雌鶏

劇場公開日:2026年9月25日

解説・あらすじ

養鶏場からの搬送中に逃走した1羽の雌鶏の視点を通して、人間たちの尽きない欲望や社会の理不尽さをユーモラスに描いた異色のヒューマンドラマ。

養鶏場で生まれ育った1羽の黒い雌鶏が、出荷用のトラックから脱走した。人生で初めて自由を手に入れた雌鶏は、刺激と危険に満ちた世界を走り抜け、ある事情を抱えた一家が暮らす家にたどり着く。庭に建つニワトリ小屋で新生活をスタートさせた雌鶏はやがて恋をし、初めて産んだ卵を温め育てようとするが、大切な卵は毎日人間に回収されてしまう。我が子がヒヨコになる日を雌鶏が夢見る一方で、飼い主一家はとある事件に巻き込まれる。その先には、両者にとって思いがけない運命が待ち受けていた。

映像にはCGIや特殊効果をほぼ使用せず、世界的に著名な動物トレーナーのアルパード・ハラシュによる指導のもと、8羽の雌鶏が役割を分担しながら主人公の雌鶏を実演した。監督・脚本は、「ハックル」「タクシデルミア ある剥製師の遺言」などで知られるハンガリーの鬼才パールフィ・ジョルジ。2025年・第50回トロント国際映画祭プラットフォーム部門にて審査員特別賞(特別表彰)を受賞。第38回東京国際映画祭コンペティション部門上映作品。

2025年製作/96分/G/ギリシャ・ドイツ・ハンガリー合作
原題または英題:Kota
配給:ハーク
劇場公開日:2026年9月25日

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©2025 Pallas Film-Twenty Twenty Vision-View Master Films-ZDF

映画レビュー

3.5 鶏目線で世の中を見つめる奇作

2026年9月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

パールフィ・ジョルジという監督名を見て驚いた。だって『タクシデルミア』という問題作で知られる奇才だからだ。彼が新たな題材に選ぶのは雌鶏。主人公はあらゆる言語や境界を超越しながら、思うがままに突き進んでいく。ちなみに余談だが、監督はかねてより祖国ハンガリーのオルバン政権下で映画が撮れなくなったことを明かしており、本作がギリシャを舞台にしているのも恐らくそんな事情があるのだろう。8羽の雌鶏が演じた主人公は、ぎゅうぎゅう詰めでコンベアーを移動し、過酷な運命を辿る中で、窓から颯爽と逃げ出すチャンスを逃さない。クローズアップで捉えるその表情や生態は時にグロテスクだが、徐々に慣れると人間の生き写しにも見えて、自ずと感情すら伝わってくるかのよう。移民や難民、貧困、街で起こっているデモなど、様々な描写に意味深な目配せを感じる。ある意味で抜け目がなく、またある意味で観客の想像力にどっぷり委ねられた一作かと。

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牛津厚信

4.5 脱走と雌鶏のサンバ

2026年10月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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満天

3.0 撮影の努力は感じさせてくれた...

2026年10月8日
Androidアプリから投稿

序盤は期待通りの展開だったけど、
行き着いた場所からの話は、
ただ宜しくない人々の生活を『雌鶏は見ていた』的な感じになってしまっていて、
雌鶏の体験する展開がアレだけだと、
脚本が、ん〜ちょっとなぁ...な思い。
期待していた1本だけに...

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んゆじと

4.0 みんな自分の命を生きているだけ

2026年10月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大変な奇作だった。

一羽の黒い雌鶏が逃げる。
捕まる。卵を産む。取られたくなくて抵抗する。また逃げる。雄鶏がいれば近づいていく。

そこに自由や母性や愛といった意味を背負わせようと思えば、いくらでも背負わせられる。でも、この雌鶏はそんなことを考えていない気がする。ただ、そのとき自分の命が向かうほうへ動いている。

周囲も同じだ。

狐は鶏を食べようとする。犬は目の前のものに反応する。人間は人間の事情で欲しがり、争い、食べ、殺し、死ぬ。

ニワトリの視点から世界を眺める映画というより、それぞれの命がそれぞれの都合で動き、その軌道がたまたま交差している映画に見えた。

生き残ることさえ、強さや正しさへの褒美ではない。自分で動いた結果と、自分にはどうにもできない偶然が重なって、たまたま次の瞬間へ進む。

卵が濡れたまま産み落とされる生々しさ。恐竜を思わせる鶏の脚。食べることと食べられること、生まれることと死ぬことが、妙に可笑しく、ときに残酷に、同じ地面の上に並んでいる。

そして世界は、誰かがいなくなっても続いていく。

希望とも絶望とも言わず、
みんな自分の命を生きているだけ。

そんなものを見た気がした。

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さよなら