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この映画の一番のインパクトは、何といってもメインキャスト4人の ”現役感” だろう。
いやいや、前作は20年前ですよ? 生馬の目を抜くハリウッドに20年もいれば、4人のうち誰かしらその後の活躍がなくフェードアウト状態になっていたり、そうでなくても加齢でネガティブな容貌の変化が目につくようになっていても全く不思議ではない。これだけブランクのある続編、あるいは長期続くシリーズものでもいいが、キャストが20年も続投すれば得てしてどこかに「無理して頑張ってる感」が出てしまうものだ。
ところがこの4人には、そういう残念な衰えが皆無。むしろ脂がのっている。俳優としての彼らは前作以来活躍し続けているので、別に20年ぶりに見たというわけでもないのだが、前作の役柄に戻った姿を見ると、その雰囲気の変わらなさに改めて驚いてしまう。予告映像の段階で、誰もがそう感じたはずだ。
この驚きと、終始スクリーンを彩る華やかなファッション。このふたつだけで、既に結構満足度が高い。久しぶりにキラキラしたハリウッド映画を楽しんだ、という気分だ。
物語の方は、前作がとても綺麗に終わっていたので、今回は同窓会的続編をやるための設定ということで正直あまり期待していなかった。なになに、ミランダとナイジェルに危機が訪れたところに、報道記者をやっていたアンディが舞い戻るとな……これだけでどういう流れか何となく予想がついてしまう。
実際、展開にハラハラすることはほとんどなかったが(どうせアンディが解決するから……)、前作のエピソードを想起させるやり取りがちょいちょい入ったり、出版業界の苦境やパワハラに厳しい目が向けられるようになった社会情勢を反映した描写が多く取り入れられて、退屈することはなかった。
ミランダのパワハラキャラが(でも魅力的なんだけど)前回と同じ扱いということはないだろうなあとは思っていたが、会議でアシスタントに発言をチェックされたり、コートを自分でハンガーにかけていたりといった様子を見て「あのミランダが……時代だな」とつい遠い目になった。
ランウェイのオフィスに彗星のように現れたアンディが軽くやらかしたりしながらもいい仕事をやってのける、というざっくりした構造は前作と同じだ。
一方前作では、若いアンディの目覚ましい成長と共に、仕事に夢中になるほどプライベートの人間関係に軋みが生じるという板挟みも描かれ、その悩みを彼女が自力で消化してミランダの元を巣立つというラストが、物語に単純な成功譚にとどまらない深みとリアリティを与えていた。
それに比べると、本作でのアンディの描写はやや単調だ。冒頭で元々いた職場をクビになるものの、ランウェイでの仕事もミランダに褒められないだけで概ねそつなく、時に期待以上にこなすし、しっかり彼氏もできるし(物語上影が薄くて、いなくてもいいような彼氏)、凡人の私から見ると若干ファンタジックでさえある。
むしろ、コンプラと資金難の大波に晒されて色々慣れないことをやらされているミランダや、大富豪にがっちり食らいつくエミリーの方に親近感を覚えた。
(エミリーは前作でも一番面白くて好きなキャラ。ラストで彼女が「シェアすれば0カロリー」とサンドウィッチマン伊達のネタを披露したのには笑った)
パーティーやショーの場面では多分本職の方がたくさん出てるんだろうなーと思いながらも(エンドロールでも「as themselves」のリストに数十人分の名前があった)、観ている間はほぼわからず(泣)。そんな私でも、さすがにガガ様はわかりました。これはテンション上がるサプライズ。ファッションショーであんなふうに歌われたら、モデルじゃなくてガガばかり見てしまいそう。
ヒュー・ジャックマンは、名前だけフェイントで出されたものの出てこず(笑)。
公開直前にアジア人キャラ描写で炎上した件は、作品を観終えた後の印象としては、正直なところ言うほど気にならなかったかな……ステレオタイプだとかネーミングの問題とかあるようで確かに設定に突っ込みどころはあるが、全部見たら普通にいい人という感じだったし、ルーシー・リューはあんなカッコいい富豪として描かれてたし、個人的には心配したほど嫌な印象は受けなかった。
20年前にミランダの元を巣立ったアンディが、今回は戻ってきてランウェイにとどまるという前作と対を成すようなラストで、続編としてはとてもきれいな終わり方。
出版不況の時代を映しつつも過剰に辛気臭くなることなく、希望を感じさせる業界讃歌、そして働く全ての人々へのエールとして仕上げられていた。そのためか、余韻は前作同様爽快。楽しい映画を観たなという気分にさせてくれた。