劇場公開日 2026年6月12日

「これは伝記音楽作品ではない、マイケル・ジャクソンのライブビューイングだった。」Michael マイケル AZUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 これは伝記音楽作品ではない、マイケル・ジャクソンのライブビューイングだった。

2026年6月27日
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鑑賞方法:映画館

これはもはや身体を動かすなという方が無理のある話。
むしろ大人しく座っている方が失礼なんじゃないかと思うほど、この映画はただの音楽伝記作品ではない。
マイケル・ジャクソンのライブビューイングだった。最高。

公開前から大きな話題となっていたのが、主演を演じるのがマイケルの実の甥、ジャファー・ジャクソンだということ。

とはいえ、血縁者だからといってマイケルになれるわけではない。
同じ人間ではないし、マイケル並みの歌唱力やダンススキルを持っているかどうかも別の話だ。世界中に熱狂的なファンがいる叔父を演じるプレッシャーは計り知れなかっただろうし「こんなのマイケルじゃない」という声を受ける覚悟も、きっとあったはずだ。

しかし、映画が始まり、ジャファー・ジャクソンの第一声を聞いた瞬間「マイケルだーーーーー!!!!」と驚き、ひっくり返りそうになった。

あのマイケル特有の、優しく高く、小さな声で話す独特の話し方が本当によく似ている。以前ジャファー本人のインタビュー動画を見た時はまったく声の印象が違ったので、相当な時間をかけて話し方や癖を研究し、身につけたのだろう。その努力が最初の一言だけで伝わってきた。

そして何より圧巻だったのが、ダンスと歌唱シーン。

私は熱狂的なマイケルファンではないので、細かな再現度までは正直わからない。長年のファンからすれば描かれていない部分や物足りない部分、美化されていると感じる部分もあるのかもしれない。
それでも私のような知識の浅い人間からすると、ジャファー・ジャクソンの並大抵ではない努力と演技には、ただただ圧倒されるばかりだった。まるで本物のライブを体験しているような感覚になり「マイケルの音楽って、本当に色褪せないんだな」と改めて実感した。何十年経っても人を熱狂させる音楽には、やはり魂が宿っている。

一方で、富も、才能も、名誉も手に入れながら、それでも決して満たされることのなかった彼の心の枯渇や、父親に管理され続ける閉塞感も丁寧に描かれていた。
自分の人生の主人公を他人に奪われることほど、苦しいことはない。
だからこそ、自分の人生を自分の手に取り戻そうと決意し、勇気を出して籠から飛び出したあの瞬間には思わず涙が出た。

最後に、この映画を鑑賞中、ラストのクライマックスのライブシーンでまさかの地震発生。
あまりにもタイミングが良すぎて、最初は「ついに無意識に自分がリズムに乗って身体を揺らしてしまったのか?」と思った。次に「後ろの人が踊り始めたのか?」と思った。しかし違う。隣の先輩のスマホに「地震速報」の文字が光っているのが見え、「地震かー!」とようやく気づいた。

そこからは劇場全体がゆらゆら4DX状態。

クライマックスのライブだけは満喫しきれなかったので、それだけが心残りになった。
今度は地震のない日に、もう一度あのライブを浴びに行きたい。

AZU