HAPPYENDのレビュー・感想・評価
全66件中、1~20件目を表示
監視社会ディストピア、でも青春はいつも希望だ
管理された中でのヤンチャな不良たちが
つっぱって反抗しながらも仲間を支え合って連帯
いかにもなヤンキー学園ものとは違うのは、
クールでスタイリッシュな画面と音響
ガジェットを使わずアングルやカメラワークの工夫が
臨場感空気感となって思わず没入した
ユニークなSF映画とも観れる
しかも、普遍的な青春映画として
学校内外で彼らが見せる刹那の瞬間が
もう二度とやってこない、かけがえない美しさ
あの高校3年の卒業式の撮り方よ!
馴染みとはいつか、わかれがくる
きちんと画面構図でわからせる見事さよ、
運命の赤い橋を右と左へ
多種多様な人種が共存する無国籍トーキョーにおいて
システムが強要するルールやポリシー、
諦めて受け入れるのか、抵抗しつつ思考するのか
この監督の父、坂本龍一は本で言っていたような
逡巡をやめないこと、簡単には決めつけないこと
物事には常に両義性があるというのを忘れてはならないと
この作品は、政治度が高い
大島渚の日本の夜と霧を想起させた
人物がとにかく主張しまくる
しかし観念カチカチにはなってないのがいい
ハグやボディタッチや目線のやり取り
slam dunkみたいなデリケートさで
身体感覚的に彼らの肉体の汗や体温まで感じさす
そう、これは感じる映画なんだ
そして、ラストには、彼らと同じ瞬間を過ごし、
なんとも言えないせつなさ愛おしさに悶絶した
佐野史郎氏演じる校長先生の造形が素晴らしい
治安維持の権化、威圧するいかにもな感じと
じつは生徒の側にいたい気持ちのアンビバレント
バトルロワイヤルのキタノ先生以来のキャラクターだ
そういえば北野武監督のキッズリターンのような
熱いものが静かにこみ上げる青春映画でした
高校時代のもどかしさの描き方が秀逸、でもなんとなく未消化
思いつきと勢いで行動したり、思い込みが強かったり、友人を焚き付けたり。
ハイティーンの頃のキラキラ=大人が眉をしかめるふるまいが、誰もが一部は思い当たるような「あるある」で描かれ、それなのに舞台はちょっとずれた架空の張り詰めた世界なのがこの映画の見どころかも。
説明的なセリフがないので、リアルだけど、わかりにくいところもある。
高校生がタバコを吸うのは、大人に言われた通りにしたくない、自分は違うものなんだ、ということを、そうはいっても大人にわかってほしい振る舞いなのかもしれないと初めて感じた。
「誰も最初から諦めてる」と同世代を責める子に、「そういう君が最初から同世代を諦めてる」という先生はかっこよかった。
床掃除しながらたわむれるふたりのシーンが一番好き、可愛いいい絵だった。
「HAPPYEND」が大してハッピーエンドではないというのは、バッ...
「HAPPYEND」が大してハッピーエンドではないというのは、バックナンバーの歌からの着想か?
近未来の「監視社会」といっても学校の中だけの話だし、反抗している生徒たちも確固たる信念に基づいて行動している感じでもない。
「規則に逆らっている自分がかっこいい」くらいのノリに見える。
彼らの主張は薄っぺらく、説得力がないのである。
この映画で一つだけ感心したのはキャスティング。
映画やドラマの学園モノだと、あり得ないようなイケメンや美少女ばかりのクラスがあったりするが、本作は見事なくらいに「普通の顔立ち」のメンバーばかりを揃えている。
あと、校長の車を縦に立てたのはものすごい技術だ。
あれはクレーン車を使っても難しい。
高校生レベルでどうやったのか知りたい。
音楽もいい
世界は変わっていくけど、彼はきっと変わらない。
近い未来の話。
ユウタとコウは幼馴染で大親友。音楽好きの仲間たちとふざけ合いながらも楽しい毎日を過ごしている。でも、ちょっとしたイタズラから2人の歯車が狂い出して…ってのが序盤のあらすじ。
ユウタはいい意味で裏表がない。今日楽しければいいタイプ。コウは自分の置かれている環境に違和感を感じ将来を考えるようになる慎重派。どっちも正しい。でも、コウはそんなユウタに苛立ちを覚える。トムに「あいつ子供の頃から何にも変わらない」って愚痴ったりするけど、トムは「だからみんな好きなんじゃない?ユウタのこと」ってサラッと言ったりする。それを陰で聞いてるユウタが切ないんだよな…
結局校長は車にイタズラした犯人が名乗り出れば監視システムは停止するって条件を出して、ユウタが「俺ひとりでやりました」って言って退学になるんだけど、コウはそれを見守るだけなんだよね。なんかさ…あんなに将来のことを考えて行動を起こしていたのに、ここで友達を見捨てたことは矛盾してないのかな?ラストでユウタとコウは右と左に分かれて歩いて行くんだけど、ユウタが腹に入れたパンチはコウの心に何か残したのかな?
