「失敗を重ねる雌鶏から目が離せない」雌鶏 画面の旅人さんの映画レビュー(感想・評価)
失敗を重ねる雌鶏から目が離せない
主演は一羽の鶏。前代未聞の設定に、観る前は正直どんな作品になるのか想像がつかなかった。もちろん鶏にセリフはない。それでも序盤から、彼女が何を求めて行動しているのかがはっきり伝わってくる作りになっていて、言葉がなくても物語にすっと入り込めた。
目的に向かって進もうとする鶏は、何度も何度も失敗を重ねていく。その道のりの中で描かれるのは、人間の身勝手さだ。人間の都合で振り回される鶏の姿を見ていると、普段私たちが動物に対してどれだけ無自覚に振る舞っているかを考えさせられる。
一方で、この映画は鶏を単に「かわいそうな存在」としては描かない。知能が高くないからこそ生まれてしまう残酷さも、包み隠さず映し出している。人間の勝手さと、動物ならではの残酷さ。その両方を突きつけられることで、単純な善悪では割り切れない世界が見えてくる。
セリフのない鶏が主人公でありながら、最後まで飽きることなく観られたのは驚きだった。ありそうでなかった、唯一無二の一本だと思う。
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