旅立ちのラストダンスのレビュー・感想・評価
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確かな目線で死を見つめ、主演二人の変化を紡ぐ感動作
コロナ後の香港を舞台に、借金返済のため葬儀業界へ鞍替えして頑張ろうとする主人公と、伝統儀式を執り行う道士が織りなす物語。いわば香港版「おくりびと」というべき本作は、冒頭から描かれる独特の風習が観る者を強く引き込む。ふっと笑みがこぼれる場面もあるにはあるが、しかし死を真正面から扱った目線にはブレがなく、むしろ作り手が観客と共に呼吸を合わせこの題材へ踏み込んでいくかのような確かさを感じる。はじめは利益を出そうと躍起になっていた主人公もやがて成長する。「本当に大切なものは何か」を体得し、故人や遺族の思いに寄り添った判断ができるようになっていく姿は非常に感動的。その変化を受け、道士の家族のわだかまりや、男性中心の考えに縛られた伝統そのものに切り込んでいく後半の流れも胸を打つ。そして特筆すべきは、実直で温もりあるダヨ・ウォンと、泣く子も黙る喜劇界の伝説、マイケル・ホイ。二人の名演を胸に焼き付けたい。
ほどなくお別れです 香港篇
香港のお葬式や信仰、生活の様子を知ることができて、仕事柄とても勉強になりました。
失敗しながら学んでいく、儲けることより、いかに遺族の心に寄り添うか、そして使者の魂を和めるか。
道士は死者の魂を救い、葬儀屋は残された者の魂を救う。
コロナ禍以降、葬儀の形が変わってきて、より簡略化されてしまったけれど、生者の都合ばかりで、死者の魂を弔うことを忘れてはいないだろうか。
全く映画の感想ではなくなってしまったけれど、TEARの社長さんは若い頃、葬儀屋という理由で結婚を許してもらえず、それが悔しくて葬儀屋の社会的地位を上げるために尽くしてきたそうです。それまでは費用も不透明なところや、いろいろあったようです。
この映画や「ほどなくお別れです」では扱われる葬儀が限られていますが、実際は1日に何件も重なったり、都会では火葬場の順番待ちで亡くなってもすぐには葬儀が出せないことが当たり前のようになっているそうです。
香港では興行記録を更新したほどヒットしたそうですが、
誰もが避けることのできない身近で切実な問題だからこそだと思います。
ラストダンス、兄妹がそれぞれ確執のあった父親をおくるための破地獄は感動的でした。
葬儀を扱た映画の中では、「アイ・アム・マキモト」の元になった英国映画「おみおくりの作法(Still Life)」がおすすめです。
生きている人にも破地獄は必要
香港版「おくりびと」リメイク感が無いとは言えないが・・。
導士一家に、コロナ禍で結婚式経営を畳むことになった主人公が、葬式屋の跡継ぎとして入ってきたところから物語が始まる。香港は、仏教・道教・キリスト教が混ざり合ったような様式と聞きますが、多くは日本同様、自宅ではなく殯儀館という斎場で執り行われ、実際に道教式の破地獄を導師が執り行うのは一般的なことだそうです。
導師一家の家族が、父が導師職故の葛藤があり、冠婚から葬祭に転じた主人公夫婦にも葛藤があり、しかし、それらを埋めて行ったのは結局、生きている人達と亡くなって行く人達との思いであること。ハロー導師を思う家族の力はラストシーンの破地獄の舞で昇華していったのでしょう。
映画らしい映画でした。脚本、演出、カメラも良かったですねぇ。
伝統的な中国香港の死者への儀式
細かいところは色々とアレだけど、 とてもいい映画だった 道教って民...
