レンタル・ファミリー

劇場公開日:2026年2月27日

解説・あらすじ

「ザ・ホエール」で第95回アカデミー主演男優賞に輝いたブレンダン・フレイザーが主演を務め、全編日本で撮影を敢行したヒューマンドラマ。長編デビュー作「37セカンズ」やドラマ「BEEF ビーフ」などで注目された日本人監督・HIKARIがメガホンをとり、東京で暮らす落ちぶれた俳優が、レンタル・ファミリーの仕事を通して自分自身を見つめ直していく姿を描く。

かつて歯磨き粉のCMで一世を風靡したものの、近頃は世間から忘れ去られつつあるアメリカ人俳優フィリップ。俳優業を細々と続けながら東京で暮らし、すっかり街になじんでいた。そんなある日、フィリップはレンタル・ファミリー会社を経営する多田から仕事を依頼される。レンタル・ファミリーとは、依頼人にとって大切な「家族」のような役割を演じることで報酬を得る仕事。最初のうちは、他人の人生に深く関わることに戸惑うフィリップだったが、仕事を通して出会った人々と交流していくうちに、いつしか彼自身の心にも変化が起こりはじめる。

レンタル・ファミリー会社を営む多田役で平岳大、レンタル・ファミリー会社の俳優として働く愛子役で山本真理、老優・喜久雄役で柄本明が共演。

2025年製作/110分/G/アメリカ
原題または英題:Rental Family
配給:ディズニー
劇場公開日:2026年2月27日

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映画レビュー

3.5 需要と供給の論理は、道徳を越えられるのか?

2026年3月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

癒される

予告編から気になっていた一本。レビュー印象も良さそうなので期待して映画館へ。

タイトルからある程度予想はできていたけれど、やっぱりそういう話か…というのが第一印象。よくまとまった作品だし、評価が高いのも頷けます。特に主演の ブレンダン・フレイザー さんの表情がなかなかに切ないし、繊細で引き込まれました。柄本明さんの演技も見応えありましたね。親子で同時期にスクリーンを飾るなんて、日本映画界をどんだけ牽引してるんや⁈と賞賛せずにはいられません🤫

ただこの作品は、
私の好みではなかったです。

古い昭和のおばちゃんみたいで恐縮なのですが、このようなお仕事が現在すでに300以上もあるという事実に驚くし、需要があれば供給が生まれるという、ものの在り方にはどうしても首を捻らざるを得ない。全く関係ないかもしれませんが、最近少し話題になった退職代行「モームリ」とかね🙄

わかる、わかるのよ🤫
相手のためにつく嘘は、ときに必要な嘘で、それで救われる人がたくさんいることもね。世の中の需要がそこにあるから、供給が生まれるという理屈も。

でも、そこにお金が絡むのがどうもね…🤫
仕事でなけりゃ、いい話だと思うのよ。
おせっかいおばちゃんやおじちゃんが、ちょっと行き過ぎたお節介を焼くみたいなお話ならさ。でも、これビジネスでしょ🤫
古い?考え方…昭和のおばちゃんだから…😅

「嘘も方便」
「嘘から出た実(まこと)」

昔から嘘を擁護する言葉は、たくさん存在しております。世の中綺麗事ばかりちゃうからね。

つまりこの作品が、レンタルファミリーの良い側面をクローズアップしすぎていたのに、少し違和感を感じたのかもしれません。メイン3編のお話がほっこり寄りすぎて、平岳大さん演じる会社代表の私生活レンタルファミリーの話が、少し流されてしまった印象。マイナスな部分や闇はもっとちゃんとあると思いますよ。そこももう少し観てみたかった。

とはいえ、久しぶりに見るブレンダン・フレイザーさんは素直に良かった。ラストの表情はそれだけで観る価値ありです!アカデミー賞受賞後の作品に、日本舞台の映画を選んでくれたのも光栄だと思いました。HIKARI監督の次回作にも期待したいです🎬

頭では理解できるのに、心がどうしても首を縦に振らない。そんなタイプの作品でした。

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ななやお

3.5 他人の人生を演じながら、自分の人生を取り戻す

2026年3月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

世間体や普通の圧力が強く、人間関係の衝突を避けがちの日本社会は、他人を頼りにくく、弱さを見せにくい。
だからこそ、金銭で成り立つこの「レンタルファミリー」はドライで後腐れがなく、日本では需要があるサービスなのかもしれない。

