エルピス 希望、あるいは災い
シリーズ紹介
原題:エルピス 希望、あるいは災い
製作国:日本
シリーズ
スタッフ・キャスト
- 脚本
- 渡辺あや [2022]
- 演出
- 大根仁 [2022]
- 下田彦太 [2022]
- 二宮孝平 [2022]
- 北野隆 [2022]
- 音楽
- 大友良英 [2022]
- プロデュース
- 佐野亜裕美 [2022]
- 稲垣護 [2022]
原題:エルピス 希望、あるいは災い
製作国:日本
テレビ局の人間は今、テレビの報道についてどう思っているのか。その心情を告白したような作品。テレビが自らのことについて、どこまで踏み込んで描けるのだろうかと最初のうちは思っていたけど、どんどん面白くなっていく。左遷されたアナウンサーと若手ディレクターが、過去の冤罪事件の真相を追う日々。その二人が、真実を暴こうと四苦八苦するも、取材を進める度に自分たちの抱える組織の深い闇が露わになっていく。
テレビ局の忖度や圧力を巧みにサスペンスに活用していく展開が中盤から効いてくる。正しい報道をしようと行動しているのに、見えない力によってそれがどんどんできなくなっていって追い詰められていく。
事件の核心に迫っていくあたりから、面白さが加速していく。理不尽な現実に押し潰されそうになり、最初は利己的だった登場人物たちであっても、根っこの部分では「報道の矜持」でつながっていくのが感動的。
タイトルのエルピスは、パンドラの箱の底に残されたものが「希望」なのか「災い」なのかという神話の言葉だ。真実を暴くことは希望をもたらすのか、という点を突き詰めるために現実社会のメディアの腐敗を用いて、スリルと感動を呼び起こす作品。岡部たかし演じる村井が良い味を出している。
ドラマ版アカデミー賞ギャラクシー大賞を受賞したとのことで鑑賞したのですが、このドラマを観てしまうと他のドラマを観れなくなるくらいの衝撃を受けました、報道の真実、今まさにこの国で必要なことが描かれてます、そして重いテーマでありながら、長澤まさみさんという稀代のコメディエンヌによりメリハリ、緩急がつき最後までイッキ見してしまうこと間違いなし!!日本ドラマ界の最高傑作です!!
予備知識なく、全10話を2話ずつ程度のペースで見始めたが、後半は止められなくて一気に見てしまった。
放映は2022年だったらしいが、奇しくも2023年の現実社会にアナロジーとなる出来事があると思った。
物語の中で、連続少女殺人事件は忖度とのせめぎ合いということで、ジョニー北川氏性加害問題を想起させる。また後半の女子大生性虐待もみ消し事件は政治家の闇という意味で、パーティー券代キックバック問題を想起させる。
最終話だったか、性虐待もみ消し事件の取材テープの放映を強行する浅川に対し、テレビ局を退社して政治家を目指しているフリージャーナリストの斎藤がスタジオに乗り込み説得を試みる。斎藤の反論により、浅川は性虐待もみ消し事件放映の強行を中止する代わりに連続少女殺人事件についての放映を斎藤に承諾させて、ストーリーはエンディングへと展開していく。
これはドラマで架空の話なので、作者と意見が相違するのは当然のことではあるが、個人的な意見としては、この斎藤の反論は、稚拙で受け入れられなかった。彼の主張は、まさに報道機関が担うべき社会的責務の筈だが、それを放棄することを主張しており、浅川がそれを受け入れた上で、ストーリーが展開するため、作品としては斎藤の主張が正当化されてしまっている。
斎藤は「こんなことをしたら大変なことになる」と滔々と述べるのだが、その大変なことこそが報道機関に課せられている使命だと思う。
次回作では、今回作の続編として、死刑から逆転した過程や大門副総理や斎藤のその後にまつわる報道におけるテレビ局の葛藤が見られると良いと思った。