短い青春をくぐり抜けて大人になったとき、ちょっと苦い思い出が残るのはコウの方なんじゃないのかな…ってほんの少し感じた。たぶんユウタはそんなこと気にもしていないし、この状況からでも毎日楽しく生きていくんだろうと思えるんだよな。HAPPYENDってタイトルがじんわり沁みてくるね。
青春は永遠に不滅
いいなぁ、この映画。新しいカタチの青春映画の傑作と断言できます。青春群像を描く映画だとやたら暴力やセックスとかが出てきて残念な事件の果てには人が死んだりするが、この映画にはそんなものは一切出てこない。校長の黄色スポーツカーに大胆なイタズラをしたり、学校の差別的な行いやAI監視に対する抗議の為校長を軟禁したが、破滅的な行動まではいかない。純粋に音楽を愛し、友情を温める。5人の仲間の心根が皆、優しく素敵である。
現代の延長線上の近未来はスマホの顔認証で国民を管理(マイナカードの先だろうか)、移民受け入れで外国人増加(経済の為には必要だが差別意識はなくならない)、政治の右傾化(かなり現実的)となっている。とても明るい未来ではない。
そんな中でも友情は永遠に不滅と伝えたいのだと思う。音楽で楽しく生きていたユウタが皆の為にイタズラの犯人を1人背負い退学になり卒業式に出れなかった。コウは奨学金を得れ親孝行もできた。アタちゃん、ミン、トムもそれぞれの道へ。コウはユウタに大きな借りを作ることになったが、いつかその借りも返し、友情は続くんだと思う。
歩道橋のラストシーンはとても良い。
HAPPYENDは明るい未来の始まりなのです。
もう既に始まっている。
うーん。なんか敢えて小難しく遠回りしてみましたみたいなストーリーで、正直何の話かよく分からなかった。日本人なら誰しもが大地震に対する恐怖心をどこかに持っていて、その不安をまさに揺さぶりながら、若者達の行く末を描いたんだろうけど、やっぱピンとこなかった。
政府の暴走、監視社会、クラスメイトの半数が日本の国籍ではないという、ちょっと未来の設定らしくて監督はきっと日本人のアイデンティティの話がしたかったんだろうけど、ここまで極端でないにしろこれってもはや現代の話よね。なんか言いたいことは分かるねんけど、なんだかなーって感じでした。
そして最大のモヤモヤは、そう、車どうやったんですか?!ってとこ。高校生数人であんなことできるん?せめてそこの答えは欲しかったわ、ってことで今からホームルーム!
近未来でも変わらないもの
近未来の高校を舞台にした青春物語ということだが、結構近めの近未来だった。市民への管理が強まり、外国人への排他意識が強まる社会。でも、学校には日本人じゃないクラスメイトがたくさんいる。そんな未来を示唆する状況が現実にあるから絵空事とは思えない。
本作はこうした近未来を描くことで現代社会へ警鐘を鳴らすというわけではない。管理が進む社会での若者たちの姿を描くことを目的としている印象だ。社会のルールからちょっとはみ出しても自分たちが面白いと思える行動をとる。少しふざけた気持ちでとった行動が大人にどんな迷惑をかけようが関係ない。そんな若者たちの行動が世の中に溢れているのは昔から変わらない。いつの時代も若者は大人に嫌な顔されるものだよな、なんてことを考えながら観ていた。でも近未来だからいろんな技術がちょっと進化していて、そんな新しいツールでイタズラも様変わりしているのは楽しかった。
少年少女たちは大人に変わっていく過程で今までの関係のままではいられなくなる。その描き方も近未来であろうが大きな変わりはない。将来を見すえて進路を決める中、同じ学年でも変わる者・変わらない者が出てくる。そんな揺れ動く友人関係が青春だよな。その描写は近未来が舞台であることをすっかり忘れてしまった。
決してわかりやすい展開ではないし、大きく心を揺さぶられるような結末でもない。でも個人的にはそれなりに印象に残る映画となった。本作を観て、全くタイプが異なるが「時計じかけのオレンジ」を連想してしまう。共通点は、管理社会になった未来で若者たちが躍動する映画というくらいか。でもあの映画も間違いなく青春映画だった。若者たちの悪ふざけと大人たちのしかめっ面。どんな時代でも変わらないものが描かれている。今や顔をしかめる側にいるが、彼らが仕掛けた大がかりなイタズラにちょっと笑ってしまった。
いや、でも監督は現代社会に警鐘を鳴らすつもりだったとしたらと想像すると恐ろしい。とんだ的外れなレビューを書いているのかもしれない。だとしたら本当に申し訳ない。
踏み込まない!