細かいところは色々とアレだけど、
とてもいい映画だった
道教って民間信仰だと思ってたけど、
宗教だったんですね
おくる映画かと思ったけど、
生きていくための映画だった
邦題が微妙だけど、
そもそも英語のタイトルからして微妙だから仕方がないか
でもいい邦題が思いつかない
香港で働いてた頃にこれを見ていたら、
あんなに香港を毛嫌いせずにいられたかも
もっと理解しようと歩み寄れたかも
優しい映画でした
笑いあり、涙あり。
喪失感を和らげる葬儀の役目
いつかは人はその人生の終焉を迎える、ただ日常では考えないようにしているだけ、考えてもしょうがない。しかし、そこに常に関わってくる人々がいるわけで、そんな人々を通して家族や人生の終わりを考えさせられる映画。
いつもそばにいた人を失う喪失感
こればかりは、経験してみないとわからないですね
家族がなくなり、その事実が実感として湧いてこない
葬儀も終わり、一段落ついた日常
かたずけものなどして、ふと家族の名前を呼ぶ
あっ、そうだ亡くなったんだ
その時の悲しみ言葉にできないですね。
ご主人なくされた方は、いつもご飯多めに作ってしまう。
などなど、人一人いなくなるというのはそれだけ辛いもの。
映画は、葬儀社と道士のお話
この組み合わせ、日本だとさしずめ葬儀社と僧侶だろうか。
葬儀の簡素化
映画では、昔からの習慣が色濃く残っている。
遺族によりそう道士と葬儀社の主人公がやさしい。
悲しみを支えきれない時には、こういう人がそばにいるだけでほっとする。
しかし、現代では冠婚葬祭は簡素化の方向に向かっています。
それでいいと私は思うのですが。
かつての日本の葬儀は大変でしたからね。
ご近所総出でお手伝い。
会社も休むし。
大変だった。
だから今の流れもいいと
死者のためにこの世があるわけではなく
あくまで、残った人のためにあるのですから。
故人を忍び、遺族を思う
そんな原点が葬儀にはあるはずで
そんな思いが伝わってくる映画です。
簡素化でいいのですが、
あくまでこの葬儀の思いは大事にしてもらいたいものです。
事故や病気で幼い命が失われた時
言葉では言い尽くせない悲しみにあふれた葬儀も
遺骨の引き取り手のいない葬儀も
あらゆる人の終焉を思わずにはいられない映画です。
この世に産まれてくるという事
誰も清廉潔白ではないし、誰も悪人ではない
勝手にトワウォで盛り上がっていたところ。香港でもすごい人気だって!そりゃそうだ!とか喜んでいたら「トワウォの興行収入歴代1位を一気に破ったゾ!」
何だって?どんな映画?え?香港の葬送儀礼の映画?なにそれ、めっちゃ観たいじゃない!!と思っていた「破・地獄」が公開された。そりゃ観に行くよね。
すごく良い映画だった。
140minと香港映画としては長いけど、映画が終わるまで一切の怠みはなくずっと集中できた。
元々本国で120minで公開して、大ヒットを受けてカットした部分を足したディレクターズカット版が上映されたそう。日本での公開はこのディレクターズカット版。増えた部分をネットで確認したけど、追加して正解、主人公の心情の解像度が格段にUPしていると思う。
葬儀がテーマなので死の表現は多いし色々悲しいけど、すごく優しい映画だった。そして単なる慰めの映画ではなく、全ての登場人物が生きる事による”人生の業”を背負っていて、それぞれの業との対峙が哀しくも愛おしかった。誰も清廉潔白ではないし、誰も悪人ではない。それが人間だし人生だよね、って思わせる。
香港の葬送儀礼、道教をベースにした「破地獄」と司る道士についても興味深かった。日本でも、当たり前に行われてきた葬儀が近年選択肢が増えていると思う。元々の信仰や宗派による違いだけでなく、宗教色のない見送りや葬儀を実施しない、等現代の風潮に合わせての選択肢。香港のような「破地獄」はないけれど、香港における葬儀の多様化(「破地獄」を行わない場合もある)は日本人にも理解しやすい。実施しない葬儀も出てきているようだが「破地獄」は伝統的葬儀文化として、香港の無形文化財に指定されているそう。
個人的な感慨として。葬送儀礼は宗教色が強いので、今後の香港でどう扱われるのかが気になるところ。そして、この映画が香港の歴代興行収入一位になった、というのがとても感慨深い。映画として優れている、だけではなくて、現在の香港人の、香港の伝統への思いを見たような気がするのだった。
人生はカウントダウン
『旅立ちのラストダンス』は、中国の葬儀屋を舞台に物語が進んでいく。葬儀という題材から、序盤は「死」を描く物語なのかと思って観ていた。しかし、物語が進むにつれて、この映画が本当に描いているのは「死」そのものではなく、限られた時間の中でどう生きるかという「生」のテーマなのだと感じられてくる。
中国の葬儀文化が描かれている一方で、日本の文化や死生観にも通じる部分があり、どこか身近に感じながら観ることができた。人を見送る仕事を通して、残された人々の思いや、人生の終わりがあるからこそ浮かび上がる日々の大切さが丁寧に描かれていたと思う。
総じて面白かった。重い題材でありながら、ただ悲しみに寄りすぎるのではなく、人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる映画だった。タイトルの通り、人生はいつか終わりに向かうカウントダウンなのかもしれない。だからこそ、その一瞬一瞬をどう踊るのかが大切なのだと感じた。
人の思いは同じ