そんな特殊な「レンタルファミリー」という仕事を通して、アメリカ人である主人公フィリップが、徐々に自分自身の輪郭も取り戻していく過程が素晴らしかった。

結局形は嘘でも、そこで生まれる感情まで嘘にはできない。
どんな関係であれ、人と人とが心を通わすことができれば、そこに生まれる絆は、本物になることを教えてもらった。

そんな主人公フィリップを、アカデミー賞俳優のブレンダン・フレイザーが、繊細で優しく心の機微を丁寧に演じられていて、本当に素敵だった。

また、見慣れているはずの日本の風景が、どこか外側から観察されているように見え、美しく新鮮に見えた点もおもしろかった。
外国の人から見た日本は、こんな感覚なんだろうか。

私が特にこの作品でお気に入りのシーンはラストのシーン。
結局、人生を良くも悪くもするのは誰なのか。
選び取って、決断して、自分自身を信じることができるのは誰なのか
フィリップの変化を見ていると、その答えを静かに示されているような気がした。

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AZU

4.5 なんという優しさと温もりに満ちた映画

2026年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

なんと温もりに満ちた映画だろう。日本ならではの社会、心理、文化のラビットホールに入りこんだ外国人を主軸に、思いがけない人間模様が像を結んでいく。どこにも安易な悪者を作らず、かと言って怪しげなジャポニズムに甘んじることもない。だからこそ日本人の観客も安心して本作に身を委ねられる。来日7年目にして天職へと導かれていくフィリップ。その姿がユニークで愛らしく、なおかつ我々の胸を揺さぶってやまないのは、彼が常に嘘のない人との繋がりを求めるから。あれほど胡散臭かった仕事がいつしか「誰かにとって掛け替えのない何者かになる」という、あらゆる人間にとっての普遍的な使命のように思えてくる過程も心を打つ。あの体全体から優しさと慈愛を発するフレイザーだからこそ、これほど皆を照らし合う人間ドラマが成立したのだろう。演技、演出、ヨンシー&ソマーズの心が濾過されるような音楽に至るまで、大切な人への贈り物のような一作だ。

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牛津厚信

4.0 アウトサイダーの体験が普遍の人間ドラマに、HIKARI監督の魔法再び

2026年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

幸せ

HIKARI監督の長編デビュー作「37セカンズ」のレビューで、同作に関わったアウトサイダーたちの1人として「若くして単身渡米し人生模索ののち、30歳で映画監督を志したHIKARI」と紹介し、「常識や前例や同調圧力にとわられずに生きる彼女ら、彼らだからこそ、障害を持つ女性が勇気を出して人生の冒険に踏み出すストーリーを、普遍の成長物語に昇華できたのだろう」と評した。

「レンタル・ファミリー」の主人公フィリップもまたわかりやすいアウトサイダーだ。落ち目の米国人俳優で、日本でほそぼそと役者稼業をこなしているうち、依頼人の家族のふりをするレンタル家族の仕事に出会う。日本で暮らす米国人と、本物の家族たちに新郎や父親と偽って関わる赤の他人という、二重の部外者としてフィリップが体験を重ねるうち、自身の生き方と家族のあり方を見つめ直していく。

特殊な状況や境遇にある人の体験と思考と感情を通じ、私たちが普段見過ごしがちなありきたりの家族関係や人間関係の中にある真理や哲学や美徳のようなものを抽出して印象的に提示する、そうしたHIKARI監督のマジカルな手腕が本作でも健在だ。

それにしても、監督インタビューを読んで驚いたのは、現在の日本にレンタル家族業者が約300社もあるということ。邦画でも2006年の「紀子の食卓」、2016年の「リップヴァンウィンクルの花嫁」などで描かれてきたから知ってはいたが、実際にそれほど多くの業者がいて、それほど大きな需要があることに考えさせられる。

ブレンダン・フレイザーが「ザ・ホエール」で2023年3月にアカデミー主演男優賞を受賞してから、最初に選んだ主演作がこの「レンタル・ファミリー」だとか。それだけHIKARI監督の「37セカンズ」が製作陣とフレイザーに高評価されたのだろう。HIKARI監督の今後の躍進がますます楽しみだ。

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高森郁哉