普遍的な友情ドラマ
一応、近未来という設定であるが、基本的には現在とさほど変わらない世界観である。劇中にはAIによる監視システムや移民排斥、反政府デモ、経済格差、巨大地震への不安といった社会問題が出てくる。しかし、これらは現代でも語れる問題であり、正直、近未来にしたした理由がよく分からなかった。
物語はユウタとコウの友情を軸にしながら、彼等と同じ音楽クラブに所属する3人の同級生が織りなす群像劇となっている。
ユウタとコウは幼なじみで大好きな音楽を通じて固い友情で結ばれている。ところが、二人の出自はまったく異なり、コウは在日韓国人の苦学生。ユウタは母子家庭のようだが割と裕福な家庭である。幼い頃は無邪気に遊んでいるだけで楽しかったのだろうが、大人になると物の考え方が変わり、かつてのようにはいかなくなってしまう。本作はそんな二人の友情の崩壊と修復のドラマとなっている。
彼等以外の3人の高校生も夫々に個性的に造形されていて面白く観れた。お調子者のアタちゃん、中国人とのハーフと思われるミン、黒人のトム。彼等もまた出自は異なるが、気が合う仲間同士。時に衝突したり、繋がり合ったりしながら夫々のアイデンティティを模索していく。
特に印象に残ったのは、コウとトムがキッチンで会話するシーンだった。コウの告白を影から聞いていたユウタの心中を察すると実に切なくさせる。
また、ユウタとコウの別れを描くラストの歩道橋のシーンも良い。ストップモーションの演出に二人の胸中が色々と想像させられ深い余韻に浸ることが出来た。
他の3人もドラマ的には上手く着地させており、シリアスな展開がありながらも、最後は爽やかに締めくくられていて良かったと思う。
一方、大人たちの描き方については紋切り的でもう少し深みが欲しい所である。頭の固い校長や子供たちをデモに勧誘する活動家、放任的な母親等、余りにも形骸的である。また、デモにのめり込むクラスメイト、フミもアジテーションの強いキャラで魅力に欠ける。
尚、度々鳴り響く地震アラートがドラマ上まったく意味がなく、個人的には鑑賞のノイズでしかなかった。中盤でそれを使ったユウタの悪戯が出てくるが、ここもご都合主義に感じられてしまったが残念である。
キャストでは、メイン5人の少年少女のナチュラルな演技が瑞々しくて良かった。聞けば、アタちゃんを除く4人はオーディションで選ばれた新人ということだ。特に、ユウタとコウを演じた俳優たちには光るものが感じられ、今後の活躍が期待される。
校長役の佐野史郎、ユウタの母親役の渡辺真起子といったベテラン陣の配役も良い。物語をきっちりと締めている。尚、佐野史郎繋がりで、”子供”対”大人”という構図から「ぼくらの七日間戦争」を連想させられたりもした。
学生映画みたい。
大学で映画の勉強されたようですが、イマイチその魅力が理解出来ません。エドワード・ヤンを彷彿とさせる、なんて修辞を目にしたが、ウソだろとしか思わなかった。画もありきたり、テンポとカッティングは凡庸としか思わなかった。何より、脚本が酷い。ありがちな陳腐なストーリーで、左派に影響受けたであろう表層的な体制批判が可愛らしい。近未来の寓話として扱うにしても、保護者たちが中途半端。あんな学校運営に文句つけないはずはないのに、いい加減。保護者など絡ませずに学園だけにすればまだしも。「台風クラブ」が懐かしい。外国人問題も在日韓国人・朝鮮人と黒人に特化していて中途半端で恨みがましい。「パッチギ!」はそれでもカタルシスがあった。若松孝二監督のような爽快感がない。映画監督続けるより、活動家の方が向いているのでは。「狙われた学園」を大学の映画サークルが撮ったような感じだ。
10年後観たら、きっと良くある青春ストーリーになると思う。、
最後に卒業式
生きづらさと迸る若さと
主人公のユウタとコウ、
若さゆえに生きづらい世の中でうまく適合できなかったり
自身の出自から不条理な扱いを受けたりと
実にもどかしい心持ちをうまく表現していると思います。
劇中の悪巧みだったりや、友達との時間の過ごし方も