葬儀屋って結構儲かるのかもしれないですね。意外にも緊張感ある家族葛藤もの映画でした。
タイミングとしては日本映画の「ほどなく、お別れです」が公開されて間がないのであれと比較してみれば面白い。香港のこの葬儀スタイルでは、道士が死者の係、葬儀屋が生者の係みたいな役割分担になっている。日本のあの作品では目黒蓮と浜辺美波演じる葬儀社員が死者、生者双方に対応するかたちとなっていたが。ダヨ・ウォン演じるところのトウサンがいつの間にか日本で言えば納棺師のような技術を身に着けているところも目黒蓮と同じ。
さて、マイケル・ホイ主演ということでコメディタッチを予想していたわけです。確かに最初の方は、葬儀の運営に不慣れで、かつ、収益確保に血眼になっているトウサンが大失敗してしまうところなどそういった流れはあるが、後半部分はトーンがかなり変わってくる。ドラマの主体はマン師匠の家庭の話となり、ほぼ主役はマン師匠の娘マンユッに置き換わる。この人は救急救命士なんだけどマン師匠の家に住んでいて、道士見習いみたいなことをしている兄夫婦、甥っ子と同居している。仕事は大変だし、不倫もしてるしとなかなか行き詰まっているところに、父は病気で倒れ車椅子生活になるし、兄一家はオーストラリアに移住するしとますます大変になる、だから後半はほとんどマン師匠の家のファミリーアフェアのドラマになるのです。もちろん、最後は、「破地獄」の演舞がクライマックスに来るのですが。
もう少しファンタジー的な要素を期待して観た人はいささか肩透かしに遭うかもしれないですね。でも家庭劇としてもなかなか見応えのある、緩みのないよい作品だと思います。因みにマンユッを演じたミシェル・ワイっていう女優さんはこの作品で香港電影金像奨の最優秀女優賞を貰ってます。過去の受賞者をみるとマギー・チャンにチャン・ツィーにコン・リーとかの名前が挙がってます。なかなか大変なものなのですよ。
破地獄
ウェディングプランナーから葬儀屋に転職した50代の男と厳格な道士の、仕事に対する価値観と思いと2人の関係性の話。
コロナ禍の煽りで負債を抱え冠婚業の会社を畳んだ50代の男が、彼女の親戚が営む葬祭業の会社で働き始めて巻き起こって行く。
単なる就職かと思ったら、社長は実質隠居で主人公が会社を回す感じですか?あくまでもビジネスという思考からのスタートということで、ああそういうヤツですね…。
良くある成長物語ではあるけれど、葬祭業という取り返しがつかないところが題材だし、vs遺族やvs故人だけでなくvs道士というのがなかなかユニーク。
更には道士の方も弟子でもある息子や娘との関係性でギクシャクしている感じだしと盛り沢山。
詰め込んでいる分尺が長くて、やはり途中ちょっとダレたけれど、わかりやすい人間ドラマと不易流行の物語で、とても面白かった。
中国の葬式を描くなかなか珍しい体験
2026年劇場鑑賞128本目。
エンドロール後映像無し。
日本の葬式を描く作品は喪主側からも葬儀社側からも結構目にするのですが、外国の葬儀だけに絞った作品はなかなかないと思います。
日本だとお経を詠むお坊さんは大体これまでの付き合いから喪主側が依頼すると思うのですが、中国は葬儀社と道士がセットになっているみたいです。ドラマはこれまで対等のキャリアを持っていた関係が、姪の彼氏に葬儀社の権利を譲ったために起きる道士との軋轢を描いており、その関係がだんだん良好なものになっていくにつれて別の問題が出てくる、というものです。
道士の後継者には息子がいるのですが、昔ながらの道士はしきたり(女性の下着は月経があるので穢れとして一緒に洗濯してはならない そもそも女性は穢れた存在なので道士になれないなど)を非常に大事にしているのですが、息子はあろうことかお受験のためにキリスト教に改宗してしまうくらいそういったこだわりがなく、たまに親父さんがブチギレてしまうという展開がよくありました。さらにクライマックスではさすがにこれはやりすぎでは、という事になっており、本物の道士がこの映画を観たらどう思うんだろうと思いました。
日本と全然違う部分もあって、ドキュメンタリーではないのですがなかなか興味深い体験ができました。
本物のドラマ!
香港の伝統的な葬儀の儀式を背景にした見事な群像劇
葬祭業を営む関係者、その家族、友人、そして葬儀を依頼する数々の顧客、そういった実に多彩な人物を通じて、この世のありとあらゆる問題と言いたくなるほど幅広いシチュエーションが交錯し、物語に厚みを与えています。
登場人物一人ひとりの職業や立場、抱える問題の設定が実に巧みで、それぞれの事情が効果的に絡み合って、人が生まれ、生き、そして死んでいく中で生じる様々な感情を重層的に描き出します。
過度な感傷や安易な笑いに逃げるずに淡々と進む展開が優れたヒューマンドラマとしての深みを生んでいます。こうした抑制の効いた語り口の香港映画は珍しい、いや初めて觀た気がすると非常に新鮮に感じられました。
140分という長尺ですが、緻密に構成されたエピソードの連鎖により、時間は瞬く間に過ぎ去ります。大切な人との別れを経験し、今もその悲しみの中にいる人にとって、本作は言葉にならない共鳴をもたらすはずです。逃れられない別れをどう受け止めるか、その答えを優しく示唆する作品だと思いました。
全27件中、1~20件目を表示
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