「期待値が高かった分、失望も大きい——『プペル 約束の時計台』正直レビュー」映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台 ジゴワットさんの映画レビュー(感想・評価)
期待値が高かった分、失望も大きい——『プペル 約束の時計台』正直レビュー
まず大前提として、私は西野さんやプペルアンチではなく、むしろ好意的な感情を抱いて観に行った。
そんな私でも、エンタメとしてかなり厳しい出来だと感じたため、今後の発展を願ってレビューする。
・本来、制作総指揮になるレベルにない人間がなってしまった映画という感じ。
・圧倒的に欠落しているのは、必然性や物語の作り込み。
・前作は、そもそも絵本として起承転結が成り立つプロットの強さがあったので、問題なく観られた。
・今作のつまらなさや粗さは、まるで作り込みの甘いお笑いのネタを延々と長時間見せられているようなものだった。
・ディズニーやジブリ作品を代表にオマージュが多かった。
(わかりやすい例だと、穴に落ちて非日常が始まるのは不思議の国のアリス、バラック小屋の小人は白雪姫、電車のシーンは千と千尋の神隠し、ナギを追いかけた森はもののけ姫。)
ただ、それらが作品独自の物語を深めるために機能していたとは思えず、「見たことのある演出」の寄せ集めに見えてしまった。
・「この時、この登場人物ならこれを言うか、考えるか」という観点がなく、登場人物に温度を持たせることができていないのが致命的。
・時計の針が重なるという話をルビッチがいきなり始めるが、ルビッチが話す内容としては不自然。
・ナギが森に帰る理由はわかったが、なぜ約束を破ったのか、なぜ何も言わずに帰らなければならなかったのか、その理由や背景をもっと描写するべきだった。
・恋愛のプロットは、すれ違いをどう描くかが面白さの本質なのに、そこが弱い。
(または、すれ違いが起きてしまう悲劇と、それが起きてしまう必然性のロジックを描くべき。)
・体が植物化する理由も提示されていない。
・「飛び足りないから飛んでんの」のところは寒すぎて、共感性羞恥がひどい。
・ナギが366日を歌うのも違和感が強い。
・なぜ「366日」なのかという理由の提示もないし、せっかくプペルというファンタジーの世界に入っていたのに、急に現実の世界へ引き戻される不快感が強かった。
・プペルと再会した時も、ただハグするだけじゃなくて、「やっぱりプペルは臭いね」みたいな一言があれば、もっと温度感を感じられたと思う。
(ネガティブな発言だけど、それこそが再会できた証であり、嬉しさの表現になる。)
・例えば、クレヨンしんちゃんの大人帝国の逆襲とかだと
ひろしの靴下が臭いこと(ネガティブなこと)に対して、「家族のために日々嫌なことがあっても仕事を頑張って汗をかいているから臭い」という必然性の説明がある。
その臭い匂いを嗅がせることで、大切な家族を思い出すシーンが泣ける。
でも、今作にはそういった作り込みがない。
・涙がとにかく安い。涙の安売り。
・「登場人物を泣かせれば感動させられる」と思っているような、透け透けの意図を感じる安さがある。
・簡単に泣かせるのではなく、涙や悲しみの感情をもっと丁寧に表現した方がいい。
・ディズニーを超えたいと常々おっしゃっているが、まずはディズニー映画を100本観た方がいい。
・ディズニーはファンタジーや空想の世界だけれど、とにかくわかりやすいし、納得させられる必然性を必ず用意している。
・一方で、プペルにはその必然性がない。
・ディズニーは徹底してファンタジーであることを一貫しているのに、今作はいちいちファンタジーの世界から引き戻してくる。
・叙述トリックや、観客の視点を巧みに誘導するようなプロットの妙がないので、小説も100冊読んだ方がいい。
・スピルバーグ作品も100回観た方がいい。
・一度観た後、もう一度最初から見返すと、すべての意味が変わって見えるような演出がない。
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