。
それがラミアのお気に入り。だから、ずっと“彼”を懐に抱いて勇気をもらっている。
そして、あの郵便局のオジサン。この人がいてくれたおかげで、すさんだ、世知辛い世の中も救われましたね。

素人の寄せ集めという配役だが、リアルで出来すぎの感もあって、特にラミア役の女の子は、今後活躍して欲しい女優。『落下の王国』のカティンカ・アンタルーみたいに一度きりで消えてしまうのは惜しい。

いま、たけなわのサッカーで言えば、当時フセインの息子ウダイが自国の負けた選手たちを鞭打ち刑にした話は有名だ。好き勝手なルールを作って悦にいっている独裁者ども、いま思いつく世界中すべてのやつばらを、抹殺出来たとしても、また、ムクムクと湧いてくるんだろうなあ。宗教の顔をした“りして。
“安全地帯”にいながら、
軍事体制下で支配され蹂躙された人々に向けて『立ち上がれ』だの『そんな無気力でいいのか』だの言うのは容易い。実際、外圧が無ければフセインは倒れなかったし………

本作のような映画は是非とも残って欲しいと思うけれど、また何だかイラクの隣国や周辺がどうもキナ臭い。

ノーキッキング
ひでちゃぴんさんのコメント
2026年8月9日

共感&コメントをありがとうございます!ラストは祈るような気持ちで観ていました。ラミアは素晴らしかったですね。

ひでちゃぴん
SING SINGさんのコメント
2026年8月6日

共感とコメントをありがとうございました。
おっしゃる通りですね。
道具もないのでメレンゲを立てて、なんてわけにもいきませんしね。
落下の王国の女の子も、素晴らしい演技でしたね。

SING SING
チャキオさんのコメント
2026年7月25日

ノーキッキングさんへ。
「お針子さん」へのコメントありがとうございます。こちらから、失礼します。
私が鈍いだけなのかもしれませんが、鋭い観察眼ですね。殺人事件へと誘うための展開なのでしょうが、確かに不自然ですね。

チャキオ
アベちゃんさんのコメント
2026年7月25日

いつもコメントありがとうございます♪
ラストが極めて印象的だったので観た後にじわじわっと心に沁みてくる映画でしたね。
ずーっとゴタゴタが続く中東情勢、。本当の平和はいつまでも訪れない。悲しいが、。

アベちゃん
チャキオさんのコメント
2026年7月24日

ノーキッキングさんへ。
共感 並びに コメント ありがとうございます。
いつもレビューを読ませてもらっています。感情が入っていて、うんうん、そーだよなぁ、といつも頷きながら、読んで参考にしています。
独裁政治の影響が、学校の教師という末端にまで浸透してしまっている。
教育現場であることを考えれば、ホントに恐いですよね。
雄鶏ヒンディ君については、私は、当初、ケーキの材料との交換の為に連れて来られたのか、とか、鳴くタイミングに何か意味があるのか、とか、色々考えていましたが、もっともっと大事な、何よりも大事な役割がありましたね。ノーキッキングさんのレビューの標題どおりだと思います。見た者の心に余韻を残す、ホントに良質な映画でした。

チャキオ
ファランドルさんのコメント
2026年7月22日

当時のイラクという社会をリアルに。その中での大人たちをリアルに。そんな大人になっていくであろう子供たちも清濁併せてリアルに描いている点は、なかなかでした。

ファランドル
Keiさんのコメント
2026年7月19日

コメント有り難うございます。
ヒンディーは彼女の救いでしたし、良いアクセントになっていましたね。
途中どうなることかとヒヤヒヤしましたが…

Kei
活動写真愛好家さんのコメント
2026年7月18日

ラストは二人とも助かったと信じたいですね‼️

活動写真愛好家
はりすんさんのコメント
2026年7月18日

共感とコメント有難うございます。
ですよね。自分も最後は無事だったと勝手に決めつけています。

はりすん
あんちゃんさんのコメント
2026年7月16日

共感ありがとうございます。サダム・フセインは1937年生まれなので最後に出てくる50歳の誕生日の実際のシーンは映画より前です。だから20年くらいあんなバカなことをやらせていたのですね。とんでもない野郎です。

あんちゃん
Bacchusさんのコメント
2026年7月16日

そういえば、ふくらし粉はサイードのママが持っていたんでしょうかね?そうじゃないとパンケーキですよねw

Bacchus
ニコさんのコメント
2026年7月14日

コメントありがとうございます。
郵便局のオジサン、ほんと救いでした。周りの大人がゴミ過ぎて、何故この社会でこんな善意を持ち続けられるのだろうと不思議になったほどでした。

ニコ
sazanamiさんのコメント
2026年7月14日

共感&コメントありがとうございます

一瞬で見落としていたのですがあの教師は吹っ飛んでたんですか!
それはスカッとしますね。

sazanami
あらじんさんのコメント
2026年7月14日

日本中が沈黙したドーハの悲劇。
負けられないイラクだったんですね。

あらじん
満塁本塁打さんのコメント
2026年7月13日

イイねコメントありがとうございます😊
確かに 夏休み突入寸前 さすがに 夏休み中は 特にアニメは要注意 クレしんとか マジやばい😨

確かに 犬や猫は特に犬は 明確な感情ありますから チト状況的に違う。
主人公少女の 格好の絵面 相棒 は 感情がわからない雄鶏🐓ヒンディ が逆に 少女の健気さを引き立たせてました。対等の友達。 私も 遥かに昔 昭和の昔 ニワトリ🐓が家にいたことありましたが 地味に慕ってくれて追って来たりして友達感ありましたね。 失礼します。

満塁本塁打
Kさんのコメント
2026年7月13日

コメントありがとうございます。
本当にそうですね。
側近の様子も本当に嫌ですね😱

K
Yumさんのコメント
2026年7月13日

こんばんは✩︎⡱共感とコメントもありがとうございます。誰もが生きることに必死なんでしょうが非道な大人が目立ちましたね。警察も頼りにならないし、郵便局のおじさんいてくれて良かったです。コーラをラミアに飲ませてあげようとしたサイードの優しさも涙

Yum
コビトカバさんのコメント
2026年7月13日

共感ありがとうございます

そういえば郵便局のおじさんでしたね
すっかり忘れてタクシー運転手だと勘違いしてました
思い出させてくれてありがとうございます

コビトカバ