若さがあっていいなあと。
劇伴も効果的というか、
監督が坂本龍一さんの息子さんということもあるかも
ですが、それっぽさを感じたりもしました。
主人公がテクノDJを志している設定も私としては
刺さりましたし、面白かったです。
ラスト近くの楽器店の店長さん(?)のプレイとか、
すごくよかったですね。
空中に文字が表示されるディスプレイが近未来感を
醸し出していたり、世界観も現実離れしすぎておらず、
リアルで親近感が持てました。
何か結論がある話ではないけれど、
この世代でしか味わえない生きづらい感じを
体感でき、ちょっと自分も若返った錯覚に陥りました(笑)
求め過ぎ?
似非金字塔
秋映画はいつにも増して若手監督のオリジナル作品が出ており嬉しい限りです。
ただ今作含め予告から醸し出される負のオーラがどうにも引っかかってあらすじだけならまだしも、いざ予告を見るとなんかきな臭いなーと思いながらの鑑賞でしたが悪い方にその予想が当たってしまいました。
少し先の未来の日本でのお話で日本人以外にも多国籍の生徒が在籍している学校がメインになるのですが、近未来のはずなのになぜか描かれるキャラクター描写なんかは平成中期くらいに逆行しているのがどうしても気になりました。
そんな先の未来でも大して変わってないんだろうなーというのはあるんですが、特に何も進歩していないようで2024年のifですよーと言われても全然納得できる世界観だったのでそこも引っかかってしまいました。
ユウタとコウの距離が離れていくと書いてあるので序盤から中盤にかけてガッツリ仲が悪くなっていくもんだと思ったら途中途中ブチギレて突き放して、かと思いきやまたつるんでの繰り返しだったのは友情ってこんな感じなのかなってなりました。
自分はくっ付いて離れての友人関係は全く無かったのでそこへの共感はできませんでしたが、世の中にはこういう友情もあるのかなという物珍しさの体験にはなりました。
悪ガキたちが善悪の区別もつかないままの反抗を若気の至りで済ませていいものかと何度も何度も思ってしまいました。
最初のクラブへの侵入だってダメだっつってんのに入ろうとするし、なんなら違法に潜入するし、タバコも酒もダメだって言われてるのにルールに対しての反抗だなんだといってはやりまくるし、学校の教室で学校の機材が危ないかもしれないから撤収したのに、それを盗られた盗られたーとのたうち回っているのはみっともなかったですし、それを地震のアラートを使って職員を惑わせて部屋の鍵を奪って機材を回収していく流れはもうほんとク○ガキでしばき回したかったです。
監視システムでよろしくない行動をした生徒はペナルティポイントが加算されていくものが導入された事に対して苛立ちを覚えるのはまぁ分かるんですが、そもそもの原因が校長の愛車を縦向きにした事がきっかけなのに、事が大きくなっても名乗り出ず、ただただ文句をツラツラ垂れているだけというのが本当に見てて気色悪かったです。
あたろう君も格好が注意されたらその場しのぎでも良いから直せば良いのに延々と中の指を立てて挑発するばっかでぶん殴りたくなりました。
野球部の子がタバコを注意して拾っただけでペナルティを課されているのをユウタとコウが笑ってるのは本当に腹が立って、不愉快さのあまりに劇場を出ようかなとも思ってしまったくらいです。
よくよく考えたら自分が高校に通っていた時もスマホを使ったら没収ってのは当然でしたし、授業中にスマホをいじる理由が無いのにいじったから没収された事に対して疑問をぶつけまくってた同級生を見ていたのであれのグレードアップ版が今作の監視システムなんだろうなーと思いました。
校長室に立てこもっての講義も本当にただ立てこもっただけで誰にも得はないですし、寿司をテイクアウトして食べさせようとしてくれた校長(ちょっと強引だったけど)の厚意をガン無視してゴミ箱に寿司を捨てたところも非常に不愉快でした。
実際の寿司を捨てたわけではないにしろ、やはり食事を粗末に扱う作品は本当に大嫌いなので再び劇場を飛び出したくなりました。
あと完全フルフェイスのやつが持ってきたキンパはあんなに美味しそうに食べるのかよ、それワンチャン薬とか盛られてるとか考えないのかよという疑問も生まれてしまいました。
フミがやたらめったら反抗的なのは誰かしらの影響を受けていたり、日本国籍ではない生徒が差別されている事に対しての怒りも込みで行動しているんだろうなとは思うんですが、なんか自分に酔ってるんじゃと勘繰ってしまうくらいよく見る先導者みたいだったのも強烈な違和感を感じさせるところでした。
卒業式パートもなーんか曖昧でトムは何故か卒業式前に引っ越すし(もしかしたら卒業式後の映像だったかもしれないけれど)、あたろう君が服に校長の車が立っているものを刺繍して出席しているから全く反省してないなとなりましたし、その後なんか爽やかに出会いと別れをやってるけど、それまでの行動を青春として流すにはあまりにも身勝手すぎて感動のかの字も無いまま終わっていったので呆けてしまいました。
役者陣は皆々様若手の方々で主演2人は今作がスクリーンデビュー作という事ですが素晴らしい演技をされていてどのシーンも見入ってしまいました。
だからこそよりそのキャラクターに怒りも憐れみも感じてしまったんだなと思いました。
学生を卒業してから時間の経った大人から見ると今の学生ってこう思われてるのかな…と少し悲しくなりますし、「ナミビアの砂漠」と同じく若手監督ってこの世に不満を多く抱えながら生きて、そればかり映画に投影しているのかと心配にもなってしまいます。
こういう作品が評価されるのも理解できますし、こういう警鐘があっても良いと思うんですがどうにも多すぎてこの世代の自分はゲンナリしてしまいます。
そもそも車を縦向きに立てたのってどうやってやったんですか?
鑑賞日 10/28
鑑賞時間 18:40〜20:40
座席 C-12
君はDJ行松を見たか
鮮烈な映像、ずっこける脚本
舌を巻く見事なショットがこれでもかと出てくる作品で、映像作家としてのこの監督の才能は明らかですね。オープニングすぐの、駆ける高校生たちと併走する夜の電車、空っぽのガレージで大きく揺れる照明と壁に映る少年たちの影、などなど…。音楽も編集も秀逸です。
しかし脚本がずっこける。物語上の大きな難点は三つ。
1)フィクションが現実の力に追いついていない。大震災・監視社会・外国人差別は現代日本が抱えている差し迫った課題で、それを都合よく近未来SFに改変した物語を、なんでいま見せられているのか。
2)日本社会と高校生活のリンクの希薄さ。いやリンクさせてるぞと思っているかもしれないが、民主主義をおびやかす現代日本の危機…と始まった映画が、途中から「高校で校長と対決する意識高い生徒たち」の話になって収束してしまう。緊急事態法制どこ行った?
3)登場人物の掘り下げの浅さ。とくに主役の男性2人。別に政治なんか興味ないよという男子と、在日コリアンという出自を背負って政治に注力してゆく男子の、ふたりの友情がこの映画のひとつの軸になっています。ちょこちょこ2人の背景は語られはするけども、結局2人がどんな葛藤をもっているかは、ほわわんとかるーくしか描かれないのです。
このあたりを真剣に突き詰めて考えていないから、友情も政治も、ふわっと曖昧に仄めかされるだけで、リアルな痛みを伴わない。だからだんだん文科省推薦の道徳映画めいてくるんですよね。
申し訳ないけど、これは政治・社会についての監督の考えが浅いからとしか言いようがない。なんかいろいろ社会問題が言及されても、そのどれもが深まっていかない。世の中で「政治」「社会」と名指しされているものを名指しされているとおりの形で取り込むのみで、自分の身体を賭けて対決して自分自身の洞察に到達するという経験を経ていない。要するに薄っぺらい。
そんなわけで、映像のみごとさと浅い話の取り合わせが不思議な作品で、思いきり好意的にいえば「今後の大きな可能性を感じさせる」ってことですね。
この世で一番えらいのは電子計算機〜
全66件中、1~20件目を表